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シンガポール旅行に関するキコウ文・ユニバーサル・スタジオ・シンガポールから帰国まで、編

ある程度の日数が経つと、
その街に身体が馴染んできて、
基本的な動作に緊張感がなくなる。
バスに乗る、ものを買う、改札を通る。
そういう動作が全然新鮮じゃなくなってくる。

感情に関しても同じようなもので、
ここまで来るとその場その場の空気をイチから楽しむというより、
慣れでできたベースの感情にどう起伏を持たせるか、
できてきた日常の中にどう非日常を入れ込むか、
みたいな段階になっていた気がする。



4日目、つまり旅行最終日程であるこの日は、
ユニバーサル・スタジオ・シンガポール(USS)に行くことが
主な予定となっていた。

USSは日本のUSJよりもかなり小さいので、すぐに周れてしまう。
アトラクションのテーマになっている映画も、
日本とだいぶ違い、しかもそれなりにニッチな映画が多いので、
ユニバーサルに来た感があまりなかった。

というか、そもそもテーマパークというものは、
その場所にあるローカルな空気みたいなものを可能な限り排除して
出来上がっているものだと思うので、
旅行先でテーマパークに行くっていうことは、
どういう意味をもっているのかな?
とか考えていた。

日本のディズニーにもUSJにも外国の人はいっぱいいる。
テーマパークは、自分が知ってるカルチャーが取り扱われている。
運営しているのがグローバルな企業、もといユニバーサルな企業だから、
ある程度のクオリティは確保されている。
だから、その場所に馴染むためのの緊張感を感じることも、
価格に対してのハズレだった経験をすることをしなくてよくて、
つまりは、ただただコスパよく楽しむみたいなことができるから、
それこそマクドナルドとかスターバックスに行くみたいな感覚で、
みんな旅行に行ってまで、
「テーマパーク」に行くのだろうな、とか思った。

「地のものを食べる」とか、
「そこの地元の人と触れ合う」とか、
要するにその時、その場にある空気を感じることが、
旅行とか留学とかの醍醐味みたいに言われるけど、
本当にそれが「いいこと」なのかどうか、すごく疑問に思った。

別に、
どこでも食べられるファストフード食べて、
場所のローカル性が排除されたテーマパーク行って、
それでもちゃんと、旅行だと思う。

USSに関しては、そういう理屈の部分から楽しむことができた。
理屈の部分から、楽しむ。

この1ヶ月くらい前にUSJ行ってたから、
「なんか全部ちょっとずつ小さいな」とずっと思っていた。



夕方くらいにUSSからチャンギ空港まで移動した。

この後、夜通し7時間のフライトがあるので、
どうしてもシャワーを浴びておきたかったのだが、
空港内にシャワーが見当たらない。

調べてみたところ、空港に併設されている
商業施設(あの”滝ミーム”があるところ)のなかにある
ラウンジの中にシャワーがあるらしい、
ということがわかったので、
空港のスタッフに場所を聞き(海外なので人見知りのレベルが下がってる)、
施設へと向かう。

ラウンジを見つけて、店の前にある看板で料金を確かめたのだが、
これが異常に高かった。
シャワーをするためには、ラウンジ全体を使用するパックを使わなければならず、
最低でも50ドルくらいはかかるという。

どうしてもシャワーは浴びたい。
ただ、シャワー1回浴びるのに5000円は手痛い。
なんとかならないものかと思い、
ラウンジの受付にいた人に話しかけてみる
(海外だしどうしてもシャワーが浴びたいので人見知りのレベルが下がってる)。

すると、シャワーだけ浴びるプランもあると教えてくれた。
料金は25ドルくらいだった。
今考えると十分に高いのだが、
そのときは「5千円に比べれば」としか思えないので、
まんまと支払って、悠々とシャワーを浴びさせていただいた。

昔読んだミステリー小説に出てきた、立てこもり事件の交渉人が、
はじめに無理な条件を提示しておいて、
その後にそれよりも易しい条件を提示すると、
相手は乗ってくる、と話していたの思い出した。


こういう高級な感じのラウンジじゃなくていいんだよな。
もっとこう、快活クラブみたいな、というかコインシャワーとかでいい。



帰りの道は、行きの道より短く感じる、
ということを聞いたことがあったが、
シンガポールから日本への帰途は、
偏西風の影響もあって、リアルにフライト時間が短い。

向こうを夜10時頃に出て、成田に朝6時頃到着する予定だったので、
機内では眠って過ごした(シャワーを浴びてさっぱりしているので寝れる)。

眠っていたせいで、より短く感じた。

Mr.Childrenの『深海』を聴きながら眠っていたのだが、
目が覚めたとき、消灯された機内が本当に深海を泳ぐ潜水艦みたいで、
ちょっとしたアトラクションのようだった。

それと同時に、ああ、自分はこれから日本に帰るんだな、と思った。
日本に、というか、見知った社会に、というか。

連れてってくれないか
連れ戻してくれないか
僕を 僕も
連れてってくれないか
連れ戻してくれないか
僕を 僕も 僕も

Mr.Children『深海』



成田に到着して、驚くほどあっさりした入国審査を終えた後、
成田エクスプレスに乗って、また眠った。
最寄駅に着くところで目が覚めて、
人間の帰巣本能ってすごいな、と思った。

駅に着いたら、これから社会人として働くのであろうたくさんの大人がいた。
その人たちとすれ違いながらホームを降りて、
ずっと食べたかったざるそばを食べた。
酷暑のシンガポールの格好で帰ってきてしまったので、
3月でもまだ寒い日本の、駅のそば屋でざるそばを食べたら、
めちゃくちゃ寒かった。
外に出たら雨が降っていて、やっぱりすごく寒かった。
この温度差が、
この旅を通してずっと実感していた、
自分と社会の間にある何かしらの差を表しているんだろうな、
とか思いながら帰って、また眠った。

さあ写真は基本Vサインで
後悔と反省がお土産

SMAP『BANG!BANG!バカンス!』


楽しかった。


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