アタシが離婚した理由　≪7≫

ブラックリストに載っていたで
あろう5年間は
借入は不可能だ。
夫が借金できないから
家庭が平穏だったかというと、そうではない。
2008年、
アタシはうつ病を発症した。
翌年、リーマンショックの
あおりでパートと派遣社員は
全員解雇された。
長女は大学生、
次女は高校生だった。

ハローワークの混み具合は
授業参観日の
教室のようだった。

職は簡単には見つからない。
失業手当はすべて学費に
充てた。

2011年
震災があった年の4月末。
やっと再就職先が決まった。
時給は安かったが、
収入が得られる。

でも、
そのころから夫の悪い癖が、
また、芽を出し始めた。
夫のキャッシュカードは
アタシが持っていた。
やけに簡単に渡すなぁ、と
不思議だった。

債務整理から５年以上経ち
ブラックリストから
削除されていたのだろう。
消費者金融系列のカードを作り
借りていたのだ。
それをまた督促状で知ることになった。

アタシは焦った。
ぱくぱく息が苦しい。
跳ねすぎて鉢から飛び出して
しまった金魚のようだ。
アタシはどうしても
高利の借金があるという状況に
我慢がならないのだ。
どうしてわかってくれないの？
そうして泣く泣く、また
肩代わりしてしてしまうのだ。

こんなとき、夫は
へらへらしながら
「あ、ゴメンゴメン、わりぃわりぃ」と
言うだけ。
電車内で足を踏んだ人のほうが
よっぽど丁寧に謝る。

こうして、
嫌悪感や不満、
憎しみ、失望、悲しさが
火山灰のように積もって固まるのだ。