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インド体験記③ 立ち小便 VS 路上ゲロ - 日本も大して清潔じゃない

 インドで車に乗って窓の外の景色を眺めていると、壁や柵に向かって立ち小便をしている人をよく見かける。

 それも一日に一人や二人ではない。時にはここは鴨川かと思うくらい、3~4人の男たちが等間隔に並んでいる。

 等間隔に並んでいるのが若い男女のカップルならば絵にもなろうが、立ち小便ではお世辞にも良い光景とは言えない。

 我々の感覚であれば、これだけ車通りが多い中で立ち小便をするのはいささか気が引けるが、インドの男たちは臆することなく、悠然と立ち小便をキメている。「なぜ我々は立ち小便をするのか?そこに柵があるからだ」と言わんばかりである。

 当然、立ち小便をされている土地にも所有者があって、業を煮やした所有者の手によって、「立ち小便禁止!監視カメラで見張っています!」みたいな貼り紙もされているが、人々はそれを意に介する様子もなく、「俺の息子をバッチリ写してくれよな」と言わんばかりに見えない炎の鎮火に取り掛かっている。

 路上排泄の問題は小便に留まらない。

 道を歩いていると、日本の20倍くらいのペースで糞が落ちているのを見かける。インドは野良犬がたくさんいるので、多くはその落とし物だと思われる。かつては日本にも道端に犬の糞が落ちていることくらいはあったので、それだけならばそこまで驚くことでもないが、中には「これ犬?」と目を疑うばかりのサイズ感のものがある。

 それが大型の犬のものなのか、牛のものなのか、はたまた人間のものなのかは神様と元所有者にしか分からない。

 また、日本の場合、道端の糞は電柱の根本なんかにひっそりとあって侘び寂びを感じさせるが、インドの場合は歩道の真ん中に堂々と鎮座しているので威圧感がある。

 さらに、夜道が暗いためか、あるいは人々が糞を踏むことに抵抗がないのか、僕調べで3分の1くらいの糞に踏まれた痕跡がある。いらぬ想像を巡らせて、多くの人が道端の糞を踏みつけた足で街や施設内を歩き回っていることを考えるとあまり気分が良いものではない。


 これらのことからインドは日本に比べて不潔であるというのが定説になっているが、果たして本当にそうだろうか。

 日本のストリートには、インドにさえ落ちていないものが落ちているではないか。

 嘘だと思うなら週末や年末の朝方に繁華街を歩いてみるといい。

 前夜の酒宴の名残りとして、あちこちに吐瀉物が点在しているのを見るだろう。その吐瀉物の中には、前夜の酒宴が何料理だったかさえ推し量れるようなものもある。インドの問題と比べれば規模は小さいかもしれないが、決して誇れる光景ではない。

 日本人にはインド人がそこらで立ち小便をすることや犬や牛が所構わず糞をすることが信じられないだろうが、インド人にとっても、日本人が酒に酔って路上にゲロを吐くことの方が信じがたいことなのかもしれない。

 糞は犬や牛がすることだが、ゲロを吐くのは人間の為すことである。立ち小便と路上ゲロでは日本人の方が行儀が悪く、衛生観念がないと言われても仕方がないのではないだろうか。

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