うどん県のあれの話

【3/14追記】
結局成立してしまって、ああ全国に波及するわ('A`)ヴァーってなっていたんですが、疑惑にソースがつきましたね。

こんな人たちがこんな手法まで使っている、という事実だけでも、この条例を推進した中心人物の異常さがよくわかります。これで香川県以外の自治体への波及に多少歯止めがかかってくれるといいのですが。
【追記終わり】

ここで書く話かどうかちょっと分かりませんが、あまりにもあれなので書かせてください。

基本的に、私は行政や立法が各家庭、各個人の娯楽に介入することに反対しています。このゲーム規制はもちろん、スポーツ推進にも余計なお世話以外の感想を持っていません。しかしながら、スポーツは医学的に効果が認められていますので、そらやらないよりはやった方がいいんでしょうね、という認識でいます。
並びに、未成年に対して無制限でゲームをやらせていいとは思っていません。さりとてそれは行政や立法に嘴を挟まれるようなことではなく、各家庭において保護者と子供の話し合いを通じて決めていくことであると考えています。
我が家には中学生の男子がいますが、勉強をしたのと同じ時間だけゲームや動画などを楽しんでいい(守ってはいない)のが基本です。加えて、絶対にゲームと現実を混同しないこと、プレイ中に暴言を吐いたり、普段の言動が粗野になったらPCのメモリ引っこ抜いて起動できなくしてやるからな、という条件で、GTA5を遊ぶことを許可しています。ゲーマーですから、当然ゲームの内容も、それが一般的に18歳未満には好ましくないものであることも把握しています。
スマートフォンのゲームについては、おこづかいの範囲内に納まるプリペイドカード経由の課金であれば認めることにしています。

ねとらぼにも取り上げられたこのブログ記事。筆者個人の意見だそうなので、そのつもりで書いていきます。

ゲームを進めば進むほど、こんな場面が次々と現れて、ガチャ地獄に陥って依存症になります。私の周りにもいますが、依存症とは言えなくても何十万円も課金してしまったという方

私はゲーマーですが、Pay to Winの青天井ガチャゲーは滅びればいいと思っています。ですから、ガチャ依存はよくない、という点については賛成します。

カジノ法案で、パチンコやスロットルも問題にされましたが、ガチャも射幸心を煽るキャッシュバックのないギャンブルと私は思います。こんなもの、大人でも問題点大ありなのに、中高生が簡単に手を出せてしまう現状は恐ろしいことです。

そうですね。でもそれすべてのゲームのプレイ時間を縛る理由になっていません。パチンコやカジノを例に挙げるなら、ガチャゲーは18禁にするという条例案になるはずです。もしそうであるならば、私は特に反対しません。自分で稼いだお金で、自分で責任が取れる年齢の人間しかやってはいけない、というのはごく真っ当な話ですから。加えて、ガチャにおける射幸性の問題はプレイ時間以上にお金です。一つ目の引用でもそうおっしゃっているのですし、そこは明確ですね。ガチャだけなら1時間あればかなりの金額を溶かせると思いますよ。
ゲーマー的に、「ゲーム依存」の定義は日常の学校や仕事などの業務に差し障り、果ては食事や排泄すら疎かにしてしまうほどゲーム内の活動にのめり込む状態のことではなかろうかと考えます。ここは条例案と一致しています。このタイプのゲームは主にMMOのようなゲーム世界で生活するものや、常時世界中に対戦相手が控えているバトルロワイヤル、没入感の高いオフラインゲームなどでしょう。実際私もTESの総プレイ時間を考えると震えるので考えないことにしていますし。
一方、ガチャに多額をつぎ込んで身を持ち崩すのは「ギャンブル依存」であり、先述の「ゲーム依存」を招く種類のゲームとは別の、いわゆるソーシャルゲームが主体で、明らかにジャンルが違います。(高射幸性ガチャが組み込まれているオンラインゲームもありますが、ここではガチャメインと生活メインのゲームはとりあえず分けておきます)

私はゲーム依存症対策は、「ソーシャルゲームでのガチャの問題がほとんどすべて」と言って良いと思っています。それは明らかに賭け事によるギャンブル依存症そのものだと思うからです。

ここでも、筆者は「ゲーム依存」ではなく「ギャンブル依存症そのもの」と認識されています。もう一度書きますが、ギャンブル依存とゲーム依存は似て非なるものです。ゲーム依存なのかギャンブル依存なのかの定義すらはっきりしていない状況で、ゲーム全般の規制を可能にする条例を立法しようとしていることの問題点を把握されていますか?
依存症という病気であるならば、その対応を決める法には医学的な根拠が必要です。射幸性の高さの定義は?そもそもゲーム依存とギャンブル依存どちらが主眼なのか?依存症の診断基準は?平日60分、休日90分という時間制限が予防に有効である医学的なエビデンスは存在していますか?その論文は何本?誰が書いたのですか?

スイッチやプレステで長時間していても、私が子どもの時、「テレビは2時間までだぞ」と言われたことと同じで「依存症」にはほとんどならないと思います。だからここは、私としては条例の中でガチャに伴う「依存症」対策と明確に入れたかったけれども「企業活動への妨害」にも受け取られかねないことから、ガチャの規制など具体的に書けず、腰砕けになってしまいました。

ご自身でその可能性を否定されている通り、長時間プレイしても「依存症」にはほとんどならないのであれば、ゲーム業界と県内の未成年およびその保護者に規制を強いる必要がどこにあるのですか?香川県内に子供のガチャ依存で破産申請した家庭が、他都道府県に比べて跳び抜けて多く存在するのでしょうか?「腰砕け」と評さなければならないような法案なら、採決は見送るべきではないのですか?

私は香川県民ではありませんのでパブコメで反対を伝えることはできませんが、地方の一条例といえども、他の自治体に対する一つの前例となる以上、楽観はできません。そして、国政、地方自治を問わず、一度決まってしまった法律を変えることは、最初に制定する時よりも一層多大な労力と時間を要します。このような曖昧で乱暴な条例が成立してしまえば、いかようにも運用可能なのです。また、ゲーム依存なのかギャンブル依存なのかも判然としない状況で、「ゲーム」という非常に幅広い商品やサービスを粗雑にひとくくりにして、こんなあやふやな認識で立法してしまうような方々に適正な運用など期待できません。

いずれにしても、今回の条例案からは「射幸性の高いソーシャルゲームでギャンブル依存に陥る未成年を産まない」ことが目的であるとは全く読み取れませんでした。条文から読み取れるのは「よくわからないけどゲームは悪いものに違いないから子供を遠ざけておこう」という思い込みだけです。

筆者とフォロワーの方によるツイッターでのやり取りでこのような説明がありました。案の定だな、という感想です。「やったことないけどGTAという暴力的なゲームがあるらしい、18禁だし未成年に悪影響だ」これがスタートで、それを補強する後付けの材料としてガチャの射幸性を持ち出してきたように見えます。やはり「ゲームは悪」という無根拠な思い込みが土台にあるようです。これではなおのこと適正な運用が期待できるわけもありません。

それが公序良俗に反しない、現行法に触れない限り、何を好み、何を楽しむかは、個人の内心の自由に属することです。その点に関して憲法で保障されている以上、条例はもちろん刑法・民法でも介入はできません。
ブログ中では、企業活動に踏み込まないための婉曲な表現であることを何度も強調されていますが、そんなことより、それがたとえ未成年であっても、個人の内心の自由に踏み込まないでほしいと声を大にして言いたいです。
そして、人が過度にのめり込んでしまう娯楽は、決してゲームだけに限ったことではありませんよね。つい先日、中国で小説に熱中しすぎて亡くなった方がいるというニュースを目にしました。これはレアケースには違いありませんが、娯楽とはそのような魅力を持っているからこそ娯楽なのです。小説であろうが映画であろうが漫画であろうが音楽であろうが芸術であろうがスポーツであろうが、そのリスクに変わりはないのです。
重要なのは、そういった魅力とリスクを持つ対象と、ほどよい距離を保った上手な付き合い方を学び取って行くことで、公権力を用いて一律に遠ざけたり制限したりすることではないはずです。
その中で、取り立ててはっきりした根拠もなく、ただ「思い」だけでゲームだけを取り上げ、内容を問わずすべてを規制可能にする条例案や、それを推進する人々に対して、危機感を覚えるな、批判するなと言われても、そりゃ無理な相談ですよ何言ってんのとしか言えません。

どうしてもゲーム全般を規制したいなら、ぐうの音も出ないようなド正論とエビデンスを用意してからの話です。あるいは、本当にガチャが持つ高い射幸性に伴う未成年者のギャンブル依存予防が主眼であるならば、多様な立場から選出した複数の専門家の意見を交えて、透明性の高い議論でギャンブル依存防止に有効な対策を打ち出していただきたいものです。

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