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親知らずを抜いたらマスターソードの台座の気持ちがわかった話
私は親知らずを抜いたことがある。
ある日を境に、なんか奥歯がめちゃくちゃ痛くなって、近所の歯医者さんに診てもらったら親知らずが虫歯になっていた。
これは抜くしかない、ということで親知らずを抜くことになったのだ。
抜歯の準備
私はこれまで、抜歯というものを経験したことがなかった。
歯を抜くのってどう考えても痛そうだし、なんか怖いイメージがとてもあるのでものすごく不安だった。
そんな私の不安をよそに、歯医者の先生は慣れた手付きで麻酔を打っていく。
麻酔を打ってしばらく経ってから、先生は私の親知らずを器具で叩いて、「痛いですか〜?」と聞いてきたが、痛いどころか歯に器具が当たる感覚すらなかった。麻酔ってすごい。
いよいよ抜歯
先生は「麻酔が効いてますね」といい、さっそく器具の準備を始めた。
器具を取り出した先生は、診察椅子に横たわった私を見下ろしながら、強い力で器具を私の歯に突き刺した。
麻酔が効いていたので歯の感覚は一切なかったが、グッ、グッ、グッ、といった感じで、3回ほど後頭部が診察椅子に押しつけられる感覚があった。
これで私の親知らずは、突き刺した器具によって先生の力で引き抜くことができる状態になった。
不思議な既視感
親知らずを抜かれる直前、私はこの状況に不思議な既視感を覚えていた。
マスターソードだ。
小学生の時にプレイした、「ゼルダの伝説 時のオカリナ」に登場するあの剣だ。
先生が主人公のキャラクターで、剣が抜歯に使う器具、私が剣の台座だ。
今の私に起きている状況は、ゲームで剣を台座から抜くシーンと全く同じだった。
剣を引き抜かれる台座って、こんな気持ちなのか…と、歯を引き抜く先生の顔を見ながら思った。
抜歯終わり
先生が虫歯になった親知らず器具を突き刺してから抜けるまで、1分もかからなかったように思う。
先生は「これが抜いた歯ですよ」といって、私の親知らずを袋に入れて渡してくれた。正直もう要らないかな…と思いつつ受け取った。
「親知らずを抜くのは大変だ」といろんな人が言っていたが、私は体感で1分もかからずに終わったので、「なんだ、親知らずを抜くのってそこまで大変じゃないじゃん」とあまりにも愚かな勘違いをしていた。
後日、親知らずをもう一本抜きに歯医者さんに行った時には、「わぁ〜マスターソードの台座だ〜」なんて呑気なことを考えている余裕は1ミリもなかった。
ややこしい生え方をしている親知らずを抜いたので、それこそもう一生抜歯したくないと思ったくらい大変な目に遭った。
親知らずを抜く時は、ある程度の覚悟を持っておいた方がいい。マジで。