シンガポール旅行に関するキコウ文・セントーサ島で遊んで夜にジュース飲むくらいまで、編
3日目となるこの日は、セントーサ島で過ごした。
セントーサ島は完全に観光のために開発されている、
と断言できるような超計画的な空間で、
その分いろんなものが行き届いているが、
じゃあローカルな「場所」としてのセントーサ島はどこにあるのだろう?
と思ってしまった。
(あとで調べてわかったことだが、
セントーサ島には戦争にまつわる悲惨な歴史があり、
それらをある意味覆い隠すことを目的として、
ちょっと過剰なまでに開発を進めたそうだ。
こうした歴史を踏まえて再び訪れるなら、
また違った質感があるのだろう。)
しかしまあ、
そんな疑問を考える余地もあまりないほど、
セントーサ島には、
精神的・身体的・瞬間的な「アクティビティ」が溢れかえっていた。
なぜなら、観光のために開発された空間であるのだから。
まず、島に渡る手段がだいぶアクティブだ。
島へはシンガポールの本土
(シンガポール自体が島国だけど)から、
モノレールに乗って渡るのだが、
まずその駅自体が商業施設化されている。
モノレールの車内には、
「飲食禁止」
「ペットの持ち込み禁止」
の表示と並んで、
「ドリアン持ち込み禁止」
の表示があった。
ガチなのか、そういう類のジョークなのかがわからない。
写真を撮りそびれてしまったのが惜しい。
観光のための文明的な乗り物に運ばれ、
ビーチにある終着駅、その名も「Beach」で降りる。
あまりにストレートなネーミングである。
会議1分とかで終わってそう。というか、会議してなさそう。
駅から出ると、
今度はめちゃくちゃ野生的な日差しに照らされる。
周りに遮るものが何もないので、
直射日光がそのままぶつかってくる。
そこからエリア内を周遊しているバスに乗って移動する。
それこそテーマパークとかによくある、
両横のドアがなくて開放的で、
楽しい感じの乗り物なのだが、エアコンがない。
暑い場所で商売するのに結構致命的なミスだろ、と思った。
無料だから文句言えないけど。
バスを降りて、
アドベンチャーパーク、その名も「メガアドベンチャーパーク」にて、
ジップライン、その名も「メガジップ」に乗る。
ネーミングにさして熱量がない国、シンガポール。
このジップラインに関しては、
特筆すべき事項はあまりないのだが
(悪かった、という意味ではなくて、ジップラインの楽しさが
ストレートな感じであるので、それを書いたところでどうにもならない
という意味で)、
ジップラインの乗り場へ向かうまでがとにかく楽しい。
ジップラインに乗るためには、
ビーチにある受付で手続きを済まし、荷物を預けた後、カートに乗って山の上にある乗り場まで移動する。
このカートが楽しい。うねった山道を結構なスピードで登っていく。
途中、速度表示があるのだが、確実にそれよりも出ている。
楽しい。怖い。楽しい。
それは、「移動する」と表現するよりも、
むしろ「走る」とか「駆ける」という表現の方がしっくりくるような、
もっと瞬間的で、衝動的なものだった気がする。
ジップラインに乗ったあと、駅の近くまで戻り、昼食をとった。
そこで滞在3日目にしてはじめて、
「シンガポールらしいもの」を食べる運びとなった。
それまでは、時間の関係から日本でも食べられるような
(というか日本から進出した)ファストフードばかり食べていたのだが、
さすがにそれではもったいない気もしてきたので、
チキンライスを食べることにした。
赤坂プリンスを抑えなくていい方の、
歌詞を見た槇原敬之がちょっと引くくらいのトーンで号泣しない方の、
シンガポールの方のチキンライスである。
思い返してみれば、この旅行を通して、
シンガポールの文化らしきものに触れたのは、
この食事を含めて数回しかなかった。
今の世の中で、ある程度発展したところで、
その場所の本当にローカルな文化に触れようと思うと、
それは郷土料理とかを食べることよりも、
そこに住んでいる人が普通に通っている、
マクドナルドとかスターバックスに行くことになるのかもしれない、
と思う。
昼食後は、
「スカイライン・リュージュ」
というアクティビティをした。
山の中腹にあるスタート地点までリフトで向かい、
そこから簡易的なカートで駆け降りる、というものなのだが、
これが結構楽しかった。
カートで駆け降りるとき、
「どうやったらもっとスピードが出せるか」
「なおかつ、カーブを安全に曲がり切れるか」
くらいしか考えることがないので、
その単純さが楽しかった。
そうやって楽しんでいたら、
うっかりスピードを緩めるタイミングを逸してしまい、
終盤にあるクッションとその後ろにいるスタッフの人に激突してしまった。
めちゃくちゃちゃんと怒るスタッフのお兄さん。
めちゃくちゃちゃんと怒られる私。
異国の地でも出てくる謝罪は「すいません」だった。
衝動は国境に勝る。
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