アタシが離婚した理由 ≪9≫
退職金のことを
改めて問いただすことは
しなかった。
自分が我慢すれば良いと
思っていた。
毎月生活費を下ろすたび
残高が心配になる。
思っていたことが
現実になった。
最初は遠慮がちに
少しづつ引き出していたのが、
ごっそりと、高額が
引き出されるようになったのだ。
新型コロナウイルスが
蔓延しだした頃だった。
どうして?
カードはアタシが持っているのに?
理由は簡単だった。
夫が(家族カード)を作って
引き出していたのだ。
夫と向き合うことは
苦痛だったが
言わないわけにはいかない。
「こんな使い方をしていると、
あっという間に、無くなるよ。」
「40年以上働いて得た
大切なお金じゃないの?」
まるで子どもに言うセリフ。
夫の反応は薄く
いつも、軽くうけながす。
わかっている。
アタシが夫と向き合うことを
苦痛に感じるように
夫はアタシとのやりとりが
面倒くさいのだ。
受け入れる気など
端から無い。
それでも一応
「わかった」と言う。
そんなふうなのに
夫から御歳暮で
ハムの詰め合わせが
宅急便で届いた。
ナゼ?
自宅にわざわざ?
不可解でならなかった。