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『よくわからない店』がいつのまにかオープンしました

『よくわからない店』がいつのまにかオープンしました。11月31日の開店日を気づかないうちに通りすぎていたようです。

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商店街からも立派なお花がサプライズで。妻のお店はともかく、わたしの店については街に受けいれてもらえるか心配していたので「よくわからない店」という名前もしっかり刻んでいただき大変光栄です。ありがとうございます。

入り口で左右のお店を示す案内板には「祝開店!全品入荷待ち!」と開店早々にぴったりの言葉を掲げさせていただきました。さっそく、すみません。これからすこしずつ「よくわからないもの」たちが並んでいくと思いますので今しばらくお時間をください。

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商品がない店のまえで首を傾げている方から「よくわからない店ってなんのお店なんですか」と聞かれて「うーん。なんでしょうね」と答えに詰まる店主のとなりで看板犬の「はてな」もしっかりがんばってくれました。

人見知りで口下手な店主とはちがって、街ゆく人たちから予想以上にいいリアクションを集めてくれるのでとても助かります。店主の座を奪われる日もそう遠くはなさそうです。

余談ですが、開店ということで店先の車止めを造花のアーチとして試しに使ってみたところ、いつも朝になると店のまえに捨てられていた吸い殻がピタッとなくなりました。花を植えるとポイ捨ても減るのでしょうか。

なんだか「ポイ捨て禁止」や「駐車禁止」といった警告系の看板にかわる表現が生まれてくれそうです。これからも車止めにはなにかしらの装飾を実験的に続けていこうと思います。どうせお店を出すなら、すこしでも街が暮らしやすくなってくれたら嬉しいですね。

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ちなみに、おなじ物件に構える妻のこども服のお店『BANANA MONSTER』も11月29日の「いい肉の日」ではなく「いい服の日」にスタートしました。オープン記念としてすこし気がはやいですが「初雪」を街へお届けしています。

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ご来店いただいたお客様にこちらの雪玉をプレゼント中です(なくなり次第終了)。ポリプロピレン製のスノーボールだそうで握ると本物の雪のような感触がします。もちろん、手が濡れたり冷たくなったりもしませんし、当たっても痛くないので室内遊びにもどうぞ。こどもたちも気の済むまでムギュムギュしたり投げっこしたりとおもしろがってくれているようです。

もし、年の瀬も押しせまる寒空の下、店先で雪玉が入ったかごを抱えて配る謎の人影を見かけたらおしらせください。たぶん、妻です。

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そんな妻に息子からも開店祝いの花を贈ってみました。「ママへ」が心なしか夜のお店感を匂わせているような。でも、嗚咽して喜んでくれたのでよかったです。

花屋さんにて「しゅく かいてん」とあえてひらがなで印字する言葉をお願いしたときは、そんな歳にもなってこんな漢字すら書けないのかとドン引きされてしまった気もしなくもないですが、今となってはいい思い出です。

なお、11月31日のよくわからない日にオープンした『よくわからない店』ですが「どうせ12月1日とまちがえてるんでしょ」と翌日の水曜日に遊びにきてくれた方もいらっしゃったみたいで誠に申し訳ございません。まさかの定休日でした。

今のところ妻のお店とおなじくOPENは「10:00-17:00」で、毎週水曜日と日曜日はおやすみになります。当面は様子を見ながら変更もあるかもしれませんので、お店のInstagramにて適宜ご確認いただけたら嬉しいです。

ちなみに細かい話ですが看板は「CLOSED」よりもなんだか楽しそうな「HOLIDAY」にしました。正しい英訳なのかどうかはよくわかりません。

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こんな張り紙がまれに貼られているとき以外、妻はずっとお店にいますが、わたしは別の仕事の都合で留守にするときもありそうです。その際には「店主がいない店」となりますが、店は開けたままにしているのでご安心ください。かわりに妻や看板犬の「はてな」が商品のご購入などについてもご対応いたします。

もし、お仕事のご相談などが必要になる場合は、お手数ですが事前にご連絡くださいませ。メールであれば「contact [at] tadanobou.com」までどうぞ。SNSなどからでも構いません。お店にいるようにいたします。


とまあ、なんだかんだ無事にスタートした感を出しつつ終わりにしたいところなのですが、その裏はなかなかのてんやわんやでした。よくわからないままにはじまっていたというのが実情です。

お店のオープン直前には、わたしの母親が倒れて一時危ない状態に。医師からも「覚悟」を求められるなかで開店準備を進めていきました。

そんなお店の混乱を察知したのか、近くに住むおじいちゃんが「なにかできることがあったらなんでも言ってください」と自分の足腰もおぼつかないのに店先のゴミを拾いだしてくれたときは「ああ、街に助けられるってこういうことなのかもしれないな」と感銘を受けました。

妻のお店がオープンする前日の夜には、連日のオーバーワークに「きょーうはがんばったー、きょーうはがんばったー、ららんらんららんらん」と壊れかけた妻の絶唱が自宅のリビングに響きわたり、いっしょにがんばってくれている息子も酒のように水をヤケ飲みしはじめる事態に。

そして、迎えたオープン当日の朝。「よし、もうひとふんばり」と飛びおきると、息子が昨晩にヤケ飲みした水をすべてベッドにぶちまけておりました。まさかの人生ではじめてのおもらしです。

寝ぼけながら「ママがさん・にい・いちで数えたから出ちゃったの」となにやら怒りだす息子。「これは下手したらオープンに間にあわないかも」と諦めかけたのですが、なんとマットレスは奇跡的にまったくの無傷。念のため妻が敷いておいてくれた防水シートに今度は助けられました。いろいろと息子にも負担をかけてしまっているんだな。そんな押しつぶされそうになる空気をおしっこもろとも全身で受けとめてくれてありがとうございます。

不幸中の幸いってやつだね。きょうはむしろいいことあるかも。そう気を取りなおして家族で朝ごはんを済ませていると、テレビで「きょうの占い」をみていた息子も嬉しそうに「ママ、すごい! じゅうにだって!」と妻へ最下位を宣告してくれました。どうやら数字が多いほうがいいと思っているみたいです。

そんな幸先のよいスタートを切ったおかげでしょうか。なぜかオープン時間ギリギリに残っていた準備がすべて完了。せっかくなので、楽しみにしていた開店時間「10:00」までのカウントダウンをはじめるまえに、すこしだけ自分たちの写真を残すことに。

夢だった自分のお店をバックに内心へろへろになりつつも渾身のポーズを次から次へと嬉しそうに決めていく妻。あれやこれや言いながら撮りなおした写真をチェックすると、撮影時刻のところには「10:03」の文字が。記念すべき開店時間はあっけなく過ぎさっていました。もはや二人で笑うしかありません。

お店を「開く」という言葉には「開きなおる」という意味も含まれているのでしょうか。よくわかりませんが、どこか吹っきれることができたような気もするこちらの二つのお店をどうぞよろしくお願いいたします。

もしかしたら、お店の奥に隠れてブリトーをヤケ食いする妻の姿がすこしだけ見きれてしまっているかもしれませんが、どうか気にしないでください。

ひとまず今後もお店の整備を進めていきつつ、いよいよ商品づくりにも取りかかろうと思います。

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