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【短期連載②】FM PORT停波という一大事件に遭遇して
PORTについては前記事でも若干触れましたが、この記事では徹底的に(?)書いてみたいと思います。
1.停波発表から停波まで
停波決定のニュースに触れるまで、PORTがそんなに若い放送局だとは知りませんでした。(開局20周年を半年後に控えての停波でした) PORT開局の2000年は小3でしたので、さすがにラジオのラの字も知らない頃だったと思います。
どなたから聞いたかは覚えていませんが、かつて新潟には2つの選択肢があったそうです。つまり、第5の民放テレビ局か第2の民放FM局か。その根拠をネット上で探しても見当たらないのが気になりますが(汗
仮に前者が実現していれば、TXNネットワーク(テレ東系)に加入しなかったとしてもテレ東製作番組を多く見られるようになっただろうと推測される訳です。そっちの方が長続きしたんだろうか、と思ってしまうのも事実ですが…
これも前記事に書きましたが、この一報を聞いてすぐにPORTを再び聴き始めた訳ではありませんでした。しかも、radikoをインストールした後もしばらくは、以前聞いていた番組を「聞くこともあれば、聞かないこともある」状態で…
もう一つPORTへのお詫びを書くと、2013年に某番組に出演させていただいたことがあったのに、停波間際までまともにPORTを聞かなかったのです(汗 BSNやTBSに出演した際はほとんど生電話、僅かにロケ生中継の時もありましたが、PORTに唯一出演させていただいた時はスタジオでの事前収録でした。(その時のメインは父で、ついて行ってみたら喋らせてもらえたという顛末)
しかしながら、最後の1週間くらいはもっと聞かねばと思い、遠藤麻理さんのモーニングゲートはほとんど聞いていました。(タイムフリーでは3時間しか聞けないので、最後の10分が聞けずじまいでしたが)
そして最後の一日は、モーゲーに加えて、立石さん・佐藤さん・島村さんの番組をかいつまむように聞き、20時からの「最後の4時間」に備えたのでした。
(なお、その前夜にはリスナーからのリクエストに応えたり生電話を繋いだりする5時間特番も放送されました。その他にもいくつか閉局特番あり)
最後の4時間特番のメインナビゲーターは、先述の遠藤さんと、PORTで唯一聞き続けていた「NIGHT i」担当の松本愛さん(※)。このお二人が開局以来ずっとPORTに携わってこられたということもその時に知ったんですが、このラインナップが分かった段階で「至極の4時間」になることは決まったも同然でした。
番組はオールスター感謝祭といった様相で、スタジオに現役ナビゲーターが出演する合間に過去のナビゲーターの収録メッセージを挟んだり、新潟を離れた元ナビゲーターとも電話を繋いだりと、それはもう豪華でした。その大半は知らない方々だった訳ですが、それでも過去の様々なエピソードにすぐに引き込まれていきました。
ここ数年はTwitterから離れ気味になっていましたが、この夜だけは全盛期(?)のようにTwitter実況を楽しみました。それ以来、ツイート数が多少増えているように思われるのは、PORT閉局の思わぬ影響です。
※今回の見出し画像に写っているのは、NIGHT iからいただいたステッカー。保有しているPORTのステッカーはこれが唯一です。
PORT末期に、初めて聞いて驚いたことが2つありました。
一つは、閉局前夜のリクエスト特番のことをfbに投稿した際にコメントで教えていただいたことです。fbfの方曰く、「開局当初は朝から夜8時まで生放送の後、2時間の録音番組を挟み、再び夜10時から深夜1時、1時から4時と生放送をやっていた」というのです。よくそんな体制を敷けたもんだなぁと…
もう一つは、「最後の4時間」で出てきたエピソードや過去のナビゲーター陣に驚かされました。中でも、元チェッカーズの武内亨さんが番組を持たれていたことには。(残念ながらwikiには載ってないんですが汗)
終始お祭り騒ぎだった番組も23:50で実質的に終わり、エンドロールのような形で現役・歴代ナビゲーターのメッセージが次々に流されました。そして、遠藤さん・松本さんが声を揃えての「ありがとうございました」を以て、FM PORTはその歴史に幕を閉じたのです。
(致し方ないこととは言え、radikoでの配信も停波と同時に終了したのは残念でした。通常通りの措置を適用してくれればと思いましたが…)
しかし、PORTの歴史はただでは終わりませんでした。
空はひどい雨で
— Alkaline acid (@Alkalineacid4) June 30, 2020
リスナーの心を表してるみたいに思う
最後、停波してから1位まで伸びたね
いままでありがとう、FMPORT。#fmport#fmportありがとう #fmport790 pic.twitter.com/pDEfA2UDwn
(Twitterのサムネはこんなに大きく表示されるんですね^^;)
もちろん県外リスナーのツイートも多数あったとは思うんですが、だとしても「停波するのに日本一」なんて、何という結末かと…
2.どうしても悔やんでしまうこと
一つは、先述の内容に通じますが「こんなにポテンシャルのある放送局が停波に追い込まれたこと」です。「最後の4時間」の中で、深澤弘さん(東京支社長)がおっしゃっていたことも悔しさを増幅させました。
「J-WAVE関係者はよく、PORTは垢抜けていて聞きやすいと言っている」
とは言え民間企業である以上、避けられない現実というものがあります。破産手続開始の記事に負債総額も記されていました。
FMポート破産手続き 6月閉局 負債2億2000万円 | 経済 | 新潟県内のニュース | 新潟日報モア
また、停波のお知らせの中にも慢性的に債務超過状態だったと記されていました。
重点的に聞いた最後の1週間だけでも、多くのリスナーから「宝くじが当たったら…」「将来大物になったら…」と、PORT支援予約(?)を表明するメールが相次ぎ、非常に切なく感じました。
偶然というのは皮肉なもので、実は、6月に入ってから聞き始めた「赤江珠緒たまむすび」(TBSラジオ)でこんな調査企画が持ち上がったのです。
この謎は「カンパはリスナーからのハガキのことだった」ということで決着したんですが、もし文字通りのカンパをPORTが募っていたとしたら…と思ってしまったのです。
このコロナ禍で、いわゆる投げ銭システムが徐々に一般化しているようです。それ以前にも、クラウドファンディングという「既存の寄付制度とは異なる形」が日本でも浸透し始めていたと思います。
2.2億円という数字を見るとそういった「草の根」の動きでは太刀打ちできないようにも思うんですが、とにもかくにもPORTがもっと早くヘルプを出してくれていたら…ということです。
閉局の数日前から県内の各局・各紙がPORT閉局について取り上げ、その一つ一つがいい内容でした。
(ここで某局YouTubeアカウントにアップされていたニュース映像を紹介するつもりにしていたんですが、いつの間にか非公開になっていました汗)
そして、あろうことか…
【明日に架ける橋…】
— NHK広報局 (@NHK_PR) July 1, 2020
新潟局 @nhk_niigata のサイトを見ていたら、きょう夕方の「新潟ニュース610」の放送予定に『県民に親しまれたFM放送局閉局』と。
最後の放送、聞いてましたよ。
本当にお疲れ様でした。
新潟県の皆さん、よかったら6:10から総合テレビを。https://t.co/eb3tQBetv6 pic.twitter.com/Mlbfl4JHpY
「あろうことか」と言うのも何ですが、あのNHK公式が取り上げるほどの出来事となったのです。
これで何を想起したかと言えば、各地で毎年のように起きてしまっている鉄道の廃線でした。
8/25追記:もう一つ気になっていたのは、PORT社屋の立地です。いろいろな事情からあのビルの中に入っていたようですが、賃料を普通に払っていたのだとしたら「もっと安いところに移れなかったんだろうか」と思ってしまいます。8月から始まった某番組では「PORTのスタジオは相当狭かった」という話がありました…
3.PORT無き現在
閉局直後の新潟市周辺は、ただならぬ大雨に見舞われました。(tenki.jpによれば、0~3時の3時間降水量は18.5㎜) それを涙雨になぞらえたツイートが並んだのは言うまでもありません。
翌朝からTwitterでは「ポートロス」が大量発生していました。それがある程度収まったのは元PORTナビゲーター陣の「転身」番組がスタートしたからだと思いますが。
元ナビゲーター陣の現在のご活躍を、知る限りご紹介します。(PORT時代から担当していた番組等は割愛)
遠藤麻理さん
(月)~(水)13:00~14:30、(木)13:00~14:40 BSNラジオ 四畳半スタジオ
10/8追記:秋改編により、9/29から金曜のみ10分延長
島村仁さん
(水)19:00~20:55 FM-NIIGATA JIN'S RADIO SHOW
立石勇生さん
(土)13:00~14:55 BSNラジオ 立石勇生 SUNNY SIDE
SWAMPさん
最終(日)17:30~18:55 BSNラジオ A Laid-back Life -旅するテント-
海津ゆうこさん(先日、見事YouTuberになられました)
(日)16:00~ YouTubeチャンネル かいつゆうこのラジオ
(他にも、平日夜などにライブ配信、さらにステッカーキャンペーンもあり)
BSNは、閉局翌朝から元PORTリスナーを歓迎する雰囲気を前面に出していたようです。結果的に「受け入れ」番組数も最多となりました。(比較対象が1局しかありませんが)
「四畳半」はすべて聞くようにしていますが、放送開始から3週間を終えて落ち着き始めているように感じています。
とは言え、当然ながらすべての番組・ナビゲーターが転身先を見出した訳ではありません。また、PORTという箱がなくなってしまったこと自体が新潟県の文化にとって相当な損失であることには変わりないとも思います。
個人的に懸念しているのは2点です。
一つはスポーツ中継。PORTは主にサッカー・バスケのアルビ戦を多く生中継していました。アウェーの試合を中心に、他局のアナウンサーに実況してもらっていたこともありました。その中継で大きな役割を担っていた立石さんは上記の通りBSNで番組を始め、その中でスポーツコーナーを持っています。放送開始から1ヶ月足らずで具体的に予定が立っていないのは無理もないと思いますが、今季中にBSNでサッカー中継があるかどうかが気になるところです。(昨季までは普通に数試合やっていた訳ですので)
もう一つはクラシック番組です。PORTでは(土)夜に「クラシック・ホワイエ」という1時間番組が放送されていました。(番組名で検索したら、ナビゲーターの方のサイトに行き着きました)
PORTにはこれと別に、(水)午後の番組内にりゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)の情報コーナーがありました。似たコーナーはBSNにもありますが((金)15:40過ぎ~らしい)、クラシックに特化した番組がBSNで始まってほしいなぁと個人的に思います。
(以前、BSNにもクラシック?な音楽番組は存在したんですが)
本稿はこれまでとして、本連載の最終回となる次回では、素人なりにローカルメディアの今後について考えてみたいと思います。
PORTのホームページは8月になった頃に閉鎖されたようですが、6月のうちにダウンロードしておいた「最後の番組表」を添付します。懐かしんでいただければ幸いです。
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