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vol.4:船が走りながら水素を生成し自走するようになる
船って、結構CO2排出量が多いモビリティなんだとか。
国際海事機関(IMO)が2020年に公表した温室効果ガス(GHG)排出量などに関する報告によれば、2018年の国際航海に従事する船舶からのCO2排出量は約9.19億トン、世界全体のGHG排出量の2.51%に相当する量となっています。これはドイツ1国分(世界第6位)のCO2排出量に相当しています。世界経済の成長につれて海上荷動量も増加しており、2012年の8.48億トンから、8.4%増加しています(参考リンク)。
ドイツ1国分、と聞くと、とても無視できるような量ではなさそうですね。 輸出入が盛んになるにつれて、貨物の量もCO2の量も大きくなるのも、うなずけます。
そんな船が、エネルギーを自走しながら、どこまででも走れるようになる、そんな世界、なんて素敵なんでしょう。 文字通り「自給自足」を体現する、とても素敵な世界です。
実はこの技術、そんなに先の未来の話でもありません。既に実装に向けて取り組みがされています。商船三井の実例をお見せいたします。
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帆の風を受けて進む船ですが、風が過剰なときは、風力発電によって水素を生成、トルエンという物質に水素をくっつけて(メチルシクロヘキサン、MCHという物質という形になります)、水素を保存しておきます。
風が不足しているときは、MCHから水素を取り出し、発電に利用することで、動力の不足分を補うようですね。
こういった技術が、日本の企業から生み出されていることは本当に素敵です。この技術が少しでも実装され、世の中で使われることを願っています。