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108.栃木県那須塩原の旅《後編》|湯宿 きくや 

この宿だけでも語りたいことが山のようにあるので、短い旅にも関わらず前編・後編に分けました。後編は宿オンリーです。

◾️板室いたむろ温泉

板室温泉(那須塩原市)にあるこちらのお宿。
那須温泉(那須町)や塩原温泉(那須塩原市)は比較的有名ですが、板室温泉はちょっとマイナーでは?
那須と塩原のほぼ中間地点にあり、昔は湯治場として、現在も小さな温泉場なのでとても静か。知る人ぞ知る穴場温泉かもしれません。

そもそもこの辺りの地名は、市町の合併やらで似たような名前ばかりなので、他県の方からすると(県内ですらも)多分ごちゃ混ぜ。
正確に区別できる人がいれば、かなりの栃木県北通の方ですな笑

観光客も少なく(温泉街としては死活問題かもしれませんが・・・)、私のようにゆっくり寛ぎたい方にとってはとてもオススメの場所だと思います。
那須や塩原をお考えの方、板室温泉も選択肢に入れてみては?(*´꒳`*)

◾️一日3組の宿

今回宿泊した宿は一日3組のみで、3部屋しかない小さな宿。(10歳以下のお子さまは宿泊できないので、大人が愉しむ宿です)
以前から気になっていたコチラの宿。民宿やペンション並みの規模でご夫婦と娘さん(たち)との家族経営ですが、ホスピタリティは高級旅館に負けず劣らず。
お客さんも3組×6人しかいないので、痒いところにまで手が届きすぎるくらい。下手な宿よりよっぽどサービスが行き届いております。

そもそもなぜこの宿を選んだか、というと。
建物の雰囲気もさることながら、調度品として北欧家具にヴィンテージ家具やラグ、そこに和を加えて設ていて

私の目指すインテリア、ここにアリ!

というくらい、建物自体のうつわとインテリア、和と北欧が見事に調和した空間になっているんです。今流行りの『ジャパンディ』っていうモダンな感じより、やや素朴さ、素材感が勝ってる感じ(●´ω`●)
私もこういう空間が作りたいと思っていたところ、きくやのHPで館内の様子を見て一気に虜になり、いつか訪れてみたいとずっと思っていて今回それが実現しました。

◾️館内の様子

《エントランス》
大谷石の壁と芦野石の洗い出し仕上げでお出迎え
《玄関ホール》
玄関入った正面はおそらく和紙の壁紙
シンプルながらも存在感あり
《玄関扉》
外から続く大谷石、洗い出し土間と木製玄関のコントラストがいい!
サイドのスリット窓は我が家にもあるので、ちょっと雰囲気似てるかな〜なんて思いながら・・・
《上り框》
自然と行き先を誘導するようなアールの壁と沓脱石から名栗加工の床で足触り最高!スリッパ脱いでスリスリしちゃいました笑
《ニッチ》
このアールのニッチの陰影と奥行き感
《フロント》
そんなに広くはないですが奥行き感のある空間
大谷石の壁がアイストップとなりつつ、格子戸奥(食事処)の窓や階段サイドに壁がないので
裏庭への窓の抜け感が助長され空間に広がりが出ます
《ラウンジ》
二段小下がりになって、ゆるりとゾーニング
《階段下の空間》
正しく私が実現したいレイアウトのひとつ!
階段のデザイン、数々の北欧家具とラグ、和のインテリアとの相性が良すぎます
《お着き菓子》
ラウンジで芋羊羹とお茶をいただき、ホッと一息♡
《階段から見るラウンジ》
部屋へと続く階段はサイドが抜けているので、ラウンジ全体を見渡せて開放感があります
《階段吹き抜け》
木製のシャンデリア
那須町在住の作家さんの作品のようです
《2階ホール》
左から『若草』『藍』『山吹』の3部屋
それぞれが違う趣になっているので全制覇したい!
《2階ホール》
部屋から出るとちょっとした図書コーナー兼デスク
吹き抜け窓の景観が良ければ尚良かったけど、長時間いる客室優先になるのは致し方ない

◾️客室内の様子

今回泊まった部屋は『藍』
なぜこの部屋にしたかというと、ヴィンテージ家具を堪能したかったから!
まずは客室内の様子をご覧あれ。

《部屋入口》
客室のドアを開けると大谷石と三角コーナーのニッチがお出迎え
《客室》
『ボーエ・モーエンセン』のソファを堪能したくてこの部屋をチョイス
サイドテーブルは階段のシャンデリアと同じ作家さんのようで、放射線状にデザインされていて美しい!
テーブルやシングルソファーもヴィンテージ、かな?
トップライトや障子越しに入ってくる光も柔らか
壁にも動きがあるので映る陰影が美しい
《洗面室》
部屋や洗面室には床暖房が入っているので暖かいし、タオルウォーマーもあるので有難い。温泉成分表もありますよ〜
《シャワー室》
カラダ洗いはこの浴室暖房のあるシャワー室でできるので、寒い思いをしなくてすみます
《半露天風呂》
窓を開け放てば半露天風呂
他の紅葉は終わってしまいましたが、今はもみじがちょうど色づき始めた頃
源泉掛け流しなのでお湯はずーっと出っぱなし
身体が温まれば縁台に座って涼み、寒くなれば浴槽へ
部屋からもダイレクトにお風呂に入れます笑

◾️食事|夕食編

館内の雰囲気も最高ですが、食事も良い意味で期待を裏切られる宿。
ご主人が調理担当と推察しますが、丁寧に一品一品作ってくれているのが伝わってきます。

《前菜・食前酒》
八溝山系の杉が豊富なこの地域ならではの器とランチョンボード。赤い切子グラスが食前酒

全くアルコールは飲めないタチなので食前酒も恐る恐る飲んでみたら・・・あら!美味しい!!
柚子酒のソーダ割りでしたが、とても飲みやすくてジュースか?と思いましたが、徐々に顔が火照ってきたので間違いなくお酒ですな笑
結局、オットくんの分まで(アルコール受け付けない私たちです)チビリチビリ飲んでました。食前酒だけど・・・

《お煮しめ》
うつわも一つひとつが美しく料理が一層引き立ちます
《お造り》
岩魚、鯛、中トロ 海なし県なのに美味しかった♡
青い切子グラスがオットくんの食前酒

赤い切子グラスが私、青い切子グラスがオットくんだったんですが、青い方が量が多かったので男性にはちょっと多く提供してくれたんですかね。今は女性の方が呑む場合もありますが、一般論としての心遣いなんだと思いました。

《香物》
ほとんど食してしまった・・・
《岩魚の塩焼き》
かぶりついていただきました!塩味も絶妙
《那須和牛》
口の中でとろけて一体どちらへ・・・?

◾️デザート

食後のデザートは食事処で食べても良し、ラウンジで食べても良しとのことだったので、ラウンジでいただくことに。
オーレ・ヴァンシャーデザインの椅子に座って待っていると・・・

バースデープレートで登場!

誕生日は今月初旬でしたが、チェックインの際、宿帳に記入した誕生日を見て急遽準備してくれたんだと思います。

『良い一年になりますように』

と祝っていただきました╰(*´︶`*)╯♡
思いがけない心遣いにビックリしたものの、何とも嬉しいひと時をありがとうございました。

◾️食事|朝食編

チェックアウトが11時だったので、朝ごはんは遅めでお願いしました。

あ〜・・・美味しそう
素朴な料理だけどどれも美味しい!
サラダにローストビーフ・・・トロトロでした
朝ごはん=サケ、最高!!
このお椀、富士山みたいでかわいい♡
緑色の飲み物はほうれん草のスムージー
すごく飲みやすくて美味しい!
左から地元のキウイ、とちあいか、ヨーグルト、とちおとめのジャム。甘くて美味しい・・・幸せ〜♡
裏庭の景色を見ながらの食事

素朴な料理ですが、どれを食べても本当に美味しい!!(美味しいしか言葉がない!)
オットくんは朝は少食なので、ご飯はごく少量。でもお櫃には2合ほどのお米が・・・しかも新米。ワタクシが米粒ひとつ残さず、おかずも残さず全部食べました!部屋に戻ってからしばらく動けませんでしたが・・・笑
本当に美味しゅうございました(*´∇`*)

家に帰ってから作った自分の料理に興醒めなのは仕方あるまい・・・Σ(゚д゚lll)

◾️温泉三昧

大浴場はないですが各部屋に半露天風呂があるので、いつでも好きな時に好きなだけ誰にも気兼ねせず思う存分入れます♡
宿に到着して早々に入り、夕食後にもゆったり浸かり、翌朝にも朝の新鮮な空気を吸いながらのんびり入り、チェックアウトが11時で朝食後にも時間があったので最後に浸かって、おしまい。なんて贅沢な時間でしょう・・・(*´ω`*)

◾️建築談義

こちらの宿は奥さま念願の宿だったようで。
東日本大震災前から埼玉の設計事務所に設計を依頼していましたが、震災が起きたため計画は頓挫。
それでも諦めきれず、今度は地元の設計事務所に設計を依頼し、再度建築を進めることになったそうです。
が、出されたプランでは納得がいかず、床材の変更や玄関ホールの名栗加工や大谷石の採用などなど、あれやこれやと細やかに設計士に要望を出したそうです。
設計士のヒアリング不足だったのか、奥さまのこの宿にかける思いや情熱の方が勝っていたのか定かではありませんが、肝心要の部分に奥さまの思いが注ぎ込まれている。奥さまのやりたいことがかなり確立されていたにも関わらずそれがプランに反映されていないということは・・・
ヒアリング不足なのか相性の問題なんでしょうかね〜。施主の思いを汲み取るのは難儀だとは思いますが、プロならちゃんと代弁してよ!って素人は思うけどさぞ大変なんでしょうね笑

とはいえ、あれやこれやと要望を出しつつも、満足のいく宿のうつわが出来上がったわけですから(おそらく・・・)結果オーライ。
奥さまともっと建築のお話ししたかったなぁ〜。

◾️ステキなうつわの数々

そして、娘さんはうつわがお好きだそうです。
食事の際に出てくるうつわやカトラリーまで、どれもこれも洗練されていて美味しい料理に舌鼓を打ちつつ、それらにも魅入ってしまいました。
家庭用とこういったおもてなしで出すモノとではまた違いますが、料理のレパートリーを増やしつつ、いろんなうつわを使いこなせるようになりたいな〜と密かに思いました。(あくまでも理想ですけどね・・・)

我が家が出来上がったら覚えておいでか分かりませんが、報告ついでにまた泊まりに行きたいな(*´-`)
もちろん、今度は違う部屋を予約して♨︎

◾️後日談

ある日の後輩との休憩中の一幕。

後輩『今度、親が建てた宿に泊まりに行くんです』
『へぇ〜!いいね!どこにあるの?』
後輩『何ていう宿だったかなぁ?6人限定で板室温泉にあるんですけど・・・』
『!?きくや・・・?』
後輩『そうです!そうです!』

そう、後輩の実家は地元の工務店。
まさか後輩のお父さんが建てた宿だったとは!世間って狭いわ〜。


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