『名もなき星の哀歌』感想
結城真一郎さんの「名もなき星の哀歌 」の感想です。
ネタバレ含みますのでご注意ください。
読み終わった直後の感想は
面白かった。
自分が自分である記憶や思い出をもっと大切にしていきたい。
後半は謎が絡まりつつも解けていく疾走感で一気に読んでしまった。
厳さんのエピソードで明らかになる、店で記憶を扱う人々のバックグラウンドは、自分の今までの嫌な記憶との向き合い方を見直させられた。
嫌な記憶、大切な記憶だからこそ背負って墓場まで持って行かなければならない。しかし耐えきれなかったり前を向くために、記憶を売買する人がいる。
もし本当に記憶を売買できるとしたら、自分に売りたい記憶、買いたい記憶はあるのだろうか。
売りたいと思う記憶はないけれど、歴史上の人物の記憶などは買ってみたいと思わなくはなかった。
でも自分の記憶の積み重ね=人生なのだから、誰の記憶も売買せず受け入れて前を向けるのが理想なのだろうか。
自分を自分と認識できるのはそれまでの記憶の積み重ね。嫌なことも嬉しかったことも大切にしていくことを学ぶことができた作品でした。