『明日のナージャ ~16歳の旅立ち~』 観劇レポート
昨日、朗読劇『明日のナージャ 〜16歳の旅立ち〜』を観劇してきました。
2003年に放送された『明日のナージャ』は今年で20周年。
貧困や身分の違い、死などの難しいテーマも描かれていました。
放送当時、小学1年生だった僕には難しかった思い出があります。
時が経ち、数年前におジャ魔女にハマって、仲良くなったフォロワーさんと細田守さんの話になったとき、
「明日のナージャの26話(フランシスの向こう側)も絶対観た方が良いよ!」
とオススメしてもらったのが僕とナージャの再会でした。
宍戸留美さんのファンになって“噂の”ローズマリーがどんな子か気になったのも後押しして、観てみることに。
第1話を再生してすぐに、音楽と映像から放送当時の懐かしい空気を感じることができ、お話が進むにつれてナージャ独特の世界観にハマって、どんどんその面白さにのめり込んでいきました。
オススメしてもらった第26話『フランシスの向こう側』は細田守さんの美しい演出が光る“神回”として名高く、僕も大好きになりました。
他には第31話『泣かないピエロ』や第35話『風のいたずら・運命の皮肉』も僕の大好きなお話です。
ナージャは24話でスペインに到着したあたりから更に面白さを増していく作品なので、もし観返そうという方がいたら根気よく観て欲しいなと思います。
僕は『明日のナージャ』を大人になってから観返して、諦めないことの大切さを学びました。
運命のいたずらやローズマリーの策略に何度もくじけそうになるけど、それでもいつも「絶対に諦めない」と口にするナージャ。
この世界には光があれば影もある。
でも、諦めずに努力し続ければきっと幸せな明日を掴むことができる。
運命の扉を開くことができるのは、自分自身。
『明日のナージャ』は、そんな勇気や希望の尊さを気づかせてくれる素敵な作品です。
さて、そんな『明日のナージャ』が朗読劇として帰ってきました。(前置きが長すぎる笑)
会場に着くと、想像していたより幅広い年齢層のお客さん達がいて、色んな世代に刺さる作品だったんだなと思わされました。
企画書やキャラクター紹介などが展示されていて、ロビーもナージャ色に染まっていました。
席に着いてパンフレットを読みながら開演を待っていると、館内アナウンスが。
その声はなんとローズマリー(宍戸留美さん)。
「〜してちょうだい。」「〜することね。」といった言い方がローズマリーのキャラそのままで、開演前から嬉しい気持ちに。
そして開演。
ナージャ役の小清水亜美さんが登場。
「むか〜しむかし...」というお約束の始まり方。
そのお約束の続きが「100年と20年くらい昔」とアレンジされていて、それもまた愛を感じました。
アニメのOP主題歌『ナージャ!!』が流れ、イントロから鳥肌。バックに流れるアニメのダイジェスト映像も胸がギュッとなりました。
小清水さんはピンクのドレス姿が可愛らしくて、セリフの度に大きく身振り手振りをしたり、話し相手に向かって前のめりになったりと、動きもナージャみたいで見ていて楽しかったです。
たまに見せる小清水さん自身の人柄が全開になる演技も可愛らしくて面白かったです。
フランシス&キース役の斎賀みつきさんは、目の前に王子様が座っているようで、ずっと発光して見えました。
フランシスは優しく、キースは強く。
目の前で演じ分けされていて、どちらもカッコよかったです。ナージャ役の小清水さんを真っ直ぐ見つめての甘いセリフ。思い出すだけでドキドキします。
ナージャはどっちを選ぶんだろう?罪な双子です。
斎賀さんは、今回特別にアップルフィールド孤児院の院長先生の声も担当されましたが、フランシスやキースの声を出している方と同一人物とは信じられないくらいの違いで驚きました。
別録りの誰かの音声が流れてると思ったら、斎賀さんの口が動いていました。笑
王子様から優しいおばあさんまで。凄すぎます。
ダンデライオン一座の団長・ゲオルグ役の一条和矢さんは、お客さんを楽しませようという気持ちが演技に込められまくっていて、アドリブで何度も笑わせてもらいました。どんとおおらかに構える姿はまさに団長。
レオナルドを紹介する時のわざとらしい「バラのつぼみちゃ〜ん」の言い方とか最高でした。笑
ナージャは暗い部分が取り上げられることが多いのですが、楽しく観られるのは団長をはじめとしたダンデライオン一座の力が大きいと思っています。
今回の朗読劇の楽しさも団長が支えていたように感じました。
ローズマリー役の宍戸留美さんは、音楽に体を揺らしてニコニコしている自然体の姿と、ローズマリーとしてセリフを読む姿のギャップがすごかったです。
今回のお話もローズマリーはナージャに対して意地悪するのですが、留美さんが悪役を楽しまれているようで、笑顔で嫌味を言う姿はまさにローズマリー。
もちろんとても悪なんだけど、どこか「可愛い」とか「可哀想」とか、そういった寄り添いたくなる要素も含むローズマリーのキャラクターは、留美さんが演じるからこそだなと今回改めて思いました。
今回のお話で初登場のキャラクター、ピエール・デュポン役は高橋広樹さんが演じられました。
他のキャストは20年振りの再会ということで、高橋さんは皆さんと違う難しさもあったかと思いますが、カッコ良い詐欺師として見事に溶け込んでいました。
ローズマリー(宍戸留美さん)とのコンビもバッチリ。
途中の「しばらく出番ないから」というメタ発言(セリフ?アドリブ?)は、言い方も含めて面白かったです。笑
最後はアニメのED主題歌『けせら・せら』が流れておしまい。
...と思いきや、19歳のナージャとローズマリーのやりとりが。
「ごきげんよう、プリンセス・ナージャ」
「ごきげんよう、プリンセス・ローズマリー」
続きがあることを観客に期待させながら、朗読劇は終わりました。
本編が終わり、トークショーへ。
再びキャストがステージに登場しました。
僕はちょうど下手の最前列にいて、留美さんの近くだったのですが、留美さんが出てきたときに気づいてもらえて、(あっ!)って表情をした後に(にこっ!)と微笑んでもらえました。
あまりの嬉しさに、思わず手を振る僕。笑
MCは高橋広樹さん。
僕が観劇した回(16時開演)のトークテーマは
①思い出のエピソード回
②気になるキャラクター
③あなたにとって『明日のナージャ』とは?
貴重なお話がたくさん聞けたのも嬉しかったのですが、キャストの皆さんも作品の1ファンとしてお話しているのを感じられたのが嬉しかったです。
話しているときの表情や声から、好きだからこその熱量が伝わってきました。
①で留美さんがナージャのドレスを破るローズマリー(第38話『ローズマリー笑顔の陰謀』より)のシーンを挙げたとき、
「当時は一生懸命演じてて、私はそんなローズマリーが可愛くて仕方ないんだけど、改めて観てみるとすごい酷いことしてるよね!ナージャ可哀想〜!笑」
とお話されていて、「ほんとだよ〜」なんて思いながら僕も笑ってしまいました。笑
また、斎賀さんが印象に残るシーンとしてOPとEDを挙げ、「音楽だけで泣ける」というお話をされたときは会場中が共感したと思います。
②では、一条さんが孤高の吟遊詩人ラファエルを挙げて、会場が「いやいやご冗談をw」みたいな空気に包まれました。笑
「ミステリアスで細くて、当時は絶対に担当しないようなキャラだったけど、今だったら挑戦してみたい」
という話から、その場でアテレコしてみることに。
見事に演じきった一条さんでしたが、小清水さんが「なんか胡散臭いw」とバッサリ。笑
そんな小清水さんが挙げたのはクリスチャン。
「あんなに色々助けてくれたのに、最後の方全然出てこないんです!」というのが理由。
「結婚するならこういうタイプですよ!」
(クリスチャンのイラストをバシバシ叩きながら)
という小清水さん(ナージャ)の爆弾発言に斎賀さん(フランシス&キース)が「えっ!?」とリアクションしたのがこの回のハイライト。笑
③では小清水さんの
「『私にとってナージャとは?』と聞かれたらこう答えようと決めていました。『運命の扉』です!私は今『運命の扉』の向こう側にいます!」
と答えられていたのがすごく印象に残っています。
小清水さんにとって夢だった声優としての始まり。
今回のトークショーでも、この作品で声優として成長できたというお話を何度もされていました。
回答にすごく重みがあって、とても感動しました。
時間はあっという間に過ぎ、鐘が鳴ってトークショーも終わりの時間に。
キャストの皆さんからファンやスタッフに向けて感謝の言葉が伝えられ、イベントの幕は下ろされました。
紫色のドレスの裾を持って、少し膝を曲げてお辞儀する留美さんの姿は正にプリンセス。
最後の最後までローズマリー。流石でした。
終演後にはキャストが座っていた椅子に台本が置かれ、写真撮影スポットになりました。
こういう粋な計らい、ファンには堪らないです。
今回の朗読劇は、ファンやキャストの皆さん、そして制作スタッフの大きな愛がすごく伝わってくるイベントでした。
本編の終わり方も続きがあることを匂わせる終わり方だったので、ぜひ続編をやって欲しいなと思っています。続編あったら嬉しいな〜。
19歳のナージャとローズマリー。
どのような大人の女性になっていくのか。
どのような“プリンセス”になるのか。
そのとき、他のみんなはどうなっているのか。
ぜひ、朗読劇でまた帰ってきて欲しいです。
(もちろんアニメーションでも嬉しいです!)
グッズ販売や朗読劇など、少しずつ動き出したこの20周年をきっかけに、『明日のナージャ』を愛する人がワクワクするようなことが沢山やってくることを願っています。
“いま、運命の扉がひらく!”
その日を信じて。