薄口の女
仕事を辞めてからやらなくなったこと。
化粧だ。
マセガキだった私は小学生ぐらいの頃から化粧に興味があった。
中学・高校ぐらいの頃も少ないお小遣いやバイト代を化粧品に費やし、友人と遊びに行くときは雑誌を見ながらモデルさんのメイクを真似たものだ。
大学生にもなると毎日化粧するのが当たり前になった。
今までどれだけの化粧品を使ってきただろう。
20代後半になった今でも、所謂デパコスは使ったことがない。
手を出したらデパコス沼に入りそうだからである。
リップだけで6000円するようなものもある。
気に入った色であれば1000円で十分だ。
なのでドラッグストアで買えるようなプチプラの化粧品を駆使する。
私の学生時代に比べると、最近は100均の化粧品も色々とバリエーションが増えたので、そちらで買うことも増えてきた。
コロナ禍に入り、マスクをつける毎日になった。
するとファンデーションがマスクにつき、顔がベタベタしてしまう。
そしてニキビが増える。
悪循環だ。
お気に入りのリップをつけてもマスクでどうせ見えない。
じゃあ目元のメイクだけでいいのでは?
なんと当時の私の職場ではゴーグルをつけなければならなかった。
もしやアイメイクもいらない?
もう日焼け止めと眉毛だけでいいや。
と、こんな感じで私の化粧はどんどん引き算されるようになっていった。
持っていた化粧品もだいぶ捨てて最小限になった。
コロナ禍になって私と同じようになった女性の方って増えたと思う。
学生時代は友人と遊びにいくのに化粧+ヘアセットだけで1時間以上かけていたが、今では10分もあれば外出できる。
日焼け止めは毎日塗るようにしているが、それ以外は何も塗らなくなったためかここ最近肌の調子も良い。
引き算、大事だなぁ。
しかし、久しぶりに友人に会うときやちょっとしたお出かけなんかの時にはがっつりフルメイクをしたくなる。
昔はすっぴんを見せるのに抵抗があった夫も、さすがに結婚してほぼ毎日すっぴんを見ているので、久しぶりにフルメイクをすると「今日は濃口やな」と言われるようになった。
今までは「濃口」が当たり前にだったのに。
しばらくは「薄口の女」でいようと思う。
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