同じ言語を話すということ
フランスに住んで5年になりますが、ようやく重い腰を上げてフランス語の個人レッスンを受け始めました。
これまでも生活に必要最低限の会話はできるし、夫や家族、友人と話したり、仕事でも使っていますが、どうしても苦手意識が抜けず。
逆を言うと、「フランス語が完璧じゃないから~」「どうせ外国人だし~」と言い訳して、もう一歩踏み込むことを避けていたのだと思います。
でも本心ではフランス語をやりたい。
フランス語をもっと自由に話せれば、色んな会話を楽しめるし、交友関係を広げたいと思えるし、フランスで仕事を受けるモチベーションも上がる。
なにより自分の意思表示がもっと明確にできたら、今よりずっと生きやすくなるのではないかと思います。
思い返せばこちらに来た当初は夫や夫の家族、友人とは英語でコミュニケーションしてました。
でもたどたどしいながらもフランス語を話し始めたとたん、ぐっと距離が縮まった気がします。
その土地の言葉を話すって、ものすごく意味のあることだなぁと感じた瞬間でした。
たとえば母国語以外でコミュニケーションできたとしても、それって伝達に過ぎなくて、心にまでは届かなかったりします。
でも彼らの話す言葉を話すことで、(自分たちの言語を頑張って勉強してくれて嬉しい!というのももちろんあると思いますが、)話し方や言葉選びを通して私の「人となり」が伝わったのではないかと。
目の前の人がどういう人物かという見極めに関しては、こっちの人はかなり用心深いです。
夫と英語でコミュニケーションしていた頃も、「愛の言葉は英語では言いたくない」とよく言っていました。母国語で伝えるからこそ、想いが乗るのだと思います。
私も英語でアイラブユーなんてこそばゆかったし、なんなら今でもフランス語でジュテームはなかなか言えない。なんだか表層をなぞっているようにしか感じられない。
そもそも日本語だって愛してるなんて言えるか分からない。愛ってなんぞや?という感じです。まぁそれはさておき...。
フランス人は話すのが大好きで、知識や話題も豊富だし、好奇心旺盛だから日本人の私に色々と聞いたりもします。それこそ歴史や文化や政治や社会や...そんな全部知るかーい!というくらい聞かれます。
話すのが苦手な私にはこれが結構ストレスだったり。自分の無知をさらすのが怖いというのもあります。
でも知らないことは知らないと言えば良いんだなと最近思えて、フランス語をもっと上達させようと思うに至ったわけです。
知らないことを知らないって言うこととか、自分の考えていることや感じていることを自由に表現できるって、ものすごく自己肯定になるなと思います。(自己肯定を学ぶ長い旅路の途中なのです)
フランス語のレッスンは個人レッスン&フリートークという自分にとって一番ハードルの高いものを選びました。結果、楽しくお話できたし、前向きに話題を振ったことで「メタル」という未知の領域も開拓できた。(先生がメタル好き)
ここ何年かこういう、世界を広げる努力を怠っていたなぁと反省しつつ、また一歩を踏み出せた自分に「よかったね!」と思っている今日この頃です。