大人のための絵本『あなたなんてだいきらい(きむらゆういち著)』#よみもの
高橋和枝さんのほんわかした絵が好きだ。
色鉛筆や水彩で描かれた、やわらかくて、やさしくて、温かみのある絵を眺めていると、ほっとしてなんだか涙が出そうになる。
毎晩しあわせな気持ちで眠りについてほしいからと、高橋和枝さんの本を息子に読みきかせているうちに、自分がすっかり絵のトリコになってしまった。
高橋さんの絵もさることながら、お話がとってもステキな『あなたなんてだいきらい』は、息子に読んであげた後、おもわず「まだ〇〇くんには、早かったね」と言ってしまったほど、完全に大人向けの絵本。
恋をしている女子、恋をしたことのある女子、これから恋をするであろう女子、とにかく大人女子に読んでもらいたい。
付き合いたてや、ロマンチックなカップルだったら、パートナーへのプレゼントにもいいかもしれない。
著者:きむらゆういち
絵:高橋和枝
発売日:2017年2月15日
出版社:あすなろ書房
絵本のはじまり。
ページをめくり、高橋さんが著者のきむらさんをイメージして描いたという、かわいいくまのおじさんの絵にただただ癒されていると、
とつぜんの衝撃的なことばに、絵本の中で「えっ!」とびっくりしているおじさんと同じように、わたしも声をあげてしまった。
だけど、読み進めていくと合点がいく。
好きすぎて、思い通りにならないもどかしさにイライラしてしまったり、なぜか無性に相手をパンチしたくなったり。
相手のことが片時も頭から離れず、会いたくて会いたくて震える〜♪ 的な自分になる。
心をかき乱されるという点では、愛も憎しみもすごくよく似ている。
ベテラン大人女子になった今は、いつ、だれに対してそんな状態になったかすっかり思い出せないけれど、この絵本を読んでいると感覚だけがなつかしくよみがえってくる。
甘くて、切なくて、奥歯のあたりがキュンと痛む。
もう二度とリアルに体験することはないだろうから、ときどきはこの本を読んで、いつかの乙女心をかみしめたいと思う。