eVTOLの未来学的アプローチ
=生成AIと空飛ぶクルマの未来を考える=
HAAM公式noteのコラムシリーズ。
代表のPRODUCER江藤誠晃がAAMの未来を独自アプローチで構想します。
▪️イントロダクション
今月HAAMは2024年度下期の「空飛ぶクルマ産業の未来人材輩出プログラム」を発表しました。
空飛ぶクルマ関連事業なのにプランクトン?
と思われる方が多いと思いますので、そこを説明します。
7月のコラムタイトルを「飛ぶか?浮かぶか?」として、懐かしい気球の旅を引き合いに遊覧飛行は「浮かぶ」という表現が相応しいと僕は記しました。
水中を漂いながら増殖を通じて生態系の維持に貴重な役割を果たす「浮遊生物」であるプランクトン。
その「水中」を「空中」に置き換えてみると、3次元化が強化された未来社会におけるeVTOLは人工的なPLANKTONSである、という前提のプロジェクト名なのです。
さらに、その未来社会に向けて活躍フィールドを増殖させていく若者たちのコミュニティ(ゼミナール)名としたわけです。
▪️未来学とは?
「未来学」という学問分野をご存知ですか?
過去から現在に至る歴史を踏まえて未来がどのように変わっていくか調査・推論する学問分野で、現在をベースに未来社会を予測する方法論が一般的であるのに対して、想定する未来をもたらすために、今、何をすべきかを考える「Backcasting」 の手法があります。
「Backcasting」アプローチが採られる最たる事例がSDGsでしょう。
世界が共有する環境・社会・経済の様々な課題の解決目標がSDGsですが、その基本的アプローチは従来の「Forecasting」と呼ばれる改善策の積み上げではなく、未来の姿から逆算して現在の施策を考える「Backcasting」です。
SDGsを僕なりに説明すると…
「かなり “やばい” 状況にある世の中の課題に対して、これまでのやり方で解決できそうにないけど、僕たちの世界は2030年にこういう状態になっていなければいけないから、チャレンジングな数値目標を掲げて知恵を出して行動するのだ!」
となります。
この文脈にeVTOL(空飛ぶクルマ)を当てはめてみるといかがでしょう?
今はこの世にない乗り物が重要なソリューション(解決策)になると思うのです。
空飛ぶクルマの技術は未来をどう変容させるのか?
空飛ぶクルマで変わる社会システムとは何か?
空飛ぶクルマから僕たちにどのような価値観が生まれるのか?
そんなテーマを並べると「空飛ぶクルマの未来学」が成立します。
▪️DAO型ゼミナールとは?
そこでHAAMがプロデュースする『PLANKTONS』が採用したスタイルが「DAO」と呼ばれる新しい組織スタイルです。
●DAO
DAOはDecentralized Autonomous Organizationの略で、日本語では「自律分散型組織」と呼ばれ、社会活動や経済活動における組織と手法を大きく変容させる仕組みとして注目されています。
PLANKTONSは空飛ぶクルマ産業に関心を持つアンビシャス(大志を持つ)大学生向けのインカレゼミを目指し、ここに属したメンバーが2030年代に到来する三次元化社会を変容させる「浮遊人材」になってほしいという願いと共に活動するコミュニティです。
担当教授の指導のもとに小人数の学生が特定テーマについて討論を重ねながら研究していく一般的な大学のゼミナールに対して、DAO型ゼミナールでは業界のプロと有志大学生が一緒に探究活動を行います。
空飛ぶクルマのように「未来」に無限の可能性がある分野では「Backcasting」のアプローチが必要であることから、指導者と学習者という上下関係ではなく、世代を超えて新たな価値を共創するフラットな関係のゼミナールが必要です。
●NFT
DAO型ゼミナールで注目いただきたいポイントが参加メンバーの所属とそこで得た成果を証明する「NFT」という仕組みがあることです。
具体的には参加者個々に付与される【NFT:MEMBER ID】が学生証にあたり、ゼミナール活動として行うアイデアソンの記録の【NFT:REPORT】で卒業論文にあたります。
NFT(Non-Fungible Token)は「非代替性トークン」と訳されますが、唯一無二の価値を持つデジタルデータを指し、ネットワーク上に分散してデータを管理する「ブロックチェーン」という仕組みによって証明されます。
詳しくはHAAMの公式サイトで解説していますが、就職活動の際に「空飛ぶクルマに強い大学生」としてのメンバー証明を提示することができ、探究レポートにまとめたプランを知的財産として将来的な起業に活かすこともできます。
『PLANKTONS』の解説を読む>>
▪️未来は手繰り寄せるもの
ゼミナールにDAOやNFTを採用したのは、この新たな仕組みが未来学的なBackcastingの学びに必須と考えたからですが、いつものように生成AIに問い掛けました。
回答はかなり具体的なものでした。
生成AIはプロンプト(質問)に対してインターネット上に分散する情報を効率的に収集して体系的にまとめるプロフェッショナルです。
瞬時にここまでのレポートをまとめてくれることには驚きですが、その背景には既にDAOやNFTに関する広範な情報が存在し「空飛ぶクルマ」に関する情報と関連させて一定の見解を提示してくれるところにあります。
ただし、「AIとの対話」で注意すべきは空飛ぶクルマ産業のように現段階において実態のない未来産業への洞察は全てが「仮説」であり、ここを検証していく、まさにBackcastingが重要になるということです。
未来は「座して待つ」ものではなく、「自ら手繰り寄せる」ものであるべき。
Z世代の『PLANKTONS』へのご参加を期待しておりますが、このコラムでも未来学的な探究活動を共有していきたいと思います。
●次回以降で空飛ぶクルマ産業のBackcastingを重ねていきます