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悲しい気持ちになった時は、漂って一旦やり過ごす


子どもが自ら命を絶つ悲しい現状

厚生労働大臣 指定法人・いのち支える自殺対策推進センターの分析によると、10代の自殺が多く起きるのは、夏休み明けだと言います。
その予兆として、一番多いのは、登下校の時間帯で「学校に行きたくない」という発信をしていると言うのです。

今がまさにその時期、夏休みが終わり、二学期がスタートしようとするタイミングです。
学校に行きたくないと思う子どもは、多かれ少なかれいると思いますし、その理由も様々だと思いますが、命に関わるものだと、それは放ってはおけません。

厚生労働省と警察庁によると2022年の1年間にみずから命を絶った小中学生や高校生の数は514人と、統計がある昭和55年以降で初めて500人を超え、過去最多となる悲しい報告が上がっています。
また19歳以下の10代の自殺者は2020年に763人と若い世代での死因の第一位が自殺という、先進国(G7)では日本のみという悲しい結果も出ています。
死を選ぶ子どもたちが年々増えている日本という国は、どれだけ生きづらい国なのでしょうか?


Web空間にできた子どもたちの居場所

夏休みなどの大型の休みが終わりに近づくと、いつも子どもの自殺のことが頭をよぎります。
そんなことを考えながら、車での移動中にラジオから聞こえてきたのは、子どもたちの居場所の話しでした。

僕もHUuの活動の一環として、子ども達やママ達の居場所が作れないか考えていました。それはコミュティカフェや子ども食堂などリアルの場で繋がれる場所でしたが、ラジオで紹介されていたのは、Web上の居場所でした。

その名もかくれてしまえばいいのです
2024年3月1日にローチンされ、たった2週間で100万アクセスを超えたWebサイトで、運営は自殺防止対策に取り組むNPO法人「ライフリンク」さんが手がけ、サイトで使用されているイラストは「絵本作家のヨシタケシンスケさん」による、かわいらしく優しいタッチの絵です。

まるで絵本のような世界観

案内役である「むかんけいおばあちゃん」が、まるで絵本の中にいざなうかのごとく、この世界に入っていきます。
「むかんけいばあちゃんの部屋」では、家族ともクラスメートとも無関係のおばあちゃんから、つらい気持ちに寄り添ったメッセージを受け取ることができます。

むかんけいおばあちゃんがかくれがに連れて行ってくれる
連れて行かれたのは大きな木の中にある不思議な世界

このWeb空間では、ユーザー同士の繋がりは一切なく、自分の聞いてほしいことを好き勝手にメモに書いて吐き出したり、それを公表してもいいし、公表しないでモンスターに食べてもらってもいい、他の人が吐き出したものを見るだけでもいい。
相談したい人は相談窓口もあります。
誰かに相談するのは、ちょっとと思うのであれば、AIチャットボットと話して、今の気持ちを吐き出すこともできます。
他にも自殺を考えたことのある先輩の話しが読めたり、ポジティブなニュースやゲームコーナーもあります。
これだけ盛りだくさんにも関わらず、ログインすることもなく、会員登録もなし、個人情報を開示するようなこともなく、匿名キャラクターで入って、ゆるく漂っていることができる居場所なのです。

無理に繋がらなくていいというのが、利用者のことを考えていて、とても良いなという感想です。
今の世の中、何かと繋がろうとするけど、そうでなく、ただそこにいるだけでいいので、今の悲しい気持ちをとにかく、やり過ごしてほしいという考え方です。

戻る時は、むかんけいおばあちゃんがお見送り

今ちょっとでも悲しい気持ちになっている人がいたら試してみる価値はあると思います。
もしあなたの気持ちが少しでも和らいでくれたらいいな。


まとめ

子どもの居場所を考えたときに、まずは第一の居場所は家です。
我が家でも子どもにとって安心できる場所であるか今一度、考えてみようと思います。
第二の居場所は学校。
現在、僕は学校で仕事をしているので、様々な子どもたちの姿に触れる機会があります。間接的でもいいので、何かの力になりたいと思っています。
そして第三の居場所。
今この第三の居場所を作ろうと、NPOや地域活動団体が頑張っている話しを多く耳にします。
前述した通り、HUuでも可能性を探っていたりもしますが、それが必ずしもリアルではなくてもいい。
それを示してくれたのが「かくれてしまえばいいのです」だと思います。
変にポジティブ思考を押しつけることもなく、こちらからは干渉しないが、求められればサポートする。
悲しい気持ちをやり過ごしてもらう場所としてWeb上に安心安全な居場所を作ったのは画期的だと思います。
リアルでも仮想でも、もっとこのような居場所ができると、選択肢も広がり、気持ちが和らぐ人が増えるのではないかと思います。
何より「死なないでほしい。」「とにかく生きていてほしい。」
この言葉で最後を締めたいと思います。


WRITER / 投稿者
「ガク」 2児の父。
子育て当事者として
八王子市の子育て支援の現状に迫る(笑)


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