看板犬をつくる
「お店の看板犬をつくろう」
よくわかりませんが、そんなことを夜更けに焼酎を呑みながらふと思いました。飼うことはできないけれど、つくることならできるのではないかと。
そのまま酔いに任せて下調べしつつ書きなぐった設計図がこちらです。
いろいろとおかしいところもありますが、いわゆる立て看板の要領ですね。
メモ書きに「余ったのをしっぽの棒にする」と奇妙な言葉が残されているとおり、以前にコーナンで見かけた「30×40×1820mm」の木材一本をぴったり使いきる寸法で考えてみました。はたして右下の「にににに」とはいったい。本当にできるのでしょうか。
翌日、すっかり酒が抜けて「そもそもどうしてつくらなきゃいけないわけ?」と冷めきった頭をなんとか諭しながら、さっそく材料の調達へ向かいます。
看板犬の骨格となる木材のほか、顔や背中になるスクラッチ柄の白いベニヤ材を選び、指定した寸法でカット(有料)してもらいました。
こちらが看板犬の材料たち。カットした木材は木工用の紙やすりでバリ取りしておきましょう。
まずは、木材とスクエア型にカットしたベニヤ材をこんなかたちにボンドで貼りあわせ、看板犬の前半身と後半身をつくっていきます。
完全に乾くまで待ったほうがいいのかなと素人ながら思ったのですが「乾くよりもはやくビスまで打つほうが強度は増す」とスパムっぽいサイトに書かれていたので信じてみることに。
さっそく電動ドリルでビスの下穴をあけていきます。
下穴のサイズ感も悩んだのですが、ビスのパッケージに「ねじの太さの70%」と目安がしっかり書かれていました。
専門的なイメージがある商品ほど初心者にもわかりやすく説明が書かれているとものすごく嬉しくなりますね。これはコピーライティングにも生かせそうです。
さて、本業のコピーライターとしてもちゃんと働いていることをさりげなく匂わせたら、電動ドライバーでビスを入れていきましょう。
ビスの長さは表面のベニヤ材からギリギリ出ないサイズのものを選びました。これでちゃんと固定されるのかどうかは正直よくわかりません。
次に、看板犬の前半身と後半身を裏返して頭のてっぺんであわせ、そこに丁番を一気に締めて結合させてしまいます。
なんだかすこし恐ろしい文章になってきたような気もしなくもないですが、おかげさまでようやく立てるようになりました。
ただ、まだ足元がおぼつきません。
そこで看板犬の身体を支える部品を両側に取りつけます。
こちらの真鍮製の金具は、風にあおられたときに閉じて倒れたりしてしまうのを防止するので「あおり止め」と呼ばれています。なんともそのまんまでわかりやすくてすばらしい名前ですね。こちらはネーミングに生かせそう。
うまく入らないときはこんなふうにドライバーを穴へ差しこみ、てこの原理でぐるぐるまわすとスムーズだった気がします。気のせいかもしれません。
おかげさまでしっかり立てるように。しっぽもつきました。
あとはもう看板犬に毛を生やすだけです。
いつか犬を飼うならトイ・プードルと夢に見ていたので、ダイソーで調達したこちらのプードル風のひざかけを失礼ながら拝借させていただくことに。
左利きのせいなのかただの不器用なのか昔からどうもうまくハサミを使えない夫にかわり、自分のお店の準備で忙しい妻が「なんでこんなことしなきゃあかんねん」といった表情で前向きに生地の裁断だけ手伝ってくれました。ここにお店へのリンクをこっそり入れることでお詫びさせていただきます。
さあ、大詰めです。いざ、モフモフを巻いていきましょう。
こちらの毛を貼る作業はまだ薄暗い休日の早朝にお店でひとり進めていたのですが、「もうちょっとだけボリュームがほしいな」などとぶつぶつ言いながらしっぽを巻いていたときに「いったい自分はなにをしているのだろう」と我に返ってしまった瞬間の感覚を今でも鮮明に覚えています。
最後に、お店の顔でもあり、看板犬の顔にもなる看板をつくります。
いよいよ、よくわからなくなってきましたので、看板はシンプルな構造に。コンビニでプリントしたロゴの裏に厚紙(写真右)を貼りあわせ、それをさらに開店準備で大量に余っていたラックの梱包資材(写真左)に貼って切りぬきました。
自分の手でお店をつくると梱包資材までもが愛おしくなるのでしょうか。どうも捨てられずにいたので活用できてよかったです。もしかしたら「自分の手でつくる」ことが環境にやさしくなれるカギだったりして。
などとわかったようなことを言いつつ「看板犬」がついに完成です。
なんでしょうか。この感情は。
お店のまえにちょうどいい柵があったのでリードでつないでみました。ついでにエサ、いやゴハンも置いてみます。
なんでしょうか。
おなじような画像を何枚も載せたくなってしまうこの気持ちは。
名前をつけるつもりなんてまったくなかったはずなのに「よくわからない店」にちなんで「?」といつのまにか命名してしまいました。「はてな」と呼んであげてください。
とりあえず、これから季節が変わるたびにあまっているモフモフを何度も貼りかえてあげながら、いっしょに暮らしていこうと思います。
ぜひ、みなさまも店先の看板犬「はてな」を目印に「よくわからない店」まで遊びにきてくださいね。
どうか怖がらずに。
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