
構造的理解と戦略的思考
=生成AIと空飛ぶクルマの未来を考える=
HAAM公式noteのコラムシリーズ。
代表のPRODUCER江藤誠晃がAAMの未来を独自アプローチで構想します。
▪️イントロダクション
空飛ぶクルマ産業の未来を未来学的にBackcastingで探究していくコラム。
マーケティングにおいて求められるのは複雑な諸要素をシンプル化して世の中に提示することです。
例えば誰もが見たことがある「SDGs」の17ゴールをまとめたチャート図。
個々のゴールがシンプルワードとピクトグラムでアイコン化され、世界中の誰もが理解できる「絵」となっています。

▪️SDGsウェディングケーキモデル
しかし、2015年に発表されたこのシートに関して、17のゴールは明確化されたものの、その関係性までを見てとることが難しいという指摘が出たそうです。

そこで紹介したいのが、スウェーデンのレジリエンス研究所のヨハン・ロックストローム博士が考案した「SDGs ウェディングケーキモデル」と呼ばれるSDGsの構造モデルで経済・社会・環境の3層で成り立つ立体図です。
僕が統括プロデューサーを務める『観光甲子園』では、このモデルをベースに全国の高校生がSDGs思考で探究活動を行なっていますので、そちらの解説ページをご覧ください。
豊かな陸海で構成される「自然界」の上に人々の暮らす「社会」が成立し、そこで様々な仕事で「経済」が営まれている…
とSDGsの狙いを解説していますが「ものごとを構造的に理解することで、そこから戦略的思考が生まれる」というのが僕の基本的なマーケティングスタンスです。
解説ページ >>
▪️MDGsとは?
ところで、「SDGs」の前にその前身となる「MDGs」という取り組みがあったことを知る人は少ないかもしれません。
MDGsは「ミレニアム開発目標」で、2000年に国連で採択された2015年までの15年間で達成すべき8つの目標と21の具体的なターゲットです。
そう、SDGsの前身スキームは、主に途上国の貧困や飢餓、疾病などを根絶し、持続可能な開発を実現することを目指したものでした。

このMDGsは世界全体で多くの成果が認められましたが、主なものを挙げると…
●極度の貧困の削減:
1日1.25ドル未満で生活する人口割合が大幅に減少
●初等教育へのアクセス拡大:
女子初等教育へのアクセスが改善され、男女間の教育格差が縮小
●母子保健の改善:
5歳未満児死亡率や妊産婦死亡率が大幅に減少
●HIV/AIDS対策の進展:
新規HIV感染者数が減少
などで、途上国における劇的な社会課題の改善だったといえます。
が、一方でMDGsが達成できなかったゴールには以下のような課題がありました。
●地域間・国間の格差:
地域や国によって目標達成の度合いが大きく異なり、依然として貧困や格差が深
刻な地域が残る
●持続可能性への課題;
環境問題や経済格差など、持続可能な開発に向けた課題が依然として残された
そこで、MDGsの成果を踏まえ、より包括的で野心的な目標として構築されたのが2015年のSDGsだったのです。ここでは途上国支援ではなく全ての国家が連携して各種課題の解決を目指すために、経済、社会、環境の3つの側面から17の目標と169のターゲットを設定したわけです。
それから間もなく10年。
残念ながら2030年をターゲットイヤーとしたSDGsも現段階で全ての目標が達成できそうにありません。
想定していなかった世界的な感染症や国際紛争が、その要因であることは間違いありませんが、次の一手はあるのか?
ということで生成AIにこんな質問を投げました。
SDGsの期限が2030年にせまっていますが、目標が達成されない場合、新たなゴールが設定されるのでしょうか?
少し回答しづらい質問かと思いましたが、以下のように即答されました。
結論から言うと単純に「新たなゴールが設定される」というわけではありません。
なぜ新たなゴールが設定されないのか?
・SDGsの包括性:
SDGsは、貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー平等、水と衛生、エネルギー、働きがい、産業とイノベーション、インフラ、不平等、持続可能な都市、気候変動、海洋、陸の豊かさ、平和と公正、パートナーシップなど、地球が抱える様々な課題を網羅しています。これらは互いに関連しており、一側面だけを切り取って新たな目標を設定することは難しいと考えられています。
・継続性:
SDGsは、2015年に採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されており、国際社会が合意した長期的なビジョンです。2030年を過ぎても、これらの目標が達成されるまで、取り組みを継続していくことが重要とされています。
・柔軟性:
SDGsは、世界情勢の変化や新たな課題の発生に対応できるよう、ある程度の柔軟性を持たせて設計されています。そのため、2030年までにすべての目標が達成されなくても、その時点で新たな状況に合わせて目標を再定義したり、新たなターゲットを追加したりすることが考えられます。
2030年以降の展望
2030年以降は、以下のようなことが考えられます。
・達成状況の評価:
2030年に至るまでの進捗状況を詳細に評価し、達成された目標、達成できなかった目標、新たな課題などを明確にします。
・目標の再定義:
必要に応じて、達成できなかった目標や新たな課題に対応するため、目標やターゲットを再定義します。
・新たなフレームワークの構築:
SDGsの後継となるような、より長期的な視点を持った新たな国際的な枠組みが構築される可能性もあります。
重要なのは「継続性」と「柔軟性」
重要なのは、2030年を一つの区切りと捉え、その後も持続可能な開発に向けて取り組みを継続していくことです。SDGsは、目標達成のためのロードマップであり、そのゴールは常に変化し続ける可能性があることを理解しておく必要があります。
まとめ
SDGsの目標達成は、国際社会全体の努力が不可欠です。2030年以降も、持続可能な未来を築くために、各国政府、企業、市民社会が協力して取り組んでいくことが求められます。
論点がはぐらかされた感じですが
SDGsが再編されて継続されるのか?
新たな「●DGs」が検討されるのか?
動向を見守っていく必要があります。
▪️持続可能なeVTOL
MDGsからSDGs、そして2030年代の新たなアクションへ…
30年に及ぶ人類の「課題解決プロジェクト」が次のステージに移行する際、空飛ぶクルマが重要な存在になることは想像に難くありません。

そこで今度は生成AIに以下の問いかけです。
2030年をひとつの区切りとして、その後の持続可能な解決を考える時、空飛ぶクルマはどのような役割を持ち、どのような社会課題を解決してくれるでしょうか?

2030年以降の持続可能な社会の実現において、eVTOL(電動垂直離着陸機)は非常に重要な役割を果たすと期待されています。従来の交通システムでは解決が難しかった都市部の混雑や、地方の交通インフラの不足といった問題に対し、新たな解決策を提供できる可能性を秘めています。
<空飛ぶクルマが担う役割と解決できる社会課題>
1)都市部の交通
・渋滞の緩和:
道路交通の混雑を避けて、空中を移動することで、都市部の移動時間を短縮し、生産性の向上に貢献します。
・公共交通の充実:
地上交通網と連携し、公共交通の選択肢を増やすことで、より多くの人々が利用しやすい都市を実現します。
2)地方の交通インフラ不足
・アクセス性の向上:
遠隔地や交通の便が悪い地域へのアクセスを容易にし地域間の交流を促進します。
・医療や物資の輸送:
緊急時の医療搬送や、離島などへの物資輸送に活用することで、地域住民の生活の質を向上させます。
3)環境問題
・CO2排出量の削減:
電気エネルギーを利用することで、従来の航空機に比べてCO2排出量を大幅に削減し、環境負荷を低減します。
・騒音問題の軽減:
プロペラの小型化や騒音低減技術の進歩により、従来のヘリコプターに比べて騒音を大幅に抑え、周辺環境への影響を最小限に抑えます。
4)新たな産業の創出
・雇用創出:
eVTOLの開発、製造、運航など、新たな産業が生まれ、雇用創出に貢献します。
・経済成長:
新しいモビリティサービスの創出により、経済成長を牽引する可能性があります。
<2030年以降の展望>
2030年以降、eVTOLは都市部と地方を結ぶ新たな交通ネットワークを形成し、人々の生活を大きく変える可能性があります。例えば
・オンデマンド型の空のタクシーサービス:
スマートフォンアプリで呼び出し、目的地までドアツードアの移動が可能になります。
・都市間の短距離移動:
空港や駅との間の移動手段として利用されることで、航空機の利用を促進し、航空業界の活性化に貢献します。
・観光地のアクセス向上:
人里離れた観光地へのアクセスを容易にし、観光産業の活性化に貢献します。
<課題と今後の展望>
一方で、空飛ぶクルマの普及には、以下の課題も存在します。
・安全性:
高度な自動運転技術の開発や、安全基準の整備が必要です。
・コスト:
バッテリーの高性能化や量産体制の確立によるコスト削減が求められます。
・社会インフラ:
着陸場所の確保や空域管理システムの整備など、新たな社会インフラの整備が必要です。
これらの課題を克服し、持続可能な社会の実現に向けて、政府、企業、研究機関などが協力して取り組んでいく必要があります。
この手の質問に関する生成AIの解答は、概ねいつも同様でで目新しさはないのですが、SDGSウェディングケーキモデルの構造的アプローチで再見すると、そこを「経済」「社会」「環境」の3層で整理していくことができそうです。
空飛ぶクルマの未来ビジネスを考える時、ともすれば資本主義的「経済」のイシューとして検討されがちですが、まずは底辺となる自然界との関係性から構造的理解と戦略的思考の探究を進めていきましょう。
●次回はSDGs wedding cakeモデルを使って空飛ぶクルマ産業の未来を環境面から考えます