【Pick Up ! New Dental Product】SureSmile(デンツプライシロナ)
月刊『日本歯科評論』では毎号,歯科用機器・材料の新製品を取り上げ,実際の使用感をユーザーの臨床家にご紹介いただく「Pick Up ! New Product」というコーナーを掲載しております.本記事では,2022年1月号で紹介した「SureSmail(シュアスマイル)」(デンスプライシロナ)を公開します.
綿引淳一
東京都/東京日本橋AQUA 歯科・矯正歯科包括CLINIC
世界的大手の歯科医療メーカーであるデンツプライシロナ社が,満を持して2021年6月に発売したのがデジタルアライナー矯正システムの「SureSmile(シュアスマイル)」である.新型コロナウィルス感染症の世界的な蔓延によって,あらゆる分野でデジタル化の流れは一気に加速したが,矯正歯科業界においても急速なデジタル化を象徴する出来事といっても過言ではない.
「SureSmile」と他のアライナーシステムとの違いとは?
現在市場には,さまざまなアライナーシステムが登場している.「SureSmile」はその前身であるOraMetrix社時代から考えると,市場に登場して20年以上の歴史がある.これは他の先駆的アライナー企業の創業とほぼ同時期である.審美的・手軽といった消費者主導型の手法で発展し,アライナーですべての矯正ニーズに対応しようというコンセプトを持つメーカーがある一方で,「SureSmile」はそれとは異なる発展を遂げてきた.デジタルワイヤーベンディングシステムとして開発が始まり,アライナー作成ソフトウェアは近年追加された機能である.こうした開発背景から,「SureSmile」においてアライナーとは矯正治療によるゴールを達成するための,ひとつのツールと位置付けているように見える.
SureSmileアライナーの特徴
最大の特徴は,CBCTデータを融合させ,ボーンハウジングを考慮した治療計画が作成可能な点である.アライナーシステムは,矯正治療の門戸を広げた治療方法とも言えるが,それゆえに安全な治療計画を立てることが求められる.歯冠だけを見て歯列が整ったと判断するのは不十分で,歯根まで可視化することによって,はじめて治療計画が安全に完遂できるかどうかを確認できるのである.このデータ解析を製品サービスのひとつとして提供している「SureSmile」は,矯正医のニーズをしっかり理解できていると言える.
矯正歯科治療とデジタル技術
矯正治療にデジタル技術が導入され,今後も発展していくことは間違いない.それは矯正治療においては,包括的かつ統合的な診断や治療計画が常に求められることを意味する.「SureSmile」が本来の臨床家に求められることを改めて教えてくれたように思う.「SureSmile」が照らす近未来のデジタルデンティストリーは,遠隔診療支援や包括的矯正治療の促進など,一層シームレスかつグローバルに広がっていくことを期待したい.
▶問い合わせ先:
デンツプライシロナ株式会社
東京都港区麻布台1-8-10
03-5114-1001
▶本製品の特徴:
“Root to Crown(歯根から歯冠まで) コンセプト” の「SureSmile」は,骨や歯根の状態を考慮しながら治療計画を立てることが可能.包括的歯科治療が注目される今,患者さんの口腔内単位の診査診断に基づく治療は,今後ますます重要なものになると考える.
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