【THE UPDATE#1 イベントレポート】 ゲスト:香川大学西成教授
こんにちは!香川県さぬき市でまち宿AETEという民泊を運営している黒川です。
今回、香川県出身であり大学で都市計画を専攻していたということもあり、株式会社HYAKUSHO様のまちづくりイベント(全6回)のイベントレポートをさせていただきます!🔥
THE UPDATE!~サンポート高松の可能性を考える~とは?
サンポートエリアは開発から20年が経過し、近年再開発が計画されており、今後ますますの活性化が期待されています。同時に、社会全体の動きとしても、デジタル化への変革が強く求められており、20年経過した今、現在の潮流にあった新しいまちづくりのあり方が問われています。
そのような中、Setouchi-i-Baseの会員でもあり、官民連携による都市再生・まちづくりの全国でアドバイザーをしている湯川致光さんと、Setouchi-i-Baseコーディネーターの小西真由さんが、様々な分野の有識者をゲストにお呼びし、サンポート高松の可能性について語り合う番組です。
Setouchi-i-Baseさんのご協力の元、かなり本格的な機材を使い完璧な配信環境の中で配信を行いました。
そして、記念すべき第1回目のゲストは、香川大学経済学部教授工学博士西成典久(にしなりのりひさ)さんです。「地域資源活用による観光まちづくり」「環境とコミュニティをつなげる仕組みづくり」といった分野からお話頂きます。
ゲスト&MC紹介
ゲスト
■西成典久(にしなりのりひさ)
香川大学経済学部教授 工学博士
専門は都市計画、景観デザイン。
城下町・高松にある海-城-町という構造を活かすため「高松城周辺公園化構想」を提唱。県内にて自治体等と連携したまちづくりプロジェクトを学生とともに複数運営している。(屋島山上ちょうちんカフェ、TERASU、またたび、なえどこ、ちょんまいガーデンプロジェクト)
MC
■湯川致光(ゆかわ よしあき) 株式会社HYAKUSHO 代表取締役/パブリック・ディレクター
東北大学公共政策大学院修了(公共法政策修士)。立命館大学地域情報研究所研究員。神奈川県庁、香川県庁、高松空港株式会社を経て独立。県庁時代は、官民連携、ICT推進、マイナンバー事業に従事。高松空港時代は、広報・観光マーケティング、2次交通を担当。専門はPPP/PFI、官民連携、観光まちづくり、市民協働。丸亀市リノベーションまちづくり実行委員会委員長歴任。四国財務局、松山市等で講演。テキサスA&M大学(オンライン)、東洋大学、香川大学等で講義も担当。
■小西真由(こにし まゆ)
Setouchi-i-Baseコーディネーター/株式会社かける小町 代表取締役
香川県丸亀市出身。神戸大学在学中に、オーダーメイド式のパーティー料理専門のケータリンサービスを起業。その後、イベント企画も含めたイベント総合プロデュースに着手し、大手企業の懇親会やレクリエーションを担当。手掛けた数は過去に800件を超える。現在は長年にわたるデリバリーへの知見を生かし、飲食店の新規テイクアウト立ち上げの支援を行う。現在香川で飲食DXを意識したフードブランドの立ち上げ準備中。本番組では一民間事業者目線でのこれからのまちの在り方を探る。
第1回はこのようなメンバーでお送りしていきます🔥(配信前の様子)
今回のイベントでは大きく分けて、
・他の街にはない高松の潜在力は何か
・都市計画の観点でこれからのサンポートエリアに求められること
の2つのテーマを切り口に、過去の高松や国内外の類似した街と比較しながらサンポート高松エリアを深掘りしていきます。
他の街にはない高松の潜在力は何か?
(※本記事中のスライド写真は西成教授よりご提供いただいております。)
高松の未来のことを考える上でまずは押さえておきたいのが他の街にはない高松ならではの潜在力は何なのかということです。
潜在力を紐解くヒントは過去の高松にありました。キーワードは「海-城-町」です。
いきなり「???」となった方も多いかもしれないんですが、江戸時代の高松の様子を見ていただけると、すぐに理解していただけると思います。
江戸時代の高松の様子がこちらです↓
海に面して城が建てられ、城の奥には町が広がっており、町の構造として「海-城-町」という風になっていることがわかります。
このように海に面して城が建てられているもののことを「海城」というのですが、西成教授が調査したところ全国に24しかなく、その中でも「海-城-町」という軸を中心として東西にほぼ線対称となる特徴を持つのは高松だけだそうです。
「高松の唯一無二な部分はわかったけど歴史や特徴を読み解いてどういうメリットがあるの?」
というのが一部の人を除いての正直な心の声じゃないでしょうか。
地域の歴史や特徴を「読み解く」というのはまちづくりにおいてはよく使われる表現です。
個人的に地域の歴史や特徴を読み解くことは、料理の下ごしらえに似ていると感じています。
一見すると無駄な工程に思えるかもしれませんが、初めに下ごしらえをすることで最後の料理の味が全然変わってきます。まちづくりにおいても同じです。きちんと読み解くことで理想的なまちのあり方に辿り着くことができると思っています。
ここまでは過去からヒントを探しましたが、次は世界の事例からヒントを探していきます。
世界の都市再生の成功事例の共通点
世界の成功したと言われる先進事例のにある共通点は西成教授曰く2つあるそうです。
1つ目は「歩いて楽しい町を作る」ということ 2つ目は「水辺を魅力的にする」ということ
日本では便利さが重視され、車中心のまちづくりがこれまで行われてきましたが、海外ではヨーロッパなどを中心に歩行者を中心としたまちづくりが行われています。
これらの共通点でサンポートエリアに当てはめてみると可能性が見えてきます。
・日本一長いアーケード商店街があり、日常の中に歩くことがある
・港や城など魅力的な水辺になりうるポテンシャルがある
(「海-城-町」とようやく繋がり始めてきました!!)
都市計画の観点でこれからのサンポートエリアに求められること
さて、ここまでの話を踏まえて具体的にサンポートエリアのこれからをまとめているのが西成教授が提唱されている「高松城周辺公園化構想」です。
現在の玉藻城周辺の課題として、
・駅/城/商店街といった各エリアが連結していない
・機能ごとにエリアが明確に分かれてしまっていること
ということがあります。
そこで、玉藻城周辺を歩行者天国にし、駅を降りた人が公園の中を歩いていくと自然と商店街に繋がるように、機能的ではなく空間的に公園で繋げていくという構想です。
各エリアの境界が公園という公共空間によって曖昧になり、緩やかに繋がるようになります。
また、この構想は地域の事業者にとっても大きなチャンスを生み出すことになります。公園化されたエリアには多くの人の流れが生まれるため、キッチンカーのように歩く人をターゲットとしたビジネスを展開することができます。
さらに、サンポートで行われているさぬきマルシェや真夏の夜の夢のようなイベントが常態化することで地域の宿泊事業者にとっても良い影響があるのではないかという話も番組内で語られました。
市民の意見をまちづくりや都市計画に反映するには?
番組内では様々な質問が出ていたのですが、その中でも特に印象的だったのが、「市民の意見をまちづくりに反映するには?」という問いです。
これまでの一般的なまちづくりや都市計画では行政が主導し、委員等に選ばれた一部の市民の意見を反映してきました。
しかし、これからはデジタルの力を活用することで今までとは全く違う意見の集め方・反映のさせ方が可能になるはずです。
この番組でも配信中に多くの方からコメントをいただいたのですが、これもデジタルの力を活用した市民の意見を集める仕組みと言えます。
皆さんにとっては当たり前のことでも、これまでのまちづくりや都市計画の進め方にとっては革新的な取り組みになることもあるかもしれません。
ぜひ各々の「市民の意見をまちづくりに反映するには?」への意見をお聞かせください!!
終わりに
無事に第1回を終えることができましたが、毎月1回(全6回)でお送りしていくので今後も楽しみにしていてください!
次回はゲストに乗松真也さんをお呼びして、考古学の視点から、高松の成り立ちについて掘り下げていこうと思います。
8/26(木)の19:00~20:00に放送予定です!
乗松真也さんプロフィール
愛媛県埋蔵文化財センター勤務。専門は考古学。1974年愛媛県生まれ。1996年から2020年まで香川県庁で文化財にかかわる業務を担当。文字や記録として残されていない人々と瀬戸内との関わりの歴史について研究を行い、「せとうちスタイル」を始めとする様々な媒体で執筆も。
イベントレポートを読んで興味を持ってくださった方に朗報です!
YouTubeで当日の配信を誰でも誰でも見ることができるので、チェックしてみてくださいね。
見逃した方はこちらをクリック↓
■リンク先
・Setouchi-i-Base(オープンイノベーション拠点)
・株式会社HYAKUSHO(新しい公共をつくる会社)
・まち宿AETE(香川県さぬき市津田町にある「まち宿」)