オーストリアのクリスマスツリーよもやま話
カトリックの国オーストリアでは、クリスマスに関する独特の習慣がたくさんあります。日本でお馴染みの、アメリカやフランス等の習慣とも異なりますので、最初は聞いたことのない風習に驚いたことも。
今回はそんなオーストリアのクリスマスツリーにまつわる習慣をご紹介します。
美しいシェーンブルン宮殿のクリスマスマーケットのツリー。
オーストリアでは、家族で集まってプレゼントを開けたりするクリスマス本番は12月24日で、家庭ではツリーもこの日に初めて飾ってお披露目をします。
それに合わせて、12月中旬を過ぎると、街角や広場等では、ツリー屋さんが本物のモミの木のクリスマスツリーを売り始め、仕事帰りのお父さんが大きなツリーを担いで帰る様子があちこちで見られます。
観光客もひっきりなしに通るグラーベン通りでも、ツリー屋さんは大盛況。
持ち帰る時は写真にあるように、白い大きなネットに包んでもらいます。
クリスマスツリー用のモミの木はウィーンの森などで栽培されているので、田舎を車で通ったら、ツリー栽培の様子も見ることができます。
さて、本物のツリーのお値段は。。1メートル程度のもので25-30ユーロ、2メートル越えでは100ユーロはするそうです。けれど、これがなくてはクリスマスムードは盛り上がりません。多くの家庭が大人の身長を超えるくらいのツリーを毎年購入しています。
さて、次は、ツリーの飾りつけです。もちろん家庭によってまちまちですが、少し想像しているのとは違うかもしれません。
典型的なご家庭のクリスマスツリー。オーナメントは意外に素朴です。
まず、絶対にオーストリアのツリーに欠かせないのは、本物のキャンドルです。専用のクリップのついたキャンドル立てにキャンドルを立て、クリスマスイブは部屋の電気を消して、このキャンドルに火をつけてクリスマスの歌を歌います。(このキャンドルの火で火事になる事故も毎年ありますが、のどに詰まっても正月に日本人が餅を食べ続けるように、この本物のキャンドルの習慣は消えることはありません)
そして、とても素朴で典型的なのは、わら細工と蝋細工のデコレーション。わらを星の形に組み、ツリーからつるしてキャンドルの光の下で見ると、シンプルながら星のように光って見えて幻想的です。蝋細工は、小学生くらいのお子さんの工作にピッタリ。蝋細工用の型にロウソクの蝋を溶かし入れ、星などの形にしてツリーに飾ります。
わらで色々な星の形が作れます。
他にも、クリスマスマーケットでよく見かけるようなキラキラした玉や、クリッペ(キリスト誕生を模った模型)、ガラス細工なども取り混ぜ、それぞれの家庭の特色のあるツリーにするのが伝統です。
クリスマスマーケットで売られている、キラキラのガラス細工。
さて、最後に、クリスマスツリーにはいつどうやってお別れを言うのでしょう?一般的にクリスマスツリーは1月6日の三聖王の祝日まで飾っておくことになっています。
その頃には、街の広場には「ツリー回収所」が設置され、家庭から飾りを外したツリーを集め、まとめて生ごみとして回収されます。これがまた数年後のクリスマスツリーの肥料になるのかもしれませんね。
それでは皆さん、素敵なクリスマスを!
(2014年12月執筆)