ドナウ河を見下ろす歴史の生き証人、アグシュタイン城で中世騎士祭り
中世の面影を残す、半分廃墟となった古城アグシュタイン城(Burgruine Aggstein)。ウィーンから車で1時間と日帰り旅行にピッタリで、ドナウの流れの美しいヴァッハウ地方のハイライトの一つです。今回は、この歴史ある古城で開催された中世騎士祭りに行ってきました。
アグシュタイン城
アグシュタイン城は、ドナウ河を見下ろす交通の要所だったこともあり、様々な血なまぐさい伝説が残されています。この城の歴史や伝説については、以前の記事に載っています。
今回は、前回の取材時に閉鎖されていた古城の塔や礼拝堂、伝説の「バラ園」にも足を踏み入れることができ、中世騎士時代さながらの景色と、息を飲むようなドナウ河の眺めを楽しんできました。
城壁から見下ろしたドナウ河の眺め。
この城には「バラ園」と呼ばれる、血なまぐさい伝説の残る天然の岩のバルコニーがあります。この城の城主は囚人を、このドナウ河の上に突き出た小さな岩の上に放置しました。この岩の真下はドナウ川を見下ろす絶壁。囚人は、餓死するか飛び降りるかの二択を迫られたという伝説が残っています。囚人たちはどんな気持ちでこのドナウの絶景を眺めていたことでしょう。
左側のボロボロの囚人の人形が立てかけてある白い岩の部分が、この「バラ園」の岩。
天然の大岩に立つ廃墟だったこの城は、修復により、廃墟の雰囲気も残しつつ、中世当時の建築や歴史を感じられるよう再現してあります。自然に囲まれた廃墟でありながら、観光地としての整備もなされているという、魅力たっぷりのお城です。
天然の大岩の上に作られた要塞のような城です。
さて、それでは、この城で開かれた中世騎士祭りの様子もご紹介しましょう。中世騎士祭りとは、中世ヨーロッパの騎士や村人の生活をを再現したお祭りで、騎士や魔女、村人の格好をした人たちが、様々な屋台を出し、パフォーマンスを見せます。
中世騎士祭り開催中のアグシュタイン城
会場が中世の景色そのままの城塞都市やお城であることが多く、主催者側だけでなく、お客さんも中世コスプレをして来ることもあり、会場全体が中世にタイムスリップしたような楽しいお祭りです。
屋台が並ぶ小道には、中世衣装の人たちが沢山いました。
中世衣装の屋台の売り子さんやお客さんの他、子供用のミニ遊園地や鍛冶屋のショーなど、全て中世の時代を再現しています。舞台上のショーも、中世衣装を着たパフォーマーが、中世音楽やダンス、剣闘ショーなどを見せてくれます。
会場を塔の上から見下して。ステージでは中世風の歌や踊りのパフォーマンスが繰り広げられています。
こんなに楽しい中世騎士祭り。このお城でも定期的に開かれていますので、もしウィーンからの日帰り旅行のついでに、こんなお祭りに参加できる機会がありましたら、ぜひタイムトリップを楽しんでみてくださいね。
(2016年8月執筆)