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初めての電子出版【Kindle配信マニュアル】

文章は書ける。
投稿サイトにもアップしてる。
だから、電子書籍を出版してみたい。
でも、やり方が分からない。
そういう人向けに、Kindle配信のマニュアルを作成しました。
素材となる文章と、ちょっとのやる気があれば、誰でも電子書籍が約48時間で出版できます。

有料記事ですけど、有料部分は私の宣伝だけなので、本文は全て無料で公開しています。

はじめに、メリット
およそ小説を書いている人で、他人に読まれなくてもいいという人はいないでしょう。
出来れば多くの人に読んでもらいたいし、それがお金になるのなら嬉しい事。
出版の道筋を立てているアルファポリスのような投稿サイトもありますけど、やはり出版のハードルは高いものです。
しかし、Kindle Direct Publishing(以下KDP)なら、費用0円で電子書籍の出版が可能です。

必要なもの4つ(サムシング・フォー)
・文章(できればWord形式)
・表紙画像
・Amazonアカウント
・銀行口座

Kindleで電子書籍を出版するのに必要なものは、本当にこれだけです。
これだけあれば、誰でも電子書籍を出版できるのです。

デメリット……というかハードル
先述のように費用0円なので、デメリットはありません。
強いて言えば、それなりに手間と時間がかかるという事だけ。
同人誌のように、紙の在庫を抱える事もありませんしね。

では何がハードルかと言えば、「難しそう」というイメージです。
何の知識も無く、ただ必要なものを揃えても難しいのは確かです。
実際、Kindle出版をお勧めするブログなどは多いのですが、その詳細を述べた記事はあまりありません。
なぜなら、「売れる」ものを作ろうと思ったら、お金が取れるレベルの手間だから。
実際、Kindle出版の代行を行っている人や業者もいるのです。
この記事も有料記事とさせてもらっていますが、有料記事は一番最後のどうでも良い私の宣伝部分にありますので、無事出版出来た人は、お布施的な意味でお願いします。

しかし、それに見合うリターンは必ずあります。
誰もがやろうとして挫折する電子書籍の出版を、誰もが分かる形で以下に解説します。
出版に当たって私自身が迷ったり困ったりした部分を特に解説しているので、自信をもってお勧めします。
それでも記事が分かりにくかったら、私宛にDMをくれても構いません。
Twitterで@hydrangea_red宛てに呟いてくれても結構です。
手間さえ惜しまなければ、必ず電子書籍の出版は行えます。
まずは始めてみましょう。


Kindle配信による収益モデル
しかしその前に、収益モデルを解説します。
そんなのいいから、とにかく出版したいという人は、この項目を飛ばしても構いません。
後々、KDP内のレポートで、どのような収益を得られたのかは確認できますので。

さて、Kindle配信の収益は大きく分けて二種類です。
一つは単純に、売れた冊数に応じて得られるロイヤリティ、いわゆる印税です。
これはさらに二種類に分けられまして、後述するKDPセレクトに登録する場合は70%、しない場合は35%のロイヤリティが得られます。
大雑把に言うと、KDPセレクトに登録するとAmazon独占配信となって高い割合のロイヤリティが、他社でも配信する場合はKDPセレクトに登録できないので低い割合となります。
ただ、低い方のロイヤリティでも35%と、通常では考えられない高い割合です。
他の投稿サイトの分を残しつつ、電子書籍としても販売したい方はこちらですね。
本記事をお読みの方は電子書籍の初心者なのでしょうから、KDPセレクトに登録して70%の高いロイヤリティをゲットしましょう。
例えば1000円の本が1冊売れれば、それだけで700円の利益になります。

もう一つはKindle Unlimitedによる収益です。
Kindle Unlimited会員は、KDPセレクトに登録された本を毎月980円で読み放題となっています。
著作者には、これによって読まれた分がページ単位の報酬で支払われます。
例えば1000ページの本のうち、最初の50ページが読まれれば、その50ページ分の報酬となります。
報酬の原資はKDP基金なるものから全世界のページ数に分配して支払われるようですけど、現実的には1ページあたり約0.5円のようです。
なので、50ページ読まれれば約25円の報酬となりますね。

前置きはここまでにして、以下がマニュアルとなります。
必要なものの用意は良いですか?


1.前準備(実は、ここが一番大変)

さて、具体的な配信に入る前に、下記のものが必要です。
Amazonアカウント
Amazonアカウントは既存のモノがあれば、そのまま利用できます。
メアドが有れば大丈夫ですので、無ければ作りましょう。
振込用の銀行口座
印税を振り込むための口座です。

ログイン
上記の用意ができたら、下記のリンクからログインします。
ここはKindle Direct Publishing(以下KDP)のホーム画面ですので、ブラウザにブックマーク登録しておきましょう。
セルフ出版 | Kindle Direct Publishing

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アカウント情報の設定
ログインすると、下記画面が表示されますので、「今すぐ更新」をクリックします。

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マイアカウントページが表示されますので、下記項目をそれぞれ入力します。
・著者/出版社情報
・支払いの受け取り方法
・税に関する情報

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注意点 その1 支払いの受け取り方法
口座登録の最後に「他国に口座があるか」聞かれるので、これは”いいえ”を選択します。

注意点 その2 税に関する情報
「税に関する情報」は米国での売上がある場合に売上から引かれる、源泉徴収税に関してのものです。
日本国内で個人が販売する場合には、特に気にする必要はありません。
本記事は米国の納税者番号を持っていないものとして記述します。

次の画面で、下記を参考に各項目に入力してください。
 貴社/あなたの納税区分はなんですか?:個人
 米国の税務上、あなたは米国人ですか?:いいえ
 
ステータスは仲介代理人、または……:いいえ
 税務上の身元情報:個人情報を半角英数字で入力します。(漢字かなは不可)
 納税者番号については下記のように入力します。

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最後に、半角英数字で署名し、”保存してプレビュー”をクリックします。
次の画面で「税務情報に関するインタビュー」として英語の書類が表示されますが、これは米国の国税庁に提出されるものです。
”フォームを送信”をクリックし、「検証済み」と表示されたら終了です。
”インタビューを終了”をクリックして前の画面に戻ります。

マイアカウントページに戻ったら、「支払いの受け取り方法」と「税に関する情報」がそれぞれ下記のように表示されているはずです。
そうでない場合は、情報が欠けていたり、半角英数字のみの項目に全角かなを入力していたりするので、赤文字で表示されたエラーメッセージを元に修正しましょう。

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画面右下の”保存”をクリックして、下準備は完了です。
お疲れ様でした。
これで晴れて、電子出版の準備が整ったことになります。
画面上部の”本棚”をクリックして、KDPのホーム画面に戻ります。

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2.電子書籍作成開始(ここからだ!)

慣れるまでは、本項を繰り返し読む事になると思います。
まずは、”電子書籍または有料マンガ”をクリックします。

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概要
ここから、出版する本に関する様々な事を設定していきます。
ここで設定したタイトルやあらすじなどが、そのままAmazonの商品ページで表示されるので、しっかりと設定していきましょう。
ただし、レスポンスは遅いものの後から修正することも可能なので、とりあえず出版してから手直しという手も使えます。
表紙イラストを変更したりですね。

2-1.Kindle 本の詳細

ここでは商品ページに表示される本のタイトルや著作者(つまり貴方の名前)、あらすじ、カテゴリー等を設定します。
ここで注意なのですが、このページにはタイムアウトが設定されており、入力に時間がかかってしまうと上手く保存されません。
一生懸命書いたあらすじも、失敗すれば電子の海に消えてしまうのです💦
入力方法のお勧めは、まずこのページを印刷して手書きで原稿を準備するか、Excelなどであらかじめ入力しておいてコピペで一気に、というやり方です。
ブラウザの入力フォームは、何が起こるか分からないものです。
「全部頭に入ってるぜ!」という人でも、下書きを用意してから臨むと良いでしょう。

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各項目の注意点
オプションと表示されている項目は、何も入力しなくてもオーケーです。
シリーズ物など、いずれ多数の電子書籍を出版するようになったら必要になりますが、とりあえず出版方法を知りたいという人はガン無視でいきましょう。

【本のタイトル】
【タイトルのフリガナ】
【ローマ字】
本の肝ですね。
ラノベなら、「○○の○○が○○しちゃったから、○○を○○してみたら、異世界ハーレムでモテモテ」という部分です。
フリガナはまだしもローマ字は大変ですが、検索キーや並べ替えに使われる項目のようですので、頭の方だけでも良いでしょう。
ちなみに、私は英語で「The index of incest taboo」としています😅

【主な著者等】
作者名ですね。
もちろん、ペンネームでもオーケーです。
私の場合は、

氏名:紫陽花
フリガナ:アジサイ
ローマ字:Ajisai

となります。

【内容紹介】
小説の場合、ここにあらすじや内容紹介文を入力します。
書評や論文などの場合は梗概ですね。
出版する本の目次や触りの部分を表記すると良いでしょう。
私はここで、作中の見所直前の部分を3000文字分ほど載せています。
「続きを読みたい!」と思わせるためです。
作品の魅力をAmazonの商品ページを見ているお客さんにアピールする部分なので、多分ここが、このページで一番時間のかかる部分でしょう。

【出版に関して必要な権利】
下記のようにチェックを入れます。

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【キーワード】
投稿サイトの「タグ」にあたる部分です。
これはオプションとなっていますが、入力した方が良いですね。
いかに面白い話を出版しても、探してもらえないのでしたら出版していないのと同じです。
なんとか7つ、ひねり出しましょう。
オプションなので、7つでなくても大丈夫ですけど。

【カテゴリー】
Kindleトップページのジャンルに相当するようなのですが、米国のカテゴリー分けがそのまま使われているようで、Amazon.co.jpとは結構異なります。
ロマンスの下にゲイがあるのに、それとは別にライトノベルの下にボーイズラブがあったりと、自分の作品に完全に合致するカテゴリーが中々見つけにくいのです。
見つからなければ「一般」と選択してもいいですし、二つ選択できるので、合わせ技という手もあります。

【年齢と学年の範囲】
内容がセンシティブなものであれば、年齢設定が必要です。
まあ、成人向けかどうかというだけですが。

以上の項目を入力し終わったら、ページ右下の”保存して続行”をクリックします。

2-2.Kindle 本のコンテンツ

ここでは本の内容そのものを扱います。
本文や表紙のアップロードですね。
さて、小説を書く場合に使用するテキストエディタは個人によって異なるでしょうが、KDPで配信するのならWord一択です。
何故かと言うと、文字サイズや段落、目次のリンクなど、Wordでの書式設定がそのまま反映されるからです。
ルビも設定できるので、「全てを知る者(ジ・エンド・オブ・ヒストリー)」なんても可能です。(noteにはルビ機能が無い😅)
章立ての改ページや、挿絵を入れる事も出来るので、本としての体裁をWordだけで整える事が出来るのです。
小説を書くための優秀なテキストエディタはフリー・有料含めてたくさんありますが、ことKDPの場合はWordを使った方が良いでしょう。
詳細は下記リンクを参考にしてください。
電子書籍の原稿の書式設定ガイド

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【原稿】
本文の設定です。
自著なので、当然デジタル著作権管理(DRM)を有効にするために”はい”を選択します。
ページを読む方向はお好みで。
”電子書籍の原稿をアップロード”をクリックして、自作の原稿ファイルをアップしてください。
アップロード自体はすぐに終わりますが、KDP側でファイルの検証を行いますので、完了には少し時間がかかります。
文字校正はWordレベルのもののようで、どうも英単語くらいしかチェックしないみたいなので、これは無視で。

【Kindle 本の表紙】
本の顔です。
Amazonの商品ページにデデンと表示されるものです。
出来るだけキャッチーな表紙を作りましょう。
画像はJPG形式が使用できますので、”参照”ボタンをクリックして、アップロードしてください。
本文と同様にKDP側で検証が行われるので、少し待ちます。

さて、私には絵心が無いので、自作イラストなども描く事が出来ません。
出版費用は0円と言いましたが、この部分だけは人に頼んでも良いかもしれませんね。
ただし、権利関係で揉めないように、気を付けてください。
ここでは、私が使用しているフリーソフトを紹介します。

GIMP(窓の杜)

これはレタッチソフトで、イラストや写真の修正を行うのに適しています。
フリーソフトなのに超多機能で、市販のレタッチソフトにも劣りません。
自分で描いたイラストを取り込んで色付けしたり、フリー写真を加工して背景の素材にしたりする事が出来ます。
絵そのものの加工ができるのですが、基本的な機能で十分であれば、Photoshopに比べても遜色ないでしょう。

InkSpace(窓の森)

これはドローソフトで、文字や画像のレイアウトを行うのに適しています。
こちらもフリーソフトですが、レイアウトを行うのに必要な機能が揃っています。
文字の配置やカラーパターンは多少なりともセンスが必要になりますが、ネットや書籍で参考になるものも多いので、それらを見ながら表紙を作ると良いでしょう。
中でも、一番参考になるのは既存の本です。
ラノベなら角川書店や集英社など、官能小説ならフランス書院などが良い見本です。
プロによるレイアウトなのですから、これ以上のお手本は無いでしょう。

余談ですけど、私はFANZAでエロマンガをよく買っているのですが、普通の出版社が出しているエロマンガと同人誌を比べると、パッと見で違いが分かります。
カラーパターンや文字フォント、レイアウトなど、明らかに違うのですよね。

さて、表紙画像の解像度は1,000 x 625以上となっていますが、私は1,618 x 1,000(黄金比)としています。
あまり大きな画像サイズだと編集時に高性能なPCが必要になりますし、文字だけで勝負するのならこのくらいで十分でしょう。
しかし、自分でイラストが描けるのなら、最大寸法は10,000 x 10,000なので、美麗で目を惹く高解像度のイラストを描くのも良いですね。

【Kindle 本のプレビュー】
”プレビューアーを起動”をクリックすると、Kindle端末での表示イメージでプレビューできます。

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文字サイズは閲覧環境に依りますので、ここでは表紙や目次、改ページ、奥付などの確認を行います。

注意点としては、改行が正しく表示されない場合があるという事が挙げられます。
テキストデータというものは、どのようなプラットフォームでも基本的にそのまま表示可能ですが、改行コードだけは微妙に異なる場合があります。
プレビューで閲覧したとき、意図しない場所で改行が入ってしまい、余計な一行が挿入されているように見える場合があります。
しかし、文字サイズを変更すれば同じ現象は起きないので、これはプレビュー独自の現象として無視しても構わないでしょう。

原稿、表紙のアップロードが終了し、プレビューでも問題が無ければ、このページでの設定は終了です。
ISBNは紙の書籍に対応したものなので、これも無視です。
ページ右下の”保存して続行”をクリックします。

2-3.Kindle 本の価格設定

最後に価格設定です。
安価に設定して薄利多売を狙うも良し。
高価に設定してバカ売れを期待するも良し。

【KDPセレクトの登録】
ここで注意するのは、KDPセレクトへの登録です。
登録すれば70%の印税でウハウハなのですが、条件としてKindleの独占販売でなければなりません。
なので、例えば他の投稿サイトでアップしていた小説をKDPセレクトに登録しようとするのなら、事前に投稿サイトの小説を削除しなくてはなりません。
これは、出版前の審査で確認されます。
ただし、削除した直後だと検索エンジンのキャッシュに残っていたりするので、少し間を置くか、あらかじめ削除しておく方が良いでしょう。

ただ、PV100万越えの作品だったり、読者が数千人だったりすると、削除するのも勇気が要りますね😢

KDPセレクトにはもう一つメリットがあります。
それがKindle Unlimitedです。
ユーザー的には、月額980円で数百万冊の色んな本や雑誌が読み放題という魅力のサービスです。
著者的には、一冊単位ではなく、読んでもらったページ単位で報酬が支払われるので、試し読み的な利用方法でも僅かとはいえ報酬が入ってきます。
KDP基金の全世界ページ数総割りとのことですが、おおむね1ページあたり0.5円が入ってきます。

以上を踏まえてKDPセレクトの登録可否を選択してください。

【出版地域】
すべての地域で問題ありません。

【ロイヤリティと価格設定】
お待ちかね、価格設定です。
薄い本なら500円と分かりやすいですが、この価格は完全に自分の意思で設定可能です。
中身の薄い、表紙詐欺のような本に10,000円とか付けても構いません。
まあ、可能は可能なんですけど、後々問題になるかもしれませんね……
なので、価格は常識的な範囲の上限で付けましょう。

ロイヤリティプランは35%と70%から選択できます。
70%を選択するにはKDPセレクトへの登録と、価格が250円~1250円でなければなりません。
10,000円で70%のロイヤリティはダメなのね、残念。

登録完了
お疲れさまでした。
以上の全てを問題なく設定・入力したのち、ページ右下の”Kindle 本を出版”をクリックして、登録は完了です。
著作権、エロ、反社会的等の審査を経たのち、問題なければ48時間以内に出版されます。
それはすなわち、Amazonの商品ページに、貴方の作品が載るという事です。
最初に自分の商品ページを見たときは、ちょっとした感動がありますよ。

Amazonの商品ページで見られるようになると、KDPからメールが来ますので、ドキドキしながら待ちましょう。

3.最後に(終わったー!)

出来るだけ分かりやすく、電子出版を行える最低限の情報でマニュアル化してみましたがいかがだったでしょうか。
「ここが分かりづらかった」
「ここが説明と違う」
などの意見がありましたらご連絡ください。
私自身はなんとか手探りで電子出版に漕ぎつけましたが、最初の準備で挫折する人も多いでしょう。
特に「税に関する情報」は米国の税制が絡んでくるので分かりづらいですね。
最初は日本国内の売上にも米国の源泉徴収税率30%が適用されるのではないかと思って、自力で米国の納税者番号TINをFAXと国際郵便で取得したりして大変でした。

本記事は出版に関するマニュアルのみですが、実際には表紙のデザインとかWordで目次を作るとか、奥付には何を表記したらいいとか色々あります。
しかし、これらはそれだけでnoteの一記事を書けるくらいの内容になってしまいますので、いずれということで。

とりあえず電子出版してみたい! けどやり方が分からない! という人向けのマニュアルでした。
ご購読、ありがとうございます。

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