Hylable の話し合い定量データの分析: Excel で相関を分析する 後編
おたまじゃくし研究所では、ハーモニーのあるコミュニケーションを実現するために、日々研究をしています。
前回の note では、Hylable の話し合いデータを Excel フォーマットでダウンロードして、相関係数を計算しました。今回は、計算した相関データから、話し合いの状態を読み取っていきます。
この記事の前編はこちら
Hylable の話し合い定量データの分析: Excel で相関関係を調べる 前編
おさらい
6名の話し合いのデータから発話量の時間変化を選び、それぞれのペアで相関係数を計算しました。それがこちらの表です。
赤が負の相関が強いことを、青が正の相関が強いことを表します。つまり、赤いマスは「そのペアは同時に話さない傾向がある」、青いマスは「そのペアは同時に話す傾向がある」といえます。
使用する相関係数の選択
次に、相関の傾向が顕著なデータを探します。ここでは、相関係数0を帰無仮説とした統計的検定を各マスごとに5%の有意水準で行い、データを選びました。
結果は以下のとおりです。赤いマスが負の相関が顕著なペア、青いマスが正の相関が顕著なペアです、黒は有意ではなかったペアです。
なお、相関係数の計算に順序は無いため、「AさんとBさんの相関」と「BさんとAさんの相関」は同じ値になります。つまりこの表は対称になるので、重複を除くと実際に読み解く相関係数はこちらの7つだけになります。
データを読み解く
準備ができたのでデータを読み解いて行きましょう。2つのことが読み解けます。
第1は、所長の水本が、柳楽を除く4名の研究員(あきら・Joe・がくちょ・角勝)全員と負の相関があるという点です。つまり、水本が話していたときは4名のは黙っていて、4名の誰かが話していたときは水本は黙っていたようです。
実際に音声を聞いてみると、水本は技術的な質問に回答していることが頻繁にありました。つまり、水本の回答中に4名の研究員はそれを聞く、という交互に話すようなコミュニケーションをしていたと推測できます。(決して初回の実験だからデータに気を取られて輪にはいれなかったわけでは有りません。決して。)
第2は、井上研究員(Joe)・仲山研究員(がくちょ)・柳楽研究員(柳楽)が互いに正の相関がある、という点です。つまり、この3名は同時に発言し同時に黙っていたようです。
実際に音声を聞いてみると、この3名はそれぞれのエピソードに笑いや合いの手などを多く入れることで、それぞれの会話に参加していました。つまり似た行動を取っているので、この3名の感性・笑いのツボが似ていると推測できるかもしれません。
まとめ
今回は、第1回研究ミーティングを Excel と相関係数を使って分析ました。非常にシンプルですが、話し合いの様子が見えてきました。
1回の会話データだけではなく複数回のデータを合わせると、より信頼性の高い傾向や、話題やメンバーの組み合わせによる行動の変化など、様々な分析が可能になるでしょう。
自分たちのコミュニケーションでも定量的に分析がしたい!と思ったら、当研究所までお気軽にお問い合わせください。
執筆:水本武志