旅について
幼少のころは、引きこもり気味でした。できるだけ家の中に居たがる子供で、外の世界で、他の子たちとたくさん交流することは、あまり好んでいませんでした。中学に入学するのと同時に、親の仕事の都合でイギリスに住むことになりました。日本語以外の言葉をしゃべったこともないまま、現地校に通うことになって、心情的には孤独だったことを覚えています。日本に帰りたいなあと思いながら3年を過ごし、帰ってきたら、すでに友人関係が出来上がっているなかへ、編入して入っていったので、またそこで疎外感のようなものを覚えました。
ひょっとしたら、それは疎外感ではなくて、うまくアダプトすることがそもそも難しいという、思春期の悩みそのものだったのかもしれないです。
今は、自分が小さいころからずっとやりたかった、音楽を演奏する仕事をして、暮らしています。とても喜ばしいことだし、関わっていただいている方々、音楽を聴きにきたりしてくださる方々に、深く感謝しています。そして、あんなに苦手だった、「外へ出ていくこと」が、少しづつ自然にできるようになっていきました。旅をすること、遠くに出かけていくことが、自分にとっての仕事でもあり、可能性でもあることを学びました。
どこにも行かなかった日々、どこにも行けなかった日々、どこにも行きたくなかった日々、いろんな時間を経て、いろんな場所へ旅する人間となりました。
苦手だった英語も、アメリカのテレビ番組(David Letterman Showとか、アニメSimpsonsとか、いろんなStand-up Comedianとか)や、好きなミュージシャンのインタビューとかをとにかく見まくって、この話がどう面白いのかっていう理由を知りたい好奇心を使って、少しづつ勉強しました。
思えば遠くへきたもんだ的モーメントを最近体験したので、つい振り返って、しみじみいろいろ思いました。でも未だに、旅の後半になると帰りたいなあって思う部分は全然変わってないですけど(笑)。