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つばめとガブリエラと、宿題忘れ

 「忘れたくなんてなかったよ。忘れたいはず無いのに、どうして忘れちゃうんだろう……ねぇガブちゃん、どう思う?」
 それはわたしの、心からの疑問。なんだけど、ガブちゃんには呆れたような顔をされちゃう。
 「あたしに聞くんじゃないわよ……と言うか、そもそも何で忘れた宿題をあたしに頼るのよ?」
 「うぅ……だって、神楽ちゃんはお仕事の関係で休みだし、みやびさんはお昼休み始まってすぐ何処か行っちゃったみたいだし……」
 「だからって中等部のあたしに頼る?繭とか雛だって居るんでしょ?」
 うぅ、そうだよね……
 「それは……皆に宿題忘れたって知られるのは、ちょっと恥ずかしいから……」
 「中学生に教わってるほうが恥ずかしいでしょ……」
 「そんなこと無いよ!だって、ガブちゃんはすっごく賢いってわたし知ってるから!」
 いや、だからって頼ってばかりでいいわけじゃないのは分かってるんだけど……なんて思ってたら、ガブちゃんはそっぽ向いちゃった。怒らせちゃったのかなぁ?
 「……まぁ、あたしで解ることなら、助けてあげても、いいけどね」
 「本当?ありがとうガブちゃん!」
 やっぱりガブちゃんは優しいなぁ、大好き!
 「まったく、調子良いんだから……助けてはあげるけど、ずっとそんな様子じゃ周りにやる気ないと思われるわよ?」
 「そ、そうだよね!気をつけなきゃ!」
 「ま、あんたがちゃんとしたいと思ってるのは知ってるから頑張りなさいな。”Dla chcącego nic trudnego”よ」
 「え?どらちょこ?何?」
 「あー……気にしないでいいわ。おまじないみたいなものよ」
 「おまじないかぁ……えへへ」
 「む、何かおかしかった?」
 「ううん、嬉しかったから」
 「何が?」
 「魔法の国のお姫様が、わたしに呪文を唱えたのかと思ったの」
 「何よそれ?ほら、さっさと続けるわよ」
 「うん!」
 それでも、わたしにとってのガブちゃんは異国のお姫様みたいで。
 さっきの言葉も、何だか不思議な、だけど優しい呪文をかけられたみたいだなぁ、って。そんな風に思ったんだ。

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