りんご。

小学2年生の頃、近所にとても仲良くしてくれる4つ上のお姉さんがいた。


小2と小6 。

体格も考え方も全く違ってとても大人に見えていた。

生徒会長、頭脳明晰、運動神経抜群。

何もかもが凄かった。







よく遊んでくれた。

他の6年生を交えて、小2は僕一人。

遊びも同級生とは全く違って、どれもこれも目新しくてとても楽しかった。



ある日、ラジオの収録をした。

お姉さんたちは定期的にラジカセを使って収録してたらしく、そこにゲストとして呼ばれた。

段ボールを台に、マイクをセットし、進行役が進める。

余計な声が入らないように静かに待つ。

せっかちな僕は自分の番がまだか何回もお姉さんに聞いてそわそわ。




ゲストな僕の出番。

お名前を言って、好きな秋の食べ物を聞かれた。

別に好きでもないのに、気が動転して里芋と答えた。

みんな笑ってた。

よくわからないまま終わった収録だったが、すごく楽しかったことだけは覚えてる。



そのあとお腹がすいたとなり、何か食べることに。

お姉さんがキッチンに立つ。






「焼きリンゴにしよう」




りんごは切って食べるという食べ方しか知らなかった僕には全く想像できなかった。

切られることもなく丸々1個が焼けて出てきたりんご。

少し焦げていてブヨブヨしててちょっと食べるのをためらった。


みんなでつついて食べた気がする。

小2には理解が難しい大人な味だった。

でもすごく記憶に残っている。







その日を最後にお姉さんと遊ぶ機会がまるっきり減った。

一緒に登校してる時期もあったが、それも無くなった。

あっという間に卒業式で、ちゃんと話すこともなくお別れになった。


後から知ったが中受してたらしい。

田舎で中受する人など皆無なので、ものすごく遠い存在になってしまった。

事実、それ以降で会えたのは1度だけ。



数年前親御さんにたまたま会えて聞いた話によれば今は結婚し都会へ出たらしい。

きっと素敵な人になってるのだろう。






りんごまた一緒に食べたいなぁなんて思いながら、一人でかじる。

今日は特段甘酸っぱいな。



























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