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アタシが離婚した理由 ≪5≫

夫の気質や性分が
そう簡単に
変わるわけがない。
その頃アタシは
未だ、そのことに
気づけずにいた。

前回の借金騒動の3年後、
また同じことが起こった。

借金返済督促の
ダイレクトメール。
強迫めいた葉書や電話。
嫌がらせの電報。
各種料金や税金が
滞納されている。
業者が自宅に
押しかけてきたこともある。

そんな渦中の、ある日
娘が泣きながら訴えてきた。
祖父母からもらったお年玉、
大切にとってあったのに、
無くなっていると。

夫が盗ったのだ。
娘の大切ものを
奪ってドブに棄てたのだ。

皆、口をそろえて言う。
前に本人に何もさせなかったのが
悪い。

その後、
上司の計らいで債務整理した。
債務は500万円を超えていた。
自分達では、
もう、どうにもならなかった。

尽力してくださる、
労金支店長と上司との面会時
今の気持ちを尋ねられた。
困惑した。

ーアタシの本当の気持ち、
どうなのよ?ー

気持ちはバラバラで
自分でもよくわからなかった。
ただ、
一人でやっていく自信が無かった。

だから、
やり直したい、
離婚はしたくない。
信じてみたいと言った。

支店長は、こういう人たちを
何人も支援してきたらしい。
「100人に1人くらいは治らない人もいます」
「それは本物のクズです。」
「支えてあげてください」
そう言われた。

帰りは夕方で
空がきれいだった。
濡れた頬が凍えた。
安堵と後悔が入り混じった心で
「しょうがないでしょ。」
と、自分に言い聞かせた。






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