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独立まで90日。

(前回の続き)グーグル日本法人元社長辻野氏との出会い。

私は、都営大江戸線「六本木駅」を降りて、グーグルマップで辻野氏のオフィスの方に向かう。右手には、ミッドタウン東京があり、そのそばにオフィスがある。私の右手にはスーツケース。左手には博多銘菓通りもん。

いよいよ、ここではないかと思われるおしゃれなビルに到着した。1階にインターフォンがある。フロア番号を入れて、プッシュすると恐らくスタッフの方が呼べれることは察した。しかし、中でどんな人が何人くらい働いているかなど事前情報はなし。まさかここは自宅兼オフィス??代表がいる場所は別?など、諸々妄想した。インターフォンを見つめる。押せない。またインターフォンを見つめる。押せない。その繰り返しが5分程度あっただろうか。あまりインターフォンの前で押すか押さないかを思案すると不審者と思われたくもないので、押さずにその場を去った。勇気がないのだ。いかんせん、江戸時代でいえば下級武士?いや田舎の農民が殿様にノーアポで会いに行こうとしているのだから。簡単に門は叩けないし、叩いたところで、門前払いという結末も容易に想像できる。だから、「勇気ない撤退」をしたまでだ。そして、私はまた六本松駅の方に戻り始めた。戻り始めては振り返り、駅に向かおうと歩を進めてはオフィスの方を振り返る。そして、歩を止める度に辻野氏の著書を思い返した。僕はこの本に感謝したいだけなんだと。この本に大変共感した。ただ、それを一言本人に伝えたいのだと。だいぶ、冷静さを欠いているが、それに勝る情熱の火花が散っては、また心を冷まそうとする冷却装置が作動する。

悶々とする中、腹は減ってきたので、ひとまず小諸そばという、九州では見かけたことのない外食チェーンのそば屋さんが見えたので、そばでもすすって考えることにした。お分かりだと思うが、そば屋はすぐにそばが出てきて、伸びるのでものの2分くらいで食べ終わる。なので、さほど考えるにも至らずまた外に出た。腹は少し満たされた。そこで、前よりもゆっくりと辻野氏のオフィスに歩を進めた。そして、ふと携帯を見つめて、辻野氏とのご縁をいただいた佐伯くんに電話をしてみることにした。電話内容はこんな感じだった。

伊藤:「もしもし、佐伯くん、今六本木の辻野さんのオフィスの近くなんやけど、挨拶に行ってもいいかね?この前だいぶ遅れて到着して名刺交換だけした感じやけど。アポもとってないんよね。どうかな?失礼かな?」

佐伯くん:「いいんじゃない。」

電話はこんな感じですぐに終わった。とりあえず、「いいんじゃない。」で少し勇気が沸いた。背中を押して欲しかったのだと思う。そして、再び歩を進めることにした。足取りは軽くはない。でも行きたい。

そして、再びインターフォンの前に立った。しかし、やはり押せない。勇気が萎む。また数分経過して、不審者と思われることが脳裏をよぎる。そして、私は、「勇気ない撤退」をした。また六本松をうろうろし始めた。実際、合計3時間はその目的地周辺をぐるぐる歩き回っている。もう一度いう、右手にスーツケース。左手に通りもん。そのスーツ男がずっとある場所を周回している。そしてなかなか着陸指示が出ない飛行機が再度着陸を試みる。そしてインターフォンの前に立った。そして、最後の心づもりは、「今は平成だ。江戸ではない。どんな方に会いにいっても切られることはない。つまりは命を落とすことはない。ならばGO。」この決心がつき、インターフォンをぐっと押す。「ピンポ~ン」うわぁ、鳴ってしまった!鳴らしているのに。(続きはまた次回)

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