
総合雑誌を読もう!!
総合雑誌は面白い!
皆さんは総合雑誌とかオピニオン誌とかは読みますか?
一番目に付くところに置かれているのは『文藝春秋』だと思いますし、昔からリベラルに人気な『世界』とかが有名でしょうか。
余りしつこくこするのもアレですが、青木のおじさんが「自民党に投票する奴は劣等民族」とか言って炎上していたじゃないですか。総合雑誌立ち読み歴の長い私は、「また言ってるよ」くらいにしか感じなかったのですが、ネットを見ると割と真剣に怒っている人が多くてびっくりしました。なんとなれば、実のところあのぐらいの暴言はリベラル系のオピニオン誌なら毎号どっかには載っているからです。おそらく青木のおじさんもいつもの調子でやっちゃったのが、媒体が違うだけでこんなに燃えるのかと驚いたのではないでしょうか。頭がアレなのがばれたとも言えますが。
それはさておき、総合雑誌の役割というものは、専門書や論文を読むほどの前提知識や時間が無い人が、時事問題についてテレビや週刊誌よりももう少し深く知りたいというニーズに答えるためではないかと私は思っていて、それは新書とかも同じような役割なのかなと思っています。そういう訳で書き手はどっかの誰かもわからない記者とかではなく、一応は名の知れた知識人、学者やジャーナリストが書いているわけです。しかしながらこれが結構玉石混交で、なんか書いてあるけどよくよく考えたら無茶苦茶なことを言っとるな、という記事が混じっており、それを見つけるのは結構楽しいです。私はそうした記事を書く幾人かの名前を記憶しており、その人たちの記事を読んでは「また嘘ついてる」とか「またネットで叩かれた私怨をここで晴らしてるよ」とか思いながら楽しむのが好きです。こないだ書いたブラウニーポイントでも述べましたが、こうした総合雑誌でもポイント獲得競争は行われていて、それもまた面白いです。
『世界』も面白い!
以下私から総合雑誌の楽しみ方や注意点を述べます。
まずは『世界』について一応確認をしておきます。
なんでも出版物に書いてあることを真面目に受け取ってしまう人は(わざわざ読もうと思う人ほどそうなのだと思いますが)どうか余り真に受けないよう気をつけて下さい。こういう例を出すと怒る方もおられるかもれませんが、『ムー』に書いてあることを本当にそうだと思って読んだらそれは違う訳で、そんな馬鹿なと思いつつも楽しむ、これが大事な姿勢なのですが、『世界』に書いてあることもまた、そういう距離感で読んだ方がいいです。
何故私がこんなことを言うのかというと、古い話になりますが北朝鮮が拉致を認めたまさにその頃の『世界』を読んでみた時にどういう記事が載っていたのか、皆さんは想像つきますでしょうか?なんとなんと、金正日という人は個人としてはこんなに魅力的で良い人ですよ、という記事が載っていたのです。「うそだろ承太郎」という人はバックナンバーを漁ってみて下さい。今よりももう少し世間というものに純真で真面目だった私はこの記事を読んで正直腹が立ちました。なんというものをどういうつもりで載せるのだと思いました。しばらくしてから、「そうか、本気にして腹を立てた私がアホなんだ」と気づいたのです。昨今はウクライナ戦争について、またぞろ正気を疑うような記事をたくさん載せており、侵略戦争は絶対悪だと教えられている戦後民主主義の申し子たる我々が見れば血圧が上がりそうな文言が並んでいますが、そうです、真に受けた方がアホなのです。あれはネタ雑誌なのだと見切りをつければ、実はあんなに面白い雑誌はないといってもいいです。というのも『週刊金曜日』はもはや完全にあっちの世界へ行ってしまっていて、エスプリや冗談のきかない状況だからです。その点『世界』はまだどっか間の抜けた記事なんかが入っていてほっこりすることがあるのでまだましだと言えましょう。
右翼雑誌はどうなんだこのネトウヨめと言われるのも業腹なので、右翼雑誌について申し上げますが、あれらには正直エスプリはあってもユーモアが無いというか読んでいても「そうだね」という以上の感想が出てこないので積極的には読みません。読まんでも分かるというか新しい視点とかは(私にとっては)特にない感じです。これは実は悪口ではないし、つまらないと言っている訳でもないので、難しいのですがご理解下さい。もちろん、こうした雑誌にも毎回一つ二つは頓狂な記事があるのでそこは見逃しにできない部分ではあります。
なんにせよ、以前もどこかで書きましたが、文壇というかなんというかある種のギルドのようなものが左右ともにあって、それは書き手の名前の分布を見れば大体了解できるものだと思うのですが、であるならば当然その記事というものもギルドの方向性に沿ったものが(基本的には)乗る訳で、そういった意味でも総合雑誌、オピニオン誌というものは「自身の主張をもっともらしく見せるためにどこかで嘘をついている可能性がある」ことを常に頭のどこかで警鐘を鳴らしながら読んだ方がいいです。
政治家の生の声も面白い
総合雑誌のいいところは、政治家のインタビューや対談が読めることだと思います。テレビや新聞で語られる政治家の言葉はほぼほぼ官僚の作文な訳で、揚げ足をとられないことだけを意識した無味乾燥なものなのですが、総合雑誌でのインタビューや対談だともう少し実のあるというか、本人の言葉が語られるので興味深いです。もちろんそこで全てを正直に語っている訳がないのですが彼らの言い分というものが(テレビや新聞ではほぼ封殺されているため)こうした総合雑誌で聞けるというのはその役割としていいところじゃないかなと思っています。なんとなれば我々主権者としても官僚の作文を読み上げる姿だけを見て投票行動を行うのも違うのではないかと思う次第です。世襲議員が世襲の是非について聞かれ、世襲で何が悪いんだと開き直るシーンなどは総合雑誌でないと中々見れないですよ、正味の話。
『文藝春秋』だって楽しい
さて、最後に『文藝春秋』のとある対談に関して私が「おいおい」と思ったエピソードを述べて御仕舞にしたいと思います。
これは東先生が新著を出したときに御厨先生と対談していた記事があったのですが、そこで「日本は確たる歴史認識を持っていない、ヨーロッパのどこそこではきちんと歴史認識を持っている」みたいな(おおよそですが)話で出てきていて、まずは、本当か?という疑問が湧きますよね。本当にそんな歴史認識とやらがきっちりしている国があるのか、そもそも確たる歴史認識ってどういうものなのか、そういったものを誰がどうやって決めるのか、全然説明のないまま「日本はけしからん」みたいな話がされるので、ちょっと訳が分からない部分がありました。ま、そこはそれでまあいいんですけど、まさかお二人はその確たる歴史認識とやらを国家が国民に示すということは流石に意図されてはいないと思います。となると、じゃあ誰が国民に歴史認識を持てるよう促す役割を担うのかと言えば、まさにテレビや雑誌などで名の売れた御厨先生のようなインテリ・学者先生のはずな訳で、誰だか分からないがとにかく誰かに向かって「日本はけしからん」と言ってる場合ではなく、そもそも先生の仕事が(遺憾ながら)成果を出せていないだけなのではと思わずそう感じてしまいました。面白いでしょう。東先生も「御厨先生がもっと頑張らないと」ぐらいの突っ込みを入れてくれればもっと面白かったのにね。ね。
ま、こんな感じで面白い記事が一つや二つは大抵何かしらありますから、目次を見て興味があるものを読んでみるといいんじゃないでしょうか。
最後にこの文章自体の信頼性について注意点を申し上げておきます。私は総合雑誌やオピニオン誌は、新幹線にのったり飛行機に乗ったりするときに『文藝春秋』をたまに買うくらいで、それ以外の雑誌は立ち読みか図書館で読んでいます。その程度の読者の感想ということを考慮して下さい。
以上です。