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妻がちいさい頃から夢だった服屋さんをひらく

妻とお店をはじめて見にやってきたとき、どまんなかに二本の柱がたっていました。それがここに決めた理由のひとつでもあります。

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そもそも物件を探すうえで、半分はわたしのお店でもありオフィスでもありアトリエでもありなんでもありの『よくわからない店』にして、もう半分は妻が手がけている海外こども服のお店にしようと二人で話していたからです。

ちいさい頃からの夢だった服屋さんをいつかオープンするために、吉祥寺や小平駅で大雪が舞う日にも日貸し店舗のちいさなワゴンのまえに立つ姿をずっと見てきたので、自分のことよりも感慨深いものが正直あります。

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夫婦がおなじ空間でそれぞれまったくちがうお店を子どもと暮らす街でひらくとどうなるのか。社会実験というほど大それたものではありませんが「家族実験」としても自分たちなりにできるだけ楽しんでみるつもりです。

というわけで、今回は妻のお店のほうの準備を進めていきます。

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さっそく元々の壁紙の上に木目調の壁紙を貼っていきましょう。

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道具はカインズで調達したこちらの一人四役のスムーサーだけで済ませることに。プラスチック製なのでお手伝いしたい息子にも安心して使わせることができました。

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不器用な夫とは裏腹にどんどん手際よく終わらせていく妻。おなじく木目調のフロアシートまで勢いよく貼っていきます。

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ちなみに内装作業中もお店のシャッターは開けたまま。

あきらかにDIY初心者な二人が悪戦苦闘している姿をあますことなく晒しているせいか、街の人たちも不思議そうに通りすぎていきます。

妻のポップアップ・ストアの常連さんも心配そうに訪ねてきてくれました。おもわず駆けよる妻の胸元には、なにやら大きな青いものが光ります。「こうしておけばいつでもすぐに取れて便利やな」とスムーサーをガムテープでそこに貼りつけて作業していたのもすっかり忘れるほど嬉しかったようです。

お客さんは妻の謎すぎるファッションに戸惑いながらもあたたかい言葉をかけていってくれました。妻もその力を胸(のスムーサー)に込めて一気にラストスパート。おかげさまで完成を迎えることができました。

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ひとまず壁と床の境目の巾木は後日に敷くとして、きょうはここまで。

これまたお店の近くにある『横浜家系ラーメン 大幸家』さんでチャーシューメンを食べて帰ることにします。おつかれさまでした。

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と思ったら後日。

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一部が見事にはがれ落ちていました。

どうやら前回に塗りおえた『よくわからない店』側の漆喰風の壁にかかっていた境目のところだけ密着が甘かったようです。

もうイヤだ。またやりなおしだなんて。くじけそうになる夫を尻目に、

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何事もなかったかのように淡々と手を動かしはじめる妻。

さすがは我が家の大黒柱です。

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息子もへこむどころか「ちょっとずつできてるね」と前向きな言葉を吐きながらBTSの『Permission to Dance』をなぜかノリノリで踊りはじめ、

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しばらくすると床に置かれていた余りの壁紙に足を取られて大爆笑していました。さすがは我が家の大黒柱2号です。

そんなこんなで、さらに後日。

おそるおそるお店のシャッターを開けると、

壁紙は見事に無事でした。

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巾木も貼りおえ、ようやく外の空気を清々しく吸いながらお店を振りかえると、窓には妻が置いていたらしい自分の店名のオブジェが。

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なんだかいろいろと逆のような。

街の人たちが不思議そうに通りすぎていった謎が解けました。

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