中身が変わっても好きでいられますか?

中身が変わっても好きでいられますか?

というと彼の話?彼女の話?食べ物の話?と思うだろう。これはとあるバンドの話である。とあるロックバンドは人気アニメのOPやED、CMなどを担当していたこともあり、邦楽ロックバンド界の中ではそれなりに有名だったと思う。そのバンドが数年前に終了した。解散ではなくて終了だった。ある日突然終了したためなぜ終了したのかもわからない。終了しても私の中で彼らはまだ続いていた。

私はこのバンドが好きだった。CDは全部持っているほどに。ファンになってかれこれ10年は経っているだろう。彼の作る捻くれた歌詞、曲調に心が惹かれた。

バンドが終了して1,2年後、ボーカルが新しい仲間を集めて新しいバンドを始めた。そして昨日、その新バンドのライブ観に行った。バンドが終了してもう聴けないと思ってた声を再び聴けるのかと思ったらなんだかドキドキワクワクした。前日の夜はなかなか眠れなかった。

いざライブを終えてみると心に残ったのはモヤモヤだった。前バンドも新バンドも作詞作曲をしているのは同じボーカルのはずだ。もちろん歌っているのもそのボーカル。曲調などガラッと変わった曲はあった。だがなんとなく面影が残るような曲ばっかりだった。それなのにどうしてモヤモヤが残ったんだろう。

私は楽器には疎い。ギター、ベース、ドラムの音の違いしか分からない。テクニックなど何もわからない。
自分が好きなボーカルが作った曲で歌っている人も同じ、違うのはギター、ベース、ドラムそれだけだ。それなのにどうして心が惹かれないのだろうか。何度か鳥肌は立ったし、もちろん演奏も一流だった。でも心が惹かれなかった。一流の彼らが前バンドの曲を完コピし目を瞑って聞いたとして、私はどっちのバンドが演奏したか聴き分けることができるのだろうか。きっとできないだろう。

結局は核だ   と思った。昨日のライブ前までは前バンドの核はボーカルだと思っていた。だから今回のバンドも核が同じなら好きになれるだろうと思っていたし確信もしていた。でも違った。核はボーカルではなかった。核は前バンドそのものだったということだ。新バンドの曲を聴きながらそんなことをずっと考えていた。

突然だが話を朝ドラに移そう。今朝、朝ドラのヒロインが彼に振られた。振られた理由は彼女がパイロットの夢を諦め、亡くした親の工場を継ぐからということだった。私はこれを観た時にそんなことで!?と思った。でもよくよく考えてみた。きっと彼にとっての核というのは彼女がパイロットを目指すということだったのだろう。その核が無くなったからお別れした。ただそれだけのことだ。

核というものは私たち自身が勝手に決めるものだ。
昨日のライブはモヤモヤして終わったが、感想を調べてみると好評だったようだ。きっと他の人々の核はボーカルだったということだろう。

ライブが終了したと同時に私の中で生き続けていた前バンドは数年の月日を経て終止符が打たれた。そして新バンドについても始まったと同時に終止符が打たれた。もう2度と心の惹かれて魂が弾けるようなライブに行くことはないのだろうと思うと音のない世界に飛ばされたような気持ちだ。

新バンドはワールドクラスロックを目指すと言った。ファンになることはできなかったが星飛雄馬の姉のように陰ながらひっそりと応援しようと思う。

ワールドクラスロックを目指すバンドの名はZIONだ

https://youtu.be/8CyI6rZBJo4

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