69歳全盲ランナー初の全国へ


自宅近くで走るポーズをとる、全盲のランナー酒井智彦さん。
普段は伴奏者と一緒に走る=丹波篠山市栗栖野

ホームから転落、骨折乗り越え

全盲のランナー、酒井智彦さん(69)=丹波篠山市鹿児島県で開かれる全国障害者スポーツ大会「燃ゆる感動かごしま大会」(28〜30日)の陸上1500メートルに兵庫県代表として初出場する。

昨年10月、最寄りのJR南八代駅のホームから転落し、右足と腰椎を骨折。リハビリを重ね、5月の県大会で金メダルを獲得した。「全国では自己ベスト更新を目指したい」と意気込んでいる。
  (堀井正純)

 酒井さんは中学時代、陸上部で活躍していたが、難病の網膜色素変性症のため次第に視力が低下。45歳で全盲となった。

 前向きな性格で、モットーは「日々挑戦」「一歩前進」。できるだけ外出し、様々な人々と交流することを心がけている。音声でパソコンやスマートフォンを使いこなし、たびたび1人で外出もする。

 ブラインドマラソンを始めたのは7年前。誘われて講習会に参加し、「フォームが良い」とほめられ、練習を重ねるようになった。

 しかし練習に必要な伴走者が地元におらず、三田など各地に1人で出向く。昨年の骨折事故も明石での練習後、帰宅する途中に起きた。

 いつもの6両編成の電車に乗ったつもりが4両編成で、駅での降車位置がずれた。方向転換で線路側とホーム側を勘違いし、雨で傘を差していたこともあって、足を踏み外した。約1.2メートル下の線路に落下。助けを求めたが無人駅で反応はなかった。必死でホームによじのぼり、自力で駅近くの自宅まで足を引きずり帰った。翌日、受診すると腰椎と右足くるぶしの骨折が判明。約2カ月間入院生活を送った。

 リハビリの末、再び走ることができるまで回復した。5月末の「県障害者のじぎくスポーツ大会」1500メートルでは8分29秒45で、障害種別1位に輝いた。足にはまだボルトが入っているが、11月の「福知山マラソン」(京都府)など複数の大会出場を目指すため、手術を延期している。

 全国の大舞台を前に「目標は7分36秒の自己ベスト更新。各地に頑張っている人がいるので、兵庫代表として、交流を深めるのも楽しみ」と話している。
新聞記事、ここまで

(第26回タンデム大会でも、受付時間まで川原を走ってらっしゃいました!)