ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』
「権力は自らの嘘にとらわれており、そのため、すべてを偽装しなければならない。過去を偽装する、現在を偽装し、未来を偽装する。統計資料を偽装する。全能の力などない、と偽り、なんでもできない警察組織などない、と偽る。人権を尊重している、と偽る。誰も迫害していない、と偽る。何も恐れていない、と偽る。何も偽ってない、と偽る。それゆえ、嘘の中で生きる羽目になる。」
この文章は、主語を「わたし」に置きかえても意味を成す。というよりも、すべての主語を「わたし」に置きかえてしっかりと直視することで、ようやく「わたし」そしてわたしたちは、自らが囚われている言葉と思想を自覚し、そこから脱するための思考と行動を始めることができる。
権力を作り出し、囚われながら支えている「わたし」に気づくこと。そうして、事実をしっかりと見据えた上で、真に自ら思考し、正直に行動すること。そうした小さな個々の「わたし」の動きこそが最も大きな力だ。
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