居飛車後手番の話(2025年)~△33金型腰掛け銀-73桂馬-~

今回は、とてもマニアックな話で
33金型腰掛け銀は、プロでもちらほら出現するようにはなっていますが、やっぱりわかりにくいですよね。
狙いが難しく、なんだかんだで悪系であることは否定できないので難しいです。

〇結論

33金型早繰り銀の方がわかりやすいので、そちらをおすすめします。
54角設置して雑に攻めれば短い時間の将棋であれば勝ちやすいです。

本編

先手が手前

さて、では蛇足ではありますが話を続けましょう。
しかし困りました。
今回はわかりやすく説明するのはちょっと難しそうです。
ちょっと細かいので。
上図であなたなら何を指しますか?
何を指しても正解ですが、最優先78金で、そのあと68玉(または16歩)などを選ぶ方が多いのではないでしょうか?
それくらい、上図の局面は自然に進行するということを話したいのです。
78金に対して、今回は77桂馬と跳ねるのが今回のテーマへの入り口です。

桂馬を跳ねただけなのに

後手が33金型選ぶのは、一手得が魅力的だからでしょう。
自然な進行で、後手が先に桂馬を跳ねた。これが案外面倒だな~と、街を歩いていたらふと思ったのです。

仮説1:先手45桂馬速攻へのアンチになっているかもしれない

あんまり自身がないので、”仮説”とします。

従来の45桂馬速攻では、先手番を生かし速攻を仕掛けられました。
しかし、どうでしょう。
上図では、後手から仕掛けがあります。
65桂馬と跳ねた手に対して銀を逃げる手が候補に出てきません。

しかしながら、銀を逃げたくなる方が多数なのではないでしょうか?
57の利きがないため、銀を逃げるならば66銀ですが

86歩同歩同飛87歩打76飛68玉95角(上図)と進んで後手良しです。

図:再掲

なので、上図から、36歩~37桂の二手を入れる余裕がないというわけです。

仮説2 結構後手動きやすいかも

68玉に対して42玉は呼吸。自然な進行。

46歩を先にすることも考えられますが、人間的にも68玉を入れておくと安心感が違います。
後手としては、桂馬を早々に跳ねたことで一つ脅しをかけている状況です。
動きやすいかもしれないというのは、後手番角換わりで一番つまらないのはよくわからないうちに桂馬飛んできてずっと殴られ続けて、気付いたら負けているというパターンです。
一応駒組を気を付ければノーマル角換わりでも45桂馬のケアは出来ますが、ちょっと面倒です。
何よりむかつくのが、厳密には悪手だけど受け方が難しくて攻めが通るということが往々にしてあることです。
それがないだけ、心が安らかです。

対早繰り銀

△52金は後手苦戦

駒効率の観点からいえば(△31の銀が動いていないので)、後手が悪いのですが意外と後手が耐えてます。
49の金も動いていないので、良い勝負ということでしょうか?
上図先手の最善が15角ですが、いかがでしょうか。浮かんだ方はかなりお強い。

強襲

この強襲が先手としては有力です。

33角成同桂に、24歩がシンプルに厳しいです。
後手からの攻めが遅いため、徐々に悪くなっていきます。

△54銀(改善案)

強襲に備える修正案が、54銀です
43銀と引く手を用意しています。

一応耐えてはいますが、対応間違えると死にます(下図)。
ただ、変化が一直線なので事前に調べておけば後手勝ちやすいと思っています。

一応耐えている(なぜ?)
一例

36角は事前に調べないと浮かびにくい手かと思います。
22玉と下がるのも知らないと32玉としてしまいそうですが、22が正解らしいです。とても怖いですが、局面が収まれば先手からの攻めは細く、後手は65桂馬を跳ねられるので有望です。

対腰掛け銀

難解

以前は(=別の記事)22銀型を評価していましたが、現時点では32玉42銀型が勝ると思っています。
そもそも桂馬を先に跳ねれば速攻を食らわないという発見が大きかったです。それにより、駒組に猶予が出来て、32玉型を目指せるのではないかという発想に至りました。
着想自体はプロ棋戦見て得てはいたんですが、特に説明なく黙々と駒組されてはアマチュア二段程度の棋力では何にもわかりません。

さて、話を戻しましょう。
この形まで組めれば、後手は意外とやりたい手が多く不満はなさそうです。

頻出手

結局のところ、開戦は45歩からです。
32玉33金型の利点について説明させてください。

43金が中々手ごわい

・45歩同歩-同桂は43金で良い。
44歩と打って桂馬を取りに行ければ駒得で後手が悪い道理がありません。

・45歩同歩-同銀→難解だが、調べ甲斐がある。
残念ながら、これで良しといえる程単純ではありませんが調べ甲斐がある変化が多いです。後手からも有望なカウンターがいくつかあり優勢を取りやすいです。

少しだけ触れておきましょう。
上図から43歩と打つのは損がない手です。43歩を手抜くことも出来ないので、32金・48金と分岐します。どちらに分岐しても、65桂馬から攻めあってどうか、という将棋になります。

調べ甲斐がある、と表現したのは駒がたくさんぶつかっていて、要点さえ掴んでいれば優勢を取りやすいと思うからです。
47歩打の分岐はありますが、

この局面は後手に200点ほどふれている

角を打って相手が受け間違えれば勝ちやすそうです。
手ごわいのは、38金とした変化ですが、後手は86歩が権利として残っていますが、先手は24歩としても、33金がいるので活用が少し遅れます。

最善変化の一例です。
互角ではありますが、後手は馬が作れており桂馬が捌けた格好です。
先手は歩切れが祟っており、実は56銀と打たれる手がうるさいです。
場合によっては、86銀といきなり打たれる手すらあります。
なので、歩を入手して馬を消さないといけないと結構忙しいです。

補足 68玉型

79玉を入れないと、41飛車で後手良しです。

45歩同歩同桂の変化は実は、端歩が入っていると先手仕掛けられます。

9筋の突き合いの有無で天国と地獄です。
詳細な説明は省いて結論だけ記載しておきます。

〇1筋の交換がない場合

上図で15角が発生するため、後手が良くなります。

駒を使い切ったので、相駒がない。77桂馬としても、65桂馬で後手必勝。

上図で95角が発生するため後手が良くなります。

つまりは、9筋をついていないと、24歩を手抜いて、48銀不成から攻めあえるという仕組みです。
こんなの、事前に知らないとわかりようがありませんね。

9筋を突かれていた場合の修正案として、86歩を入れるというのがあります。

ここで、63角成とすれば、41金からの詰めろなのでやってしまいたくなりそうですが、この局面実は先手玉は詰めろです。
59角打からの29手詰みです。
そんなに複雑な応手はないので、覚えちゃっても良いかもしれません。

この局面において、先手が63銀打とするのは無理のようです。
そもそも、桂馬をタダで取られる前に、66銀から動いた結果なので、先手面白くないでしょう。

課題について

となれば、端歩をすべて突き越した状態の79玉に対して後手からどうするのかが、課題となります。
駒効率の観点から考えると、31の銀が使えてないのがやはり気になります。ただし、この位置に銀がいることで、将来的な22歩と受ける手が発生していたり、無理に動かす必要がないかもしれないという考え方もあり難解です。

ソフトの候補としては、75歩同歩65桂馬と攻める展開です。
ただ、これも調べてみないと何とも言えません(調べてない)。
繰り返しにはなりますが、31の銀が働くかどうかが肝要です。

まとめ

・一手得を生かして、桂馬を跳ねることで先手の桂馬速攻へのメタになる可能性がある。
・対早繰り銀は、54銀~43銀を用意しておけば戦える。
・対腰掛け銀は、変化が難解だが後手も戦える変化が多そう。

以上、新年一発目の記事でした。
将棋からは離れているのですが、やっぱりふと気に瞬間はあるので指さないにしても記事は書くんだろうなーと思いました。

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