ザルツカンマーグートの手作り陶器と湖の街グムンデン
見所いっぱいのオーストリアの夏の避暑地、湖水とアルプスに抱かれたザルツカンマーグート。数々の魅力ある街や風景をご紹介してきましたが、今日登場するのは陶器の街グムンデン(Gmunden)。
トラウン湖畔に位置するこの町は、グムンデン焼きと呼ばれる陶器の名産地。グムンデン焼きは緑と白の柄が印象的なオーストリアを代表する陶器で、アウガルテンなどの高級陶磁器と異なり、家庭や一般的なレストランで使用され、伝統的な温かみが感じられる、手作りの味が特徴です。
優しい風合いのグムンデン焼き
グムンデンには、そんな国民的人気を誇る陶器グムンデンの工房と直営店があり、それを目当てに訪れる人もたくさんいます。しかし、グムンデンには他にも様々な魅力があり、一日ゆっくり楽しむことができます。
まずは、この町の象徴ともいえる美しい市庁舎。この市庁舎のファサードで時を奏でる鐘楼は、金属製ではなく陶製なんです。それも、作られたのは16世紀とのこと。澄んだカランと言う音色は、14世紀から陶器づくりが盛んなこの土地の歴史と誇りを感じさせます。
グムンデン市庁舎。陶器の鐘は真ん中一番上の窓のところ。
また、トラウン湖沿いのプロムナードを歩くと、美し遊覧船の姿が湖上を滑るのが見えます。その中でひときわ目を引くのが、「ギゼラ(Gisela)」と言う名の蒸気船。皇帝フランツ・ヨーゼフと美貌の皇妃エリザベートの娘の名前を取って名付けられたこの船は、世界最古の蒸気船の一つで、今でも現役のトラウン湖の遊覧船として活躍しています。
市街の小道を散策すると、いかにもザルツカンマーグートの町らしい景色に出くわします。小さな教会や、ふとした時に目に止まるお店の看板、町の広場の噴水などの小さな魅力を発見しつつ散歩してみるもの楽しいでしょう。
グムンデンの小道から、トラウン湖と山並みを切り取って。
また、このグムンデンの市街から少し離れたところにある、オルト城(Schloss Ort)もぜひ訪れてみたいところです。トラウン湖上にある小さな島に建てられたザルツカンマーグート最古のお城で、ヨハン・オルト公の居城であったことでも知られています。ここは有名なテレビシリーズの舞台にもなり、現在では人気の結婚式会場となっています。
このグムンデン市街からこのオルト城までは、遊覧船か観光用列車が便利です。観光用列車は、グムンデン焼きの緑と白のデザインを模り、片道15分ほどのゆっくりしたスピードでトラウン湖畔を走り、オルト城の橋のたもとで下ろしてくれます。
市庁舎前の広場からオルト城までを結ぶ、グムンデン陶器柄の観光用列車は、子供から大人まで人気。
遊覧船は、トラウン湖を一周するものから、市街とオルト城を往復する短距離のものまで種類が多く、滞在時間や目的に合わせて選ぶことができます。
色々な航路を便利に使い分けられる遊覧船
夏にザルツカンマーグートに滞在するなら、少し足を延ばしてかわいい陶器の街グムンデンを訪れてみてはいかがでしょう?
(2016年7月執筆)