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守護天使をほっとけない! 第1話「守護天使降臨!の巻」
◯◯:はぁ…
何度目の溜息か?
さんざんな1日だった。
朝起きて早々スマホを落として画面が粉々に割れ、電車に乗り遅れて会社に遅刻し、発注ミスが発覚して上司に大目玉を喰らい、さっきは車に轢かれそうになった。
これまでもとことんツイてない人生だった。
夜道をトボトボ歩く。
◯◯:なんでこうも上手くいかねぇんだ…よっと
腹立ち紛れに石ころを蹴飛ばした。
チンピラ:イテッ!
ツイてないことに、前を歩くチンピラ風のお兄さんに当たってしまった。
チンピラ:何すんだこら!
◯◯:ご、ごめんなさい!
ボカッ💫
◯◯:あぐっ
チンピラ:気ぃつけろ!
お兄さんが去った後もしばらく地面に横たわっていた。
やっぱツイてないや…
◯◯:はぁ…
また溜息をついた時、目の前の地面が明るくなった。
顔を上げ、その神々しさに息を呑む。
空から差す一条の光。
光の中を、翼を羽ばたかせ舞い降りて来る美少女の姿が。
◯◯:はぇ!?て、天…使…?
俺は驚いて立ち上がった。
幻覚か?
いよいよ俺はダメになったのか?
少女は慈愛に満ちた微笑を浮かべ、
?:あたしはあなたの守護天使。あなたを幸せにするために天界より遣わされました
ふわりと着地した。と思ったら。
グギッ…
?:いたいっ
◯◯:へ?
蹲る。
どうやら足首を捻ったらしい。
?:うぅ…あたしは守護天使…いたた…あなたを幸せにするために…ぐすっ…天界より遣わされました…ぐすっ…
涙目で先程の文言を繰り返す。
◯◯:いやそれはいいんだけど大丈夫?
俺は天使に駆け寄った。
?:すみません…ぐすっ…あたしってばいつもこうなの…
天使降臨すら急展開なのに着地に失敗して怪我するとは、どちらが助けようとしている側か分からない。
ってかめっちゃかわいいな!
類稀なる美少女である。
◯◯:ほんとに天使なの?
?:失敬な
ぷんすか怒ったがその表情もかわいらしくて全然怖くない。
?:あたしはショーシンショーメーの天使です。ちゃんと輪っかあるでしょ?翼も
◯◯:まぁ、うん、確かに…
天使は足の様子を確かめていた。
◯◯:立てるかい?
?:はい。大丈夫です
肩を貸したがすぐに顔を顰める。
◯◯:無理しない方がいいよ
?:ではホバリングします
天使は小刻みに羽ばたいて地面から3センチくらいのところに浮かんだ。
翼あるって便利だなぁ。
◯◯:ところで天使さん。名前はなんて言うの?
?:あ、うっかりうっかり。あたし、遠藤さくらと申します
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◯◯:日本人みたいな名前だね
さくら:日本人であるあなたに合わせて発音し易い名前に聞こえるシステムになっているのです
◯◯:すごいな…
さくら:あたしが今話している言葉も同様です。天界の言語を話していますがあなたの脳には日本語として認識されているでしょ?
◯◯:確かに
さくら:天使の基本スペックです
さくらの顔をまじまじ見る。
マジでかわいい。
肩を貸した時、実体があったから幻覚ではないことは確かだ。
それ以前に空から降って来た時点で疑う余地は無いかも。
実際今も飛んでるし。
さくら:そ、そんなに見ないで///
◯◯:あ、ごめん。ほんとに天使なんだなと思ってね
さくら:当たり前です。ブルドーザーには見えないでしょ?
◯◯:返しが独特だな
さくら:褒められると照れます///
◯◯:褒めたわけじゃないよ
変わってんなぁ。
天使って皆こんななのか?
◯◯:どうして俺のところに来たの?
さくら:◯◯さんを救うためです
◯◯:俺を救う?
さくら:神があなたを不憫に思い、あたしを遣わされたのです
平等なはずの神様に不憫に思われるって相当だよな。
確かに23年間、上手くいかないことばかりだった。
さくら:あたしはあなたの守護天使。必ずあなたを幸せにします!
さくらは僕の前に回り込み、祈りのポーズで訴える。
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せっかく神様が遣わしてくれたんだ。
僕もこんな人生脱却したい!
◯◯:よろしくお願いします
さくら:やったー!
◯◯:ん?
さくら:あ、じゃなくて…承知しました
取り繕った感がすごい。
一瞬めっちゃはしゃいでなかったか?
さくら:さぁ!幸せへの第一歩を踏み出しますよ!
飛んでるのに第一歩とは?
顔を真っ赤にし俯き加減で前に進むさくら。
◯◯:あ、そっちは!
止める間も無く、
ゴツン💫
勢い余って電柱に額をぶつけてしまう。
さくら:いたいっ…ぐすっ…
一気に不安になった。
◯◯:ほんとに大丈夫かな?
さくら:おまかせあれ!
◯◯:ちょっ!おでこから血出てるよ!
さくら:ふぇぇっ!?
とにもかくにも、これが俺と守護天使さくらの出会いであった。
to be continued…