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【兵庫県知事選の参考に】斎藤知事の業績かんたんまとめ
このページは、兵庫県の斎藤知事(任期2021-2024)の業績を、できるだけコンパクトにまとめます
(R.6.11.10微かに更新。)
このノートでは、まず、兵庫県の財布事情を説明します。そのあとで、斎藤知事(当時。以下、同じ)が、県民サービスを充実するために、どのように財源を生み出し、その財源を有効に使おうとしたのか、ということを書きます。
兵庫県の財政事情
兵庫県の財政は、以下のバレットさんのツイ投稿にあるように、全国最悪レベルです。
兵庫県知事選挙
— バレット (@Barrettm95sp) October 8, 2024
候補者が固まってきて、これから「あれもやります、これもやります!」と耳触りのいいことばかり訴える方も出てくると思われるので
以下に図示したのは、都道府県別の“抱える借金の重さ”
右上にあるほど軽く、左下ほど重い
もちろん未だに震災の影響が残っているとはいえ…厳しい現実 pic.twitter.com/0SFs99NyYY
この表は、将来負担比率(ストック)と比率(フロー)の組み合わせですが、慣れない方は、将来負担比率の推移だけを見てください。
以下は同じ財政指標を用いて、2008〜2022年度までの推移を大阪府、兵庫県、及び都道府県平均で比較したものです
— バレット (@Barrettm95sp) October 9, 2024
左下にあると財政が悪く、右上に進むほど改善
大阪府はリーマンショックのあとフローが悪い方に引っ張られましたが、その後は右上に進み改善
兵庫県はストックが悪い位置のまま停滞中… https://t.co/WmMSxbEDAD pic.twitter.com/XfG5rwoS3N
2008年から2022年までの間、アベノミクスの恩恵で、大阪府はもちろん、都道府県の全国平均も改善しています。しかし、兵庫県は、井戸県政で、ほとんど改善しませんでした。
1000億円県庁舎の建設計画の見直し
こんな中で、2020年、井戸元知事は、隈研吾建築都市設計事務所ほか3社JVが基本計画を策定した県庁舎建て替えおよび周辺整備の基本計画を発表しました。
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これについては、話が長くなるから詳細は割愛しますが、斎藤知事は「県費がかかりすぎる」と計画を凍結しました。
県庁舎(県民会館含む)だけで、今の物価で1050億円かかると見込まれており、元町周辺整備も含めると、どこまでかかるか、試算が公表されていません。
民間ヒアリングでも、酷評されています。
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そこで、テレワークやICTを活用した業務改革など新しい働き方の推進も絡めて、県庁舎の在り方等に関する検討会を立ち上げ、R6.8から検討を始めたのですが
驚いたことに、斎藤知事が不信任案を受けて失職した後に、凍結されたはずの1000億円県庁舎計画が復活し、動き出そうとしています。
斎藤知事の収支(R.5)
話は財政全般に戻って、斎藤知事に代わってからの収支を、直近の単年度(R.5)で見ると
一般会計での借金の借入(県債)が1274億円。返済が2625億円です。これとは別に特別会計でも5044億円を返済していますので、黒字会計です。
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その結果、減収や不意の出費などに備えるための「財政基金」が、斎藤知事が就任してから急激に積み上がっています。
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分収造林事業による財政悪化
兵庫県の財政悪化の原因は、H.7の阪神淡路大震災の復興など、やむを得ない原因によるものもあります。
そのほかに、もっと早く手をつければよかったのに、ずるずると放置したまま無為に時間が過ぎていったものもあります。その1つが、分収造林事業です。
分収造林事業とは、県の外郭団体である兵庫県造林公社(当時)が、昭和37年から60年以上、約2万haの森林で土地所有者と分収造林契約(地上権設定)を結び、資金を借り入れをして、スギ・ヒノキ人工林の造林をしてきたものです。
しかし、昭和の終わり頃から木材価格が下落し始め、平成の初め頃には、採算が取れる見込みが厳しいことが明らかになっていました。しかし、その場しのぎの対策しか取ることはなく、20年以上を無駄に過ごし、借入金の利息を払い続けました。
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そして、斎藤知事になって、やっと、このまま事業を継続しても借入金の完済は不可能であることが認識され、債務整理へ進もうとしています。
兵庫県は、日本最低レベルの貧乏県
財政のことは専門的でわかりにくいので、これぐらいにしますが、ここでわかっていただきたいのは、兵庫県は、日本最低レベルの貧乏県ということです。
よく、事業を紹介するときに「そんなことは他の県でもしているよ」という方がおられますが、金持ちには簡単にできることでも、おなじようなことを貧乏県がするのは、とても難しいのです。
ですから、県民向けに、新たにいろんなサービスを始めるためには、財源を作り出す必要があります。
財源を生み出す
財源を生み出す方法は2つあって、収入を増やすことと、無駄(非効率)な支出をカットすることです。
「収入が増える」については、経済状況の影響もあり、ここでは書きません。
無駄(非効率)な支出の中でも、もっとも無駄なのは、いわゆる「公金チューチュー」です。
それが慢性化して定着してしまったものが、役所相手の既得権益です。そして、斎藤知事は、既得権益のカットに手をつけてしまったのです。
既得権益って、なに?
弱い人、困っている人を援助するのは、役所にとっても大切な役割です。でも、弱い人のふりをして、怠けているだけの人が役所の補助を受けることがよくあります。よく知られている例が、元気で働くこともできるのに、働かずに生活保護を受けている人です。
このような「怠け者」がいるせいで、本当に困って、生活保護を受けている人まで、白い目で見られることもあります。怠け者は、弱者のふりをするのです。
このように役所から(不必要に)過剰に優遇され、補助金を貰ったり、特権的に扱ってもらったりしているケースは、業界や市民団体にも多くあります。時間がたち、それが定着したものが既得権益です。
よくないケースとして、知事など政治家は、そういった既得権益を持つ業界・企業・団体・人に、公金チューチューなどの「既得権益」を認める代わりに「選挙の票」を受け取ります。
外郭団体への天下り
補助金などの公金チューチューであれば、単純でわかりやすいのですが、実際の既得権益は、もう少し複雑なことが多いです。例えば、兵庫県職員OBの外郭団体への天下りです。これは「定年後の役員待遇雇用」と「票」の取引です。
外郭団体とは、民間のノウハウなどを活用して、自治体が直営で事業を実施するよりも効果的・効率的に県民サービスを提供するために、自治体が設立した団体のことです。
兵庫県には、(数え方にもよりますが)このような外郭団体が32団体あります。これらの、常勤役員の総数は、79人ですが、うち県職員OBが60人、県現役職員が13人です(いずれもR6.4)。それ以外は6人にすぎません。
民間のノウハウどころか、県OBの溜まり場になってしまっているために、県よりも役所的で硬直的になっています。
もちろん、県の外郭団体として必要な仕事があり、その仕事をするのに適切な能力を持ったOBがいて、働く内容と報酬が見合うなら、何の問題もありません。
けれども、OBの雇用を守るために、わざわざ外郭団体に不必要な仕事を作っているのが実態です。しかも、県が直接にしたほうがいい業務、あるいは公平な競争で民間企業に発注できる業務を、独占的(一者随意契約という)に外郭団体に任せる事例が多いのです。
外郭団体の改革
井戸(元)知事も、外郭団体の数を削減しました。しかし、実態は、ほぼ単に統合しただけです。
例えば、先ほど挙げた分収造林事業をになっている「ひょうご農林機構」は、井戸県政で、H15に兵庫県農村整備公社と兵庫県造林公社が合体、R3に兵庫県農業会議を加え、3つを1つにしただけで、全体規模感はそのまま維持されています。
数字だけの「やってる感」を見せただけに終わってしまいました。
改革とは数字上の変化でしかないものではなく、以下のように、「民業圧迫が民間活力に変わった」り、その成果を実感できるものです
斎藤知事は、財源を断つところから改革を始めました。具体的には、独占的(一者随意契約という)に外郭団体に委託していた指定管理を、民間企業にも門戸を広げ公募したのです。その結果、指定管理先が、外郭団体から民間に移行する例が次々と出てきています。
でも、こうした改革は時間がかかります。例えば、指定管理契約は5年契約が多いですが、すでに契約済みのものは5年後まで待たねばなりません。
出会いサポートセンター業務
その一つの具体例を紹介します。結婚を希望する独身男女のための結婚支援をおこなう出会いサポートセンター業務です。
もともと、同業務は外郭団体の兵庫県青少年本部が、(競争もない一者随意契約で)指定管理を受託していました。管理者ポストは県OB、実際の業務は県から派遣された現役県職員と団体採用の会計年度任用職員でした。しかし、斎藤知事は、同業務で、利用低迷していた各県民局ごとの10のブランチをR5に廃止し、経費を大幅削減したうえで、R6に公募し、民間委託しました。
青少年本部からは、このほかR6に、子供の館を民間委託しています
繰り返しますが、現在、外郭団体がしている業務は、
外郭団体向きのもの
県が直執行したほうが向いているもの、効率的なもの
民間企業でもでき、市場の競争原理に任せたほうがいいもの
に、分けられます。この指定管理者の公募は、3にあたります。
こうして、外郭団体の仕事を、本来あるべき姿に絞り込むことで、無意味な県職員OB天下りを廃止、相当な経費が削減できるうえに、民間企業が自由競争によって仕事を得ることができます。
もちろん、県職員OB天下りは、既得権益の、ほんの一部です。既得権益は、県の土木行政、産業労働行政、福祉行政、等々、様々なところにあります。
先に紹介した1000億円県庁舎の建設計画に絡んで、県の土木系幹部が退職後に建築コンサルやゼネコンに幹部として再就職しているのも、似たような構図です。
有効に使う
このようにして生み出した財源を使って、斎藤知事は、将来を担う若者・Z世代に、思い切った投資をはじめました。
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県立学校での教育投資については、6年間で300億円を計画しています。
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まとめ
知事の仕事で難しいのは、県民にサービスを提供することよりも、そのための財源をどのようにして生み出していくかということです。井戸元知事は、既得権益には、ほぼ手をつけませんでしたし、今回の選挙での他の候補者も、いまのところ、それについて、ほとんど語りません。
兵庫県民には、二種類の人がいます。政治や行政に群がる少数の既得権受益者(ノイジー・マイノリティ)と、あまり政治や行政に関わることのない多数の一般県民(サイレント・マジョリティ)です。
一般県民は、一般社会(市場)で、働き、収入を得て生活をしていますので、あまり、県を意識することはありません。しかし、既得権受益者は、県政の変化によって、大きく収入も生活も変化しますので、自分たちに利益をもたらす知事や議員が選ばれるために、選挙の票集めに必死です。
そして、井戸県政までは、少数の既得権受益者のほうを向いた県政をおこなってきました。「既得権益」を認める代わりに「選挙の票」を受け取ることで、地位が盤石になるためです。
知事の立場では、既得権受益者にバラ撒くことで、1期目より2期目、2期目より3期目には、もっともっと地位が盤石になります。
斎藤知事も、やろうとすれば、それはできたはずです。でも、それは、兵庫県の行政資源が限られている中で、「えこひいき」です。
兵庫県政は、すべての県民に対して「公平」でなければなりません。公平とは、えこひいきをせず、偏りのないことです。
斎藤知事が、多数の一般県民に向けた県政に転換したことで、既得権益を享受してきた人たちの猛反発に遭いました。3年前の初当選の時の選挙で、斎藤知事を支援した県議員は、当然、見返りがもらえるだろうと期待したはずですが、得られませんでした。
その反発が、おねだりパワハラ騒動として、全国に知られることになってしまいました。でも、それらは、当事者によって、次々とデマであることが判明しています。
よく、右とか左とか、保守とかリベラルとか、言われますが、既得利権はどちらにもあるのです。対立しながら共存しているのです。
少数の既得権益受益者のための兵庫県か?
多数の一般県民のための兵庫県か?
どちらの兵庫県に住みたいですか?
ここまで読んでくださったかたは、考えてほしいと願っています。
兵庫県知事選挙
— 神戸元町に生息する行政マン (@hyogoxxx) November 4, 2024
一般県民に人気がなく
組織票で当選する知事は
組織のための「しがらみ」に縛られた県政をする
一般県民の強い支持を得た知事は
一般県民のための「しがらみ」に縛られない県政ができる
※ なお、文中で、井戸元知事に対して、否定的と受け取られる表現があったかもしれませんが、ここでは、あくまで政策について書いているだけですので、ご了解ください。
※ この投稿は、材料を提供するものであり、特定候補への投票を呼びかけるものではありません。
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