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思考促迫 まとめ
思考促迫。軽い解離症状の一種であるらしい。
いわゆるとりとめのない思考に襲われるというやつだが、かの夏目漱石の「神経衰弱」などはこれであったと言われている。(要出典)
どういうわけかもちろん自分の頭の中でいろいろなことを創作して、私などが言わない言葉が聞こえて、それが古いこと新しいことといろいろに連絡して、幻となって眼の前に現われるものらしく、それにどう備えていいのかこっちは見当がつきません。-「文学論」(p126)
たとえば徹夜してると夜中に急に国際社会や経済の事について考え、人類の未来の事とか宇宙の事とか考え、疲れ果てて寝て朝にはどうでもよくなっててたりするアレが近いかもしれない。あれが昼夜問わず起き、思考のサイクルが早く、より脳への負荷が酷い感じが思考促迫である。
統合失調症の自生思考と判別が付きにくく精神科でも診断に苦慮するようだ。統失の場合被害妄想や先回り思考が多分に含まれることで見分けるらしいが、個人的には思考促迫こそ字面通りの統合の失調という印象がある。
視界の情報にフィルターが掛からず見たもの全てが頭に入ってくるので思考を統合できなくなり、脳に異物の侵入を許しているような、もしくは脳から何か異物が出来ていくような、何とも言えない不快感がある。
以下は頻繁に思考促迫を起こす私の対処法覚え書きである。
剤飲んでふて寝
有名なのがリスパダール。次いでロラゼパムなどベンゾ系。通販で手に入るCBDオイルなども良いだろう。スマホを手の届かないところに投げ、できればふて寝の前になんとか歯磨きとかスキンケアとか済ませ、ゆっくり風呂に入ろう。ただ昼夜逆転しそうな時はこの手段は使わない方がいい。
思考を何かに書きだす
日記とは忘れるために書くもの、と何かの本で見た記憶がある。とにかく頭で考えていることのアウトプットをする。日記は紙とペンが望ましい(精神科でこの手の書き留めは診断が捗るので喜ばれる)が、無い時は手元の文明の光る板でも構わないだろう。これら日記やメモは後で思わぬアイデア帳になったりするので記録に残すことを強くおすすめする。
断酒
お酒大好きなんだけど仕方ない。解離症状とアルコールの相性は大変よろしくない。アルコールはだいたい飲んで2日後くらいが離脱のピークになるので、この離脱期間に思考促迫を起こすようになったらしばらく断酒しよう。
糖分と水分を取る
低血糖ならびに脱水症状の前兆症状としても思考促迫は現れる。脳が飢餓状態になって余計に頭をフル回転させるので早く何か飲もう。
ミニマルサウンドを聴く
音楽だが、思考促迫の時に情動を揺さぶられる曲は絶対に聞いてはいけない。火に油を注ぐようなものである。ミニマルテクノのような単調なリズム、インストゥルメント主体のチルい曲を聞こう。
- あとがき -
思考促迫は初動対応が肝である。過剰思考で失った体力は戻ってこない。できれば「思考が促迫している」と思い立った瞬間にすぐ認知で対応出来た方が上記の行動対処を成功させやすい。
特にやたら主語のデカいテーマについて考え始めた時などは要注意だ。それ以上の追求や答えを出そうとすべきではない、という呪文が大事である。
頭の中に小さなカント先生を飼い、「その思考は理性の暴走である」だとか、あるいは小さなウィトゲンシュタイン先生を飼い「語りえぬものについては沈黙しなければならない」というフレーズを覚えておくとよいだろう。
思考が促迫している時は不安症状を併発しがちだ。自分なりの対処法をしっかり編み出し、あとは気にしないのが一番大事である。
ただ神経衰弱にして狂人なるがため、『猫』を草し、『漾虚集』を出し、また『鶉籠』を公にするを得たりと思へば、余はこの神経衰弱と狂気に対して深く感謝の意を表するの至当なるを信ず。-「文学論」(p126)
漱石もこの症状を逆手に取って名作に生かしたらしい。ハンデではなくギフテッドの一種だと思って頑張って乗り切ろう。