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HAAM注目!今月の空飛ぶクルマ最新ニュースまとめ【8〜9月】

HYOGO空飛ぶクルマ研究室【HAAM】(以下、HAAM)では毎月、次世代の乗り物「空飛ぶクルマ」の最新情報をピックアップし、国内と海外に分けてお届けしています。

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今月は地方自治体が主導となって取り組む、空飛ぶクルマ実装に向けた取り組みが目立ちました。空飛ぶクルマには単なる空の移動手段としてだけでなく、観光、災害救助などの分野で活用される可能性が大いに秘められています。

空飛ぶクルマを使用した新たなビジネスチャンスで地域が盛り上がり、地方活性化にも活かされることでしょう。

また海外では、機体開発企業の試験飛行に関するニュースが引き続き見られるほか、制御システムやカメラなど、空飛ぶクルマに関連した製品・サービスを開発する動きもありました。空飛ぶクルマ業界全体の広がりが推察されます。

今月も国内と海外に分けて、空飛ぶクルマに関する最新情報をお届けします。

【国内の空飛ぶクルマニュース】

1.大阪メトロが空飛ぶクルマ開発企業「SkyDrive」と提携。事業化を検討へ(8/26)

大阪メトロは8月26日、空飛ぶクルマの機体開発を手掛ける「SkyDrive」と資本業務提携を締結し、新たな移動サービスの実現に向けて事業の検討を進めることを発表しました。

10月に専門組織を立ち上げてビジネスモデルの策定に取り組むほか、SkyDriveと連携して、ニーズ調査や人材交流などを進めていくことを明らかにしています。

さらに大阪メトロは、機体の安全性を保証する国の「型式証明」を取得した上で、2028年には大阪市城東区森之宮に新設される地下鉄中央線の新駅近くに発着場を設け、空飛ぶクルマのサービスを開始するとのこと。

「移動の早さと柔軟さに優れる『空飛ぶクルマ』を加えることで、地下・地上・空が一体となった交通インフラの確立を目指したい」と河井社長は述べました。

デモフライトが開催される大阪・関西万博を前に発表された、大企業の空飛ぶクルマへの取り組み。今後より一層空飛ぶクルマが注目を浴びることとなるのでしょうか。

2.山梨県甲府市で、空飛ぶクルマの会議を開催。社会実装による、新しい地域づくりのきっかけに(9/10)

日本国内で空飛ぶクルマの導入を積極的に推進する都道府県はすでにいくつかありますが、新たな地方自治体が加わってきました。

空飛ぶクルマへのビジネス参画を促進する会議が10日、山梨県甲府市で開催されました。

山梨県では、大阪・関西万博での商用運航が予定されるなか、県内でも社会実装に向けて動いていきたいと「空の移動革命・社会実装推進ネットワーク」を構築し、県内自治体や事業者の理解促進、関連ビジネスへの参画を促しています。

今回実施された第一回会議には約170の団体が参加し、ゲストとして日本政策投資銀行の岩本学氏が講演を行いました。岩本氏は、海外では空飛ぶクルマ市場をベンチャー企業が主導している現状を説明した上で、今後も機体開発に参入するチャンスがあると示しました。

今後、物流、災害医療、観光など多様な分野で活用される可能性がある空飛ぶクルマ。この業界でビジネスに参入することは、新しい地域づくりに貢献することでもあります。

空飛ぶクルマの社会実装実現に向けた機運を高め、ビジネスチャンスを広げていく山梨県が、取り組みを通じてどのように地域全体を変えていくのかにも注目です。

3.御殿場アウトレットに空飛ぶクルマの離発着場を整備!静岡県内初整備へ(9/19)

静岡県で5月に発足した「静岡県次世代エアモビリティ導入促進プロジェクトチーム」は19日、静岡県庁で開かれた会合にて、御殿場市の商業施設「御殿場プレミアム・アウトレット」内にバーティポート(離着陸場)を整備することを明らかにしました。

バーティポートはアウトレットの「イーストゾーン」北側の駐車場付近に、機体の格納設備や誘導路などを含めて整備を行います。今年度中に整備を進め、2025年度中には実機飛行試験を行う計画とのことです。

静岡県は空飛ぶクルマの先進導入地域を目指し、27年度の商用運航開始を目途としたロードマップ策定を進めています。

整備されれば、県内初のバーティポートが誕生するとのこと。会合では県担当者が「県内で実機飛行が実現する意義は大きい。年間来場者1000万人規模のアウトレットでPR効果も期待できる」と話すなど、整備に連動した観光分野での活用や、社会受容性の向上を期待する声も聞かれました。

年間1,000万人以上が訪れる日本一のアウトレットモールにできる、空飛ぶクルマのバーティポート。来場者の上空を空飛ぶクルマが飛ぶことで、より多くの人がその存在と可能性に気づくことでしょう。

【海外の空飛ぶクルマニュース】

4.eVTOLの飛行制御システム開発に向けて。中国ベンチャー「辺界智控」が20億円を調達(8/27)

中国企業「辺界智控(Boundary.AI)」は8月27日、eVTOL(電動垂直離着陸機)の飛行制御システムを開発し、シリーズAで約1億元(約20億円)の資金調達を行ったことを明らかにしました。

基石資本(Costone Capital)や北航投資(Beihang Investment)など複数の企業が出資者となっており、調達資金は、耐空証明の取得や製品開発に充てられます。

中国は現在、国をあげて空飛ぶクルマの機体開発を進めていますが、飛行制御システムは海外企業からの供給に依存しています。しかし、現在欧米諸国は技術輸出規制を行っているため、これらが中国の航空産業の「急所」となっているのです。

飛行制御システムはeVTOLの安定飛行や姿勢制御、軌道制御などを担う重要な技術であり、辺界智控がこれらの開発を進めることは、中国の航空産業全体に影響します。辺界智控の今後と、より一層体制を強化した中国の空飛ぶクルマ開発の行方に注目です。

5.Archer Aviation、eVTOL機「Midnight」のテスト飛行回数が400回を超える(9/4)

4日、Archer AviationはeVTOL機「Midnight」のテスト飛行回数が402回に達し、2024年の目標である400回を予定より約4か月早く達成したと発表しました。

ArcherはFAA(連邦航空局)の認定に向けて飛行試験を強化しており、これまで8か月間にわたって飛行を行ってきました。CEOのアダム・ゴールドスタイン氏は、挑戦的な目標を早期に達成し、航空機の改良に向けたデータを取得したチームを称賛しています。

現在、Archerの飛行試験チームは移行飛行や高頻度運航、着陸プロファイルの進化、音響測定の強化、制御法則の最適化といった5つの主要分野に注力。「Midnight」の安全性や耐久性、性能の向上を図っています。

Archerは直近で、サウスウエスト航空やユナイテッド航空との提携を発表したばかりです。ロサンゼルスでのeVTOLネットワーク構築や航空会社との提携、米空軍への納入など、商業運航開始に向けた動きを拡大するArcherは、次はどのようなニュースを発表するのでしょうか。

6.Phase One、eVTOLに搭載できる新カメラを展示[Commercial UAV EXPO](9/6)

9月3日〜5日に開催された「Commercial UAV Expo 2024」。米国ラスベガスで開催される、商用ドローンの展示会です。そこで新型ドローンに並んで注目されていたのが、調査事業に用いられる高解像度カメラを開発する企業・Phase Oneが開発するカメラ「iXM series」です。

展示されたカメラは、航空写真、地図作成、測量、検査などに用いられるカメラをeVTOLやドローンなどのエアモビリティに搭載できるように設計されており、重さは600〜700gとなっています。

展示会の担当者は「鉄塔検査や鉄道の検査業務などに役立つ」と述べており、空飛ぶクルマの機体開発だけでなく、それに付随した機材の開発も進んでいることが分かります。

7.Horizon Aircraft、eVTOL機の本格開発に着手。飛行試験を加速し、ワールドクラスのチームを拡充(9/11)

New Horizon Aircraft Ltd.(Horizon Aircraft)は11日、開発中のeVTOL「Cavorite X7」における、進行状況を発表しました。CEOのBrandon Robinson氏はHorizon Aircraftの技術とチームに自信を示し、オペレーターからも強い支持を得ていると述べています。

Cavorite X7は通常の飛行機のようにミッションを遂行でき、時速約250マイル、航続距離は500マイル以上を誇ります。医療搬送や災害救援、軍事任務などに適しており、悪天候や厳しい環境でも運用可能な機体として設計されているとのことです。

同社は大型プロトタイプの飛行テストプログラムを進行中で、年末までの完全移行を予定しています。運行に必要な他の技術開発も同時進行しており、効率的にプロトタイプテストが行われていていることが伺えます。

Cavorite X7はハイブリッド電動システムを搭載しているため、飛行中および飛行後にバッテリーの再充電を行い、ヘリコプターの約2倍の速度で長時間運行することが可能です。運行にあたってコスト削減も期待される、Cavorite X7の今後に注目です。

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新しい情報が入り次第、今後も空飛ぶクルマの最新ニュースをお届けしていきます。

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HYOGO空飛ぶクルマ研究室【HAAM】
SDGs思考で未来の空を構想するシンクタンクをコンセプトに、空飛ぶクルマの実用化が期待される2030年代に社会の中核を担うZ世代以降の若者【大学生・高校生】と共に観光・地域創生分野における具体的なビジネスモデルを考えるラボラトリー。大学生向けの空飛ぶゼミや高校生のSDGsへの関心を集める企画などを実施。


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