春の到来!イースターの時期に食べる、オーストリアの焼き菓子
冬時間が夏時間に切り替わり、春らしい陽気になってきたウィーンです。春と言えばイースター。クリスマスの次に重要な祝日です。
キリストの復活を祝うお祭りとされているイースターですが、本来はキリスト教の伝来の前から、春の到来を祝う土着のお祭りでした。日が長くなり、緑が芽吹き、花が咲き始めるこの季節、日本人がお花見を楽しむのと似たような感覚で、オーストリアではイースター前後の時期に、春を満喫します。
イースターのシンボルと言えば、卵とニワトリ、ウサギ、ネコヤナギの木などがあります。イースターの当日には、鳥の巣を模った入れ物にお菓子やプレゼントを詰めて隠し、子供たちはイースターネスト探しを楽しみます。
オーストリアではイースターに、ウサギやタマゴ型のチョコだけでなく、独特のパンや焼き菓子を食べる習慣もあります。今日はそんなイースターの味をお届けします。
オスターピンツェ
まず、イースターのパンの代表と言えばオスターピンツェ(Osterpinze)と呼ばれるこの丸いパン。この季節、どのパン屋さんにも並びます。丸く、中央から放射線状に三本の線が伸び、真ん中が少しくぼんでいるのが特徴です。
味はほんのり甘いミルクパンと言った感じで、素朴で優しい味わいです。大きめのものの他に、こぶし大の小型のものもあります。また、くぼみには卵を入れることもあります。
イースターの子羊
イースターの時期は、羊の形をした焼き菓子もよく見かけます。これは「イースターの子羊」(Osterlamn)と呼ばれ、キリストの復活に因んだお菓子です。
キリストが子羊になぞられられることが多いのは、子羊を生け贄にささげたユダヤの慣習が起源になっています。磔にされたキリストを、生け贄にされた子羊と重なることから、キリストの復活を祝うイースター当日の食卓には、子羊の形のお菓子が並びます。
イーストが入っていないので、どちらかというとケーキに近い焼き菓子で、白い子羊に見えるよう、粉砂糖が掛けられているのが特徴です。
イースターの編み込みパン
また、「イースターの編み込みパン」(Osterzopf)という名前のパンもあります。同じ生地でも、丸い形になると、「イースターの輪っか」(Osterkranz)と名前が変わります。特徴は、編み込んだパン生地で、あられ糖を散らしてあります。
編み込みパンのくぼみや、輪っかの真ん中などくぼみがあれば、そこに卵を入れることもあります。
ラインドリング
最後に、ケルンテン州のラインドリング(Reindling)というお菓子をご紹介しましょう。
輪っかになった特殊な型を使用するのが特徴で、切り口はグーケルフプフ(クグロフ)と似たマーブル状になっていますが、材料や食感は大きく異なり、生地、型、作り方共に独特です。
生地にはイーストが含まれ、茶色い部分はナッツやシナモンが入っています。白い生地と茶色い生地を重ねて巻きいたものを輪っかにして、特殊な形の型に入れて焼きます。味わいはしっとりした重めのパンのようで、イースターのブランチにピッタリの、食べ応えのある焼き菓子です。
まとめ
オーストリアでイースターの時期に食べるパンや焼き菓子をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?伝統的なお菓子を食卓に並べ、家族でのんびりブランチを楽しむのが、オーストリア流。
この時期にウィーンに来ることがあれば、パン屋さんやお菓子屋さんに立ちより、季節限定のお菓子を味わってみてくださいね。
(2017年3月執筆)