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HAAM注目!今月の空飛ぶクルマ最新ニュースまとめ【2〜3月】
HYOGO空飛ぶクルマ研究室【HAAM】(以下、HAAM)では毎月、次世代の乗り物「空飛ぶクルマ」の最新情報をピックアップし、国内と海外に分けてお届けしています。
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2〜3月は各地で空飛ぶクルマの実装に向けた実証実験の取り組みが見られた一方、あの身近なスーパーマーケットを展開する企業が離発着場(バーティポート)の設置に向けて動き出すなど、身近な場所でも空飛ぶクルマを活用する未来が見え始めました。
実証実験も地域を巻き込んだイベント形式のものが開催されるようになるなど、空飛ぶクルマ社会の実現に必要不可欠な、社会受容性の向上に向けた動きが強まっている模様です。
今月も国内と国外に分けて、空飛ぶクルマに関する最新情報をお届けします。
【国内の空飛ぶクルマニュース】
1.大分県にて、ベンチャー企業による実証用の機体を使った飛行実験を実施(3/1)
大分県・豊後大野市の県央飛行場で実証用の機体を使った飛行実験が行われました。
実験を行ったのは、法政大学大学院アーバンエアモビリティ研究所(HUAM)所長の御法川 学氏が代表を務める、eVTOL開発企業のHIEN Aero Technologies(東京都小金井市)。
HIENはガスタービン発電機によって発電し、その電力で浮上・推進するシリーズハイブリッド型のeVTOLを開発しています。使用しているガスタービンエンジンは従来に比べ軽量・高出力なものを採用しており、将来開発されるであろう大型eVTOLに応用した際も飛行時間や距離、積載量を増やすことができるとして注目が集まっていました。
3月1日の実験では、プロペラが回りだすと、機体はおよそ8mの高さまで垂直に離陸。30秒から40秒ほど浮上しました。
HIENは今後機体を大型化し、2030年には6人乗りの「空飛ぶクルマ」の実用化を目指します。「いろいろな課題はあるが、バッテリーの減りが少ないことなどが確認できた。人や物を運べる機体を大分県から開発したい」と御法川氏は話しました。
国内では2025年の大阪・関西万博に向けた取り組みが進んでいますが、その先を見越した社会実装に向けた機体開発の動きも起こっていることがわかります。
2.3月10日淡路市にて、関西圏初「空飛ぶクルマ」の有人飛行実証に成功(3/10)
「空飛ぶクルマ」の自動運転による有人飛行実証実験が、兵庫県淡路市の淡路市夢舞台サスティナブル・パークで実施されました。
当日は、駐機中の機体への試乗体験や写真撮影ができるほか「空飛ぶクルマ」に関するグッズ販売やパネルが展示されるなど、終始お祭りモードに。
今回の実験ではE-hang社製の無操縦者航空機(EH216)を利用し、パイロットは搭乗せず検査員のみが搭乗することで、遠隔操作で飛行の安全性の技術的検証を行いました。
実験は見事成功。空飛ぶクルマを飛行させるのは今回が関西圏で初めてとのことで、2025年の大阪・関西万博に向けて期待が高まります。
今後淡路市は、空飛ぶクルマを利用した新産業の創出や未来の観光インフラ、災害現場での実用化を目指すとのこと。淡路市といえば、綺麗な海やアートで知られる淡路島なども有名な地域でもあります。
観光産業と市民の生活、両方への貢献・活用を目指す淡路市の今後に注目です。
3.SkyDrive、チャーター機運航会社「Bravo Air」から空飛ぶクルマ5機のプレオーダー契約(3/14)
日本で空飛ぶクルマ開発の最先端を進む株式会社SkyDriveからも、ニュースが届いています。3月14日(木)、SkyDriveはアメリカのプライベートチャーター機運航会社「Bravo Air」と最大5機の空飛ぶクルマのプレオーダー契約を結びました。
アメリカ・ジョージア州にあるオーガスタ・リージョナル空港を起点とした空飛ぶクルマのエアタクシーネットワークを確立し、通勤客や旅行者に向けたシームレスな「ラスト・ワン・マイル モビリティ」体験を提供することを目指します。
SkyDriveは2023年1月にサウスカロライナ州に拠点を設置し、これまで州政府や地方自治体など主要ステークホルダーの協力の下、米国市場への参入を図っていました。
今回の提携によってSkyDriveはサウスカロライナ州からジョージア州に事業を拡大し、地域社会に安全で持続可能かつ効率的な空の移動を提供するため、さらに歩みを進めます。
日本で立ち上がったスタートアップが海外でも進める、空飛ぶクルマのイノベーション。海外をフィールドに知見を集めた日本企業が、国内に事業を逆輸入することも考えられるため、これは決して他人事ではありません。
4.ANA、イオンモールと連携して空飛ぶクルマの離着陸ポートを設置へ(3/18)
空飛ぶクルマの運用に欠かせない離着陸ポート(バーティポート)。これまで都市部のビルなどを想定して開発が進んでいましたが、皆さんのより身近な場所でも、空飛ぶクルマに乗降できるようになるかもしれません。
日本の航空会社・ANAホールディングスとイオンモールは、主に関東圏、関西圏におけるイオンモールへの空飛ぶクルマの離着陸ポート(バーティポート)設置を目指し、開発・運用のほか、新たな価値創造、まちづくりや社会課題解決の観点で検討を行う覚書を締結しました。
イオンモールが「まちの中の新たな空港」という位置づけでバーティポートを設置し、ANAが実現を目指すエアタクシーサービスと連携することで、空飛ぶクルマを使って短時間で目的地に到着するシームレスで新たな価値の創造を目指すとのこと。
開発は進むものの、未だ身近な場所でその存在を感じることは難しい空飛ぶクルマ。多くの人にとって身近なイオンが、世間から空飛ぶクルマを認知・受容されるためのカギとなるのでしょうか?
【海外の空飛ぶクルマニュース】
5.中国の空飛ぶクルマ「100km超のデモ飛行」に成功(2/27)
2017年から空飛ぶクルマ事業を手がける、中国における空飛ぶクルマ開発のパイオニア「峰飛航空科技(オートフライト)」は、5人乗りの機体を使った都市間輸送のデモンストレーション飛行を成功させました。
深圳に本拠を置くヘリコプター運航会社「東部通用航空」の全面サポートを得て実現した、2月27日のデモ飛行。飛行した距離は、広東省深圳市の蛇口港から珠江を挟んだ対岸にある九州港までの往復100kmを超えました。
これは自動車なら約3時間の所要時間となる距離にあたりますが、今回かかった時間はなんと約20分。大幅に時間を短縮できることを実証し、空飛ぶクルマのポテンシャルを証明しました。
中国では地域をあげた空飛ぶクルマ実装への取り組みが多く見られます。
例えば実験フィールドとなった深圳市政府は2023年7月、一定の条件を満たした空飛ぶクルマの関連企業が同市に進出した場合、最大2000万元(約4億1786万円)の補助金支給を含む手厚いサポートを提供する政策を発表するなど、企業誘致と産業育成に強い意欲を見せています。
こうした支援状況からも、今後加速することが予想される中国の空飛ぶクルマ産業。各国の状況に目が離せません。
6.Airbusの空飛ぶクルマ「CityAirbus NextGen」お披露目(3/7)
2024年3月7日、世界中の旅客機開発を担う「Airbus(エアバス)」が現在開発中のeVTOL「CityAirbus NextGen」とドイツ・ドナウヴェルトにある研究開発施設の全貌を公開しました。
「CityAirbus NextGen」は3〜4人乗りの空飛ぶクルマで、8つのローターを備えた2tクラスの回転翼航空機。翼長は約12mとやや大きめな機体ながら航続距離80km、巡航速度120km/hで飛行します。
機体はプロトタイプで、2023年12月に電源投入(パワーオン)を実施済みとのこと。今後2024年度後半の初有人飛行に向けて、電気モーターやローター、飛行制御技術などのテストを実施します。
また、Airbusはグローバルネットワークとパートナーシップを拡大し、市場を育成する独自のエコシステムを構築するほか、大手航空リース会社であるLCIとパートナーシップ契約も締結しています。
すでに戦略・商業化・資金調達の3つの面で課題をクリアしており、事業への参入に向けて着々と駒を進めていることが明らかになりました。
旅客機市場の多くを占める一大企業の空飛ぶクルマ市場への進出が、どのようなインパクトを世界に与えるのか、注目が集まります。
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新しい情報が入り次第、今後も空飛ぶクルマの最新ニュースをお届けしていきます。
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▼「空飛ぶクルマってそもそもどんなもの?」という方は、まずはこちらの記事をご覧ください!
HYOGO空飛ぶクルマ研究室【HAAM】
SDGs思考で未来の空を構想するシンクタンクをコンセプトに、空飛ぶクルマの実用化が期待される2030年代に社会の中核を担うZ世代以降の若者【大学生・高校生】と共に観光・地域創生分野における具体的なビジネスモデルを考えるラボラトリー。大学生向けの空飛ぶゼミや高校生のSDGsへの関心を集める企画などを実施。