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今年はこの5曲と出会えただけで良い1年でした2020

去年の暮れに書いたnoteの書き出しが「ずうっと先だと思っていた東京オリンピックがマジでもう目と鼻の先。」で、複雑な気持ちになってしまった。オリンピック、まさか中止になるなんて、あの時は思ってもみなかった。当然のように2020年もたくさんライブに足を運ぶ予定だった。ライジングサンのチケットも当たっていた。全部ポシャった。クソ。

それでも、だからこそ、去年よりも音楽との距離感が近い一年だった気がする。去年の5倍くらいの熱量で書きました。長いです。最後まで読んでくれた人全員にハグするね。



幸福のしっぽ/ハヌマーン

2020年上半期、寝ても醒めても山田亮一だった。山田亮一というのはハヌマーンのフロントマンです。現在はバズマザーズで活動しています。
当時のアルバイト先に出勤してまずバズマザーズを流し、休憩中はハヌマーン時代のライブ映像を観ながら山田亮一のツイッターを遡り、退勤して帰宅途中の地下鉄の中で過去のインタビュー記事を漁り、家で山田亮一が作った曲を歌いながら食器を洗い洗濯物を干した。スマートフォンのロック画面を山田亮一の写真にした。ありとあらゆるSNSのbioにハヌマーンの歌詞を載せた。煙草の銘柄も山田亮一と同じセブンスターに変えた。24時間中7万秒くらい山田亮一のことを考えていた。書いていて自分が気持ち悪くなってきました。恋じゃんそれは。

たくさんある山田亮一の曲の中でもこの曲は、聴いていると時々感情が揺さぶられ過ぎて疲れてしまうので、どちらかというと積極的には聴いてこなかった。歌詞の重量感がとてつもなくてなんだかテキトウに聞き流すことも出来ないし、でも真剣に聴くと気が重たくなるし。ああ、そういえば前に好きな人が、この世の曲の中で一番この曲の歌詞がだと言っていた。

明日どれだけ面倒でも
部屋の掃除をきちんとするよ
たまった洗濯物も干して
あなたを思って言葉を書くよ
暮らしがどれだけみすぼらしくて
維持するだけで目が回っても
ただ受け容れるだけの掃除機と
回り続ける洗濯機のように
好きな歌など聴けなくても
会いたい人には会えなくても
行きたい場所には行けなくても
黙って全てを受け容れるから
そしたらまだ 人間でいられるんかなぁ?
母さん

2020年5月19日、コロナ禍のさなかで山田亮一が行ってくれた弾き語り配信ワンマンで、最後にこの曲が歌われた。なんか全然、「頑張ろう!」みたいな前向きな気持ちにはならなかったけれど、とりあえず生きていかなければならないし、そうしているうちになにかに許される日が来るんじゃないかな、みたいな気持ちに、なった。なにに許されたいのかは自分でもよくわからんけど。ひた向きで素直で明るいものに、曲とか人とか物語とかね、そういうものに胡散臭さを感じてしまう暗い人間なので、頑張ろうねみたいなことを言われるよりもこういうものに生かされてしまう。
そういえばそのワンマンライブで山田亮一が「出来る限り希望の曲を歌います」というMCと共に若者のすべてという曲を歌っていた。わかりやすく明るい言葉がひとつも出てこないその曲で、「歌うとは失望の望を怒鳴ること」と歌うその曲で、それでもこの人は希望を歌うんだな、と思った。

ハヌマーン、2020年で一番聴いた。サブスク解禁嬉しかったです。


月面旅行/CRYAMY

こんなもん当たり前に好き。7分半が一瞬。すげえチープにタイムワープしてる。
自分の好きなものに対して、「わたしは好きだし、みんなも好きそう」と思うこともあれば、「わたしは好きだけど、みんなはどう思うかな……好きだと思ってくれる人もいたら嬉しいけど、そうじゃなくても仕方ないよね」みたいに思うこともあるけど、こんなん、心底「これを嫌いな人間とは悪いけど絶対に仲良くなれない」でしかない。ボーカルのちょっと掠れ気味の、叫び声が似合う歌声と、青春パンク気味なメロディと、抽象的なのにぼんやりしていない歌詞、ダメ押しの鳴きのギター、全部好き。こういうことです。ありがとうございます。こういう曲が好きだしこういう曲が好きな人が好きです。

消えるのなら後は追わせてね

「消えないで」って言われるよりよっぽど生き延びようかと思っちゃうよな。まんまと。


夜間通用口/PK shampoo

ハイ。PK shampooの話です。お待たせしました。
2020年、上半期が山田亮一なら、下半期はヤマトパンクスだった。知っていますか?ヤマトパンクス。世界一格好良いアル中です。いつツイッターを見ても酒を飲んでいる。
PK shampooを聴くようになったのは2年前、たまに読んでいた音楽レビューサイトで大絶賛されていたのがきっかけだった。この時に聴いたのは神崎川京都線の3曲で、それらを聴いた自分の中でのPK shampooの位置づけは「たくさんある、たまに聴く結構好きなバンド」くらいの感じだった。ワンマンは悩むけど、フェスで来たら聴きたいな、みたいな。馬鹿か。今なら借金しても行く、ワンマン。
なにがわたしをそこまで言うようにさせたかと言うと、はい、それが今年の春に公開された夜間通用口のPVだった。お、PK新曲出てるじゃん、くらいの気持ちで聴きはじめて、テキトウにコメント欄をスクロールしていた手を止めて画面に見入って、アウトロで女子高生みたいなテンションで「やばーい!!!」と叫んだ。ヤバかった。そこからなんかもうアホみたいに好きになっちゃった。たまに聴く結構好きなバンドが、多分死ぬまで聴くんだろうなというバンドになった瞬間だった。

わたしは基本、ギターがうるさくて、ボーカルが叫んでて、歌詞が抽象的で、みたいなバンドが好きで、PK shampooはその全部に当てはまる。当てはまるのに、PK shampooみたいなバンドなんて多分他にいない。どうなってんだ。どこから生まれ出たんだお前らは。特に歌詞は意味がわからんくらい良い。どう生きてきたら世界がそんな風に見えるんだろう。

少なくともツイッター見る限りはずっと酒飲んどる。

僕はずっと月が照らす光に何度でも夢をみる
いつまで月が照らす光に何度でも夢をみる
君と目を合わせられないのは かすむ月明かりばかり見てるから
ああ これで最後だと 雲が投げる影が帯びる速度で
空の夜間通用口を抜けて 君とさよなら

本当に同一人物が歌詞書いてる?
わけわかんないけど、とりあえずわたしはサブスクが発達し手元にCDを置いておく必要性がどんどんなくなっていっているこのご時世に、数年ぶりにシングルCDを買いました。ライブもないのにグッズTシャツも買いました。ヤマトパンクス、酒で死ぬのだけはやめてくれよな。


3D/Biela/PK shampoo

まだPKの話をするつもりでいる。こわ。

夜間通用口のPVが公開されてからほどなくして、わたしの誕生日に公開されたこの曲。「死ぬまでこのバンドを聴く」とまで思わせた夜間通用口は絶対に外せなかったけれど、恐らくこの一年を通して一番目か二番目に再生しているこの曲も全然外せなかった。こういう記事はひとバンド1曲までと思っていたのに。無理だった。すいませんでした。

「なにがあったって構わない 君と生きていくよ 例え奇跡なんかひとつも起こらなくても」という歌いだして始まるこの曲は、一見するとラブソングのようなのに、聴いているとなんだかすごいしんどい。歌詞の並びの美しさも相まって、ああこれが切ないということか………みたいな気分になる。これが、そうか、今この胸の中にあるものが「切ない」ということか………みたいな。ウルキオラかよ。

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これがそうか、切なさか。

で、何回か飲み会の帰り道に酔って聴いて泣いたりもして、なにがそんな気持ちにさせるのかなあと思っていたらインタビューで「”3D /Biela”は、地球の周りをぐるぐる回ってたんだけどある時2つに別れてどっかいっちゃった彗星の名前。この曲では別れを匂わせないように歌っておいて、タイトルの意味を調べた時に別れの曲なんだってわかるっていう構造にしたかった」みたいなことを言っているのを発見して、もうヤダ………と思った。もうヤダ。これ以上好きになんの怖いよ。

夜は天使みたいにふたりをどこかへ連れ去って
ユニットバスの水蒸気と公転周期 君とメロディ
軌道傾斜角に五度で当てるコーラス ただ君の為に
銀河巡礼概論a 飛ぶコツは振り向かないこと

サビの歌詞が強烈に良い。ていうか歌詞なんてどの曲のどこを切り取っても良い。教科書に載せたい。


魚に羊、化ける草/ゆれる

さっき3D/Bielaについて「恐らくこの一年を通して一番目か二番目に再生している」と書いたけれど、書きながら「どっちが一番だったかな」と悩んだのがこの曲だった。ゆれる。この記事で唯一正真正銘2020年に出会ったバンドです。

マジで本当に切ない話なんだけど、聴くようになったきっかけが活動休止を知らせるツイートがタイムラインに流れてきたことだった。それまでも名前くらいは知っていたんだけど、バンド名が「ゆれる」でボーカルの名前が「あみ」って、なんか、こう………もっとゆるふわなバンドなのかと勝手に勘違いして敬遠していました。いやほんと思い込みって怖いね。ていうかゆるふわなバンドってなに?Silent Siren?
活動休止ツイートが流れてきた日、その場にいた好きな人に「ゆれるってどんなバンド?」と聞いたら「格好良いバンドだよ」と言われ、ふーんと思いながらBPMという曲を聴いて後悔した。出会うのが遅かった。

前に「陽キャが作った曲が聴けない」みたいな内容の記事を書いたんだけど、わたしはシーブリーズのCMに使われそうな明るくポップな曲が基本的に聴けないし、マイヘアの登場以降急増した歌詞重視のちょい重め恋愛ソングバンドの曲もあまり聴かない。そういう曲を聴いて泣いたり笑ったりできる人になりたくてでもなれなくていじけて逃げて生きてきたからだ。好きになるのはいつも、クラスに馴染めず毎日が上手くいかないやつの逃げ道になるようなロックだった。そういう曲にいつも飢えていた。
ゆれるが、そうです。いやまあ今日載せたバンドは全部そんな感じなんだけど。でもゆれるがそうです。

BPMも載せちゃう。めっちゃ早いダウンピッキング。こういう、歌詞の物語性?知らん知らん!ハイ、ギターをこうしてこんな感じでこう!!!!!!!みたいな、演奏の格好良さだけで殴りに来るバンドが結局一番好き。歌詞なんてあとから調べてああこんなこと言ってんだって思うくらいでいい。その方がいい。一曲で二度恋に落ちたいわたしは。
さっき載せた魚に羊、化ける草の動画はアコースティックバージョンなんだけど、弾き語りだとそれはそれで歌詞の良さと声の表情の豊かさが際立っている。最初に聴いたとき良すぎて胸が詰まって泣きそうになってしまった。
まずもってわたしはあみの声が本当に好きで、今まで聴いた全歌声の中で暫定で一番好きで、なんだもう、好きしか書けない。書けないです。あみの声、叫んでも呟いてもサマになって狡い。ゆれるの曲は基本的にBPMみたいな曲が多くて、ボーカルもだいたい叫んでて、アルバムを最初から通して聴くとずっとカウンターパンチを食らい続けている気分になるんだけど、3枚出しているアルバムの3枚とも最後の曲だけアコースティックで優しく歌う曲で、そんなのだめでしょといつも思う。だめでしょ。殴られた後に優しくされたら離れられなくなるでしょ。どうしてくれんの?

あとこれは曲を聴く上で本当に全く関係のない話なんだけど、わたしはあみの顔がマジで心底タイプ。マジで。

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笑顔が可愛い。今後タイプの芸能人の話になったら彼の名前を出します。

まあ顔のことはよくて。とにかく、あんなに心のこもった歌い方をするバンド、なんか最近全然みないよな。気がついたら毎日聴いていた。ちょっと遅かったけど出会えてよかったです。活動再開待ってます。



ハイ。終わり。疲れた。ここまで読んでる人いるのか?

去年書いた記事を読み返したら、今年は全然聴かなかった曲もあってウケてしまった。あの時はもうずっと聴くと思って書いたんだけどな。そんなもんだよな。今年は去年の倍くらいの熱量で書いて、どれも死ぬまで聴きたいと思っている曲ばかりだけど、それも結局わからないなあと思う。なにが起きるかなんてね。東京オリンピックが中止になるくらいだしね。
それでも今の自分が自信をもって好きだと言える曲ばかりです。来年読み返すのが楽しみだな。

最後に、載せきれなかった今年わりと聴いた曲たちをばーっと載せてシメます。


16少年漂流記/カッパマイナス

イントロ、良すぎていつも笑っちゃう。ギターの殺傷能力が凄い。なんべんでも言うけどわたしはこういうバンドが好きです。気持ちいいよね。


POODLE/climbgrow

ミッシェル好きそう。ミッシェル好きそうなバンドはだいたい好き。


真夏のシューメイカー/THE PINBALLS

ブランキー好きそう。ブランキー好きそうなバンドもだいたい好き。


朝ごはん/シュリスぺイロフ

通勤中によく聴いた。わたしの中の二大「このバンドを好きな人は性格が良さそう」のひとつ。もうひとつはズーカラデルです。


スカーレット/ART-SCHOOL

10月の間狂ったように聴いた。聴く度に暗い気持ちになった。


感電/米津玄師

米津ってやっぱすげー!!って思った。サブスク解禁ありがとうございました。一番好きな曲は眼福です。


それでも夜は星を連れて/andymori

未音源化曲。ていうか解散ライブで初披露したらしい。こんな曲残して解散すんなや。


終わり!よいお年をね。みんなあったかくして過ごすんだよ。またね。


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