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孤独について 9.中野信子

私も”後期老齢者”が近づき、これからおとずれるかもしれない「おひとりさま=孤独」の時間をどうすごせばよいか考える必要を感じています。
そこで、「こんな本を読んだ 番外篇」で、さまざまな人の著書をもとに「孤独」について考えています。第九回は中野信子の本から。

「孤独について」の目次ページはこちらです

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【独断的結論】感情を客観的に見つめよう

9.中野信子

中野信子さんは脳科学者、評論家。
中野さんの『人は、なぜさみしさに苦しむのか?』という本をご紹介します。

本書は、「さみしさ」を中心とした諸問題について述べたものです。中野さんは、さみしいという感覚と孤独感とは似たものであるとしていますので、本稿では「孤独感」ということばを使います。

中野さんはつぎのように言います。

孤独感は、だれでも感じるありふれた感情であるにもかかわらず、なぜこうも不快でやっかいなものなのか。

ひとつは、他人と共有することがむずかしい感情であること。

もうひとつは、孤独感は、人という社会的な生物にとって必要不可欠なものであり、ときに強い痛みを伴うほど強力に発動させることで、人という種を存続させ、進化を果たしてきたと考えられること。

そのため、食欲や性欲と同じように、孤独感も意志の力などで簡単にコントロールできないように「本能」として仕組まれているものである。

孤独感は本能であると知ったとしても、そこから解放されることはない。しかし、その仕組みや本質を知ることは、決して無意味なことではない。

孤独感を脳科学や心理学の視点から科学的に考察すると、孤独感を感じる自分は心の弱い人間でもなければ、劣っている人間でもない。

孤独感から安易に人とのつながりを求めると、悪意のある人にだまされたり、裏切られたりすることがある。

自分の感情をできるだけ客観的に見つめ、そのあつかい方を知ることは、自分を守ることであり、自分を知ることでもある。そして、自分を取り巻く社会のありようを正しく見つめることにもつながっていく。


中野さんは、本書で安直な孤独感のいやし方を示しているわけではありません。しかし、自分の感情を客観視し、整理することで、より生きやすくなる方法があると伝えてくれています。名著です。

なお、本書でも、本を読むことで、孤独感をやわらげることができる。また、脳を刺激することにより、達成感や喜びを感じるようになるとしています。


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