ジュリアードの音楽教育メソッド

今年はジュリアードのメソッドを授業の最低20パーセント使わないといけないんで現在それの講習を受けてる所です。世界のジュリアードはなんと学校教育にも手をだしてたんですよ。すごいですよね。

この講習、舐めてかかってたらなんか難しくて。普通の講習ってビデオ見て、適当に質問に答えて、ビデオ見てる時も洗濯したり結構適当にやっても大丈夫なんですが、今回はそういかないんです。なんてったって探究形で教えてくるので、自分の頭をつかって創造力を駆使しないと全くダメで。けど、すごく楽しんですよ。やってて。例えば、こんな質問が飛んでくるわけです。

アートとエンターテイメントの違いとは?
芸術という言葉に付属する社会的重圧は何か?
コンテクストとパフォーマンスの分け方。
曲の解釈を生徒に委ねるために先生としてどのように導くべきか。
アナリシスする際のコンテクストの役割とは?

バカロレアを教えてる方にはすぐにピンとくるはずですが、これはまさしくTOK。一言で答えきれない質問がバシバシ出てくるのでウンウン唸ってると直ぐに時間が過ぎていきます。オンラインでの講習なので時間はありますが、対人だったらアワアワして大変になりそう。

世界が「公式を教え暗記させるだけ」っていう教育から「本質を学ばせる」っていう風にシフトして行ってて、ただ単に分析させればいい、っていうレベルでもなく、そこから広がる知識と、コアな本質を見極めさせることで応用可能にするっていうのはすごいと思います。

このご時世、学校教育でできる音楽授業なんて限られてて、私がどれだけ本質だのコンセプトだの音楽の美について頑張って教えても、親は「楽器やお歌はおしえないんですか」(いや、それらもしますが。本当に楽器したかったら個人レッスン行ってください)とか言ってくるんで、違うんですよ〜。最近の音楽教育ってお遊戯じゃないんですぅ。。。と説明することの機会が増えてるなと感じます。また、歌う弾くだけではなく、体で表現、言葉で説明、作曲も重要で、歌えればいいという段階の教育は前世紀なので、特に前世紀に育ってきた私のような頭の固い目の先生にも実は結構タフなものを感じます。

さて。ジュリアードでは「質問」に時間をさいています。どんな質問をするといいのかっていうことです。どんな質問を生徒にすべきか、何をコアな質問にすることで本質への旅が見えてくるのか、といった感じに。

そういえば。。。質問と言えば。。。大学時代、ジャズのクラスをとってたのですが、そこで教授が「自分の決めた質問にそって自分の論文を書いてください」とか言うので、適当に「ジャズとはなにか」って質問を提出したら教授が「おまえ、これは辞めた方がいいかもよ。いい質問だけど、幅が広すぎる」って言うので、やはり難しすぎるか〜。。。ってなりました。そして教授は他の生徒で「コールトレインの曲のコードチェンジとは何か」っていう質問を提出してて、「そんなん本に書いてるのを丸写しすればいいじゃないか」とダメ出ししてたんで皆んなで「なるべく良い成績が取れそうな質問じゃないとさぁ」って頭抱えてましたね。

結局。。。みんな良い成績をいかに楽に取るのか、ってことしか頭にないので学びの本質を失ってた。。。という気もします。教授もなんとなーくそういうの、わかってたんではないかと思います。だからダメ出しが多かったですね。質問を決めるのに時間がかかったなーって記憶してます。

また、答え方もいろいろあって、弾けばいいっていうだけでもなく。。。

音楽教育は沼です。



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