オーストリア/本場(?)ザルツブルクで観る「サウンド・オブ・ミュージック」
ザルツブルクと言えば、モーツァルトの生まれ育った地である他に、有名なミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台となったことでもよく知られています。
ザルツブルクのシンボル、ホーエンザルツブルク城。手前のドームは大聖堂。
この映画、日本やアメリカでは知らない人はいないと言ってもいいくらい有名で、「ドレミの歌」や「エーデルワイス」などの歌も聞いたことがある人は多いでしょう。ところが一般的なオーストリア人はこの映画のことをほとんど知りません。海外在住経験のあるオーストリア人が、外国でこの映画のことを聞かれて驚く、ということが多いようです。
この理由はいくつか考えられますが、おそらくトラップ大佐像が実物から乖離している部分があったため、遺族が良く思っていなかったのも理由の一つなのかもしれませんし、自国のミュージカル映画の文化が色濃いオーストリアには、アメリカからのミュージカル映画が入ってこなかったという経緯もあるのかもしれません。
「サウンド・オブ・ミュージックを上演中のザルツブルク州立劇場
しかし何といっても名曲揃いで、オーストリアの魅力も満載のこの映画を見直す動きが、オーストリアでも始まっています。数年前には、ウィーンで初めてドイツ語版のこの作品が上演され、好評を博しました。そして去年初めて、この作品が舞台となるザルツブルクの町で上演され、今でもザルツブルク州立劇場のレパートリーとして上演されています。
この作品が上演されている劇場の裏手には、映画の撮影でも使われたミラベル宮殿があり、所縁の地巡りにもぴったりです。劇場から一筋行ったところにある「モーツァルト小橋」からは、ホーエンザルツブルク城がとてもよく見え、ザルツブルクの美しい名所の一つです。観劇と観光をセットで楽しめて、とっても便利なロケーションです。
劇場裏手には、映画「サウンド・オブ・ミュージック」が撮影されたミラベル宮殿と、映画にも登場する有名な像があります。
「サウンド・オブ・ミュージック」のウィーン版は既に見ていたのですが、是非、物語の舞台となったザルツブルクでこの作品を見たかったので、少し遠出して、ザルツブルク版を見てきました。
あらすじは、ご存じの方も多いかもしれませんが、歌が大好きな修道女マリアが、オーストリア海軍の英雄トラップ大佐の7人の子供たちの家庭教師として派遣され、母を亡くした子供たちの心を歌で元気づけるお話です。マリアと大佐は次第に愛し合い結婚しますが、折しもナチスのオーストリア併合に反対する大佐は、次第に国内での立場を悪くしていき、家族でオーストリアを後にして新天地アメリカにわたる、という実話を映画化したものです。
ザルツブルク州立劇場の劇場内部
実際に見てみると、実際にトラップ一家が住んだ家(ザルツブルク郊外にあり、現在はホテルとなっています)そのままのセット等、現地ならではの演出が印象的です。もちろん聞きなれた名曲の数々が耳に心地よく(映画版と舞台版は曲順が多少異なります)、「ドレミの歌」「エーデルワイス」の他にも「すべての山に登れ」「一人ぼっちの羊飼い」など、オーストリアを意識した音楽が印象に残ります。
ドイツ語で上演されますが、英語字幕が付きますし、最後には英語で有名曲を客席で大合唱、なんてサービスも付いてきますので、「サウンド・オブ・ミュージック」ファンの方も大満足だと思います。
昼公演観劇後の夕暮れのザルツブルク
「サウンド・オブ・ミュージック」所縁の地巡りなどでザルツブルクを訪れる方がいらっしゃいましたら、うまくタイミングを合わせて、現地で舞台を見るのも特別な体験になるかもしれませんね。
(2013年11月執筆)