疑似恋愛、結局一番気楽だよね

10月の入院を終え、私はとある男と知り合うことになる。元ホストのしおんくんだった。この男とはまだ短期間だけどかなりずっと話していて、やっぱり元ホストだから話聞くのもするのも波長があって気楽だった。

そんなしおんくんがいう、姫との疑似恋愛の話。

まず、私は人生で一度だけホストに行ったことがあった。といってもいわゆる初回で、ガルバの時の先輩に道連れにされていったのだ。
その時はじめて本物のホストに触れた私は心底おもしろくないなあと思った反面、こんな無駄遣いの方法があるんだと学んだ。

しおんくんは、ホストに来る女って自分の事客じゃないと思ってるんだよ。あいつら風俗嬢が客の事キモイっていうけど、あんま変わんねえよなあって言っててちょっとおもしろかった。
どこかで、女性より男性の方が圧倒的にヤバい人間の比率が高いと見たことがあったけど、私も結局はトントンだと思う。

私がホストにいきたいというと、しおんくんはちょっと語気が強くなって、やめときなとか、ホス狂はダサいよとか色々言ってきた。でもやっぱり男に貢いでその対価として疑似恋愛してくれるなら、それはそれで面白いことになるんじゃないだろうかと私は思っている。結局ホストしてた彼が言うことだから、間違ってはないんだろうけど、やっぱりいつ行くかわからないホストに好奇心が湧いてしまうのだ。その度にちょっと不機嫌になられるけど、しばらくの間はしおんくんがホストクラブごっこをしてくれるからそれで許そうと思う。

私は疑似恋愛が好きで、それはきっと妄想癖があるからだと思っているのだけれど、それはどうなんだろう。

マッチング・アプリとかやってると「この人と付き合ったらどうなるだろう」とか色々妄想してしまうフシがある。これはツイッターとかのインターネットの男でも同じような感じなので救えなさそう。結局は一人の人に決めるのが嫌で疑似恋愛で一瞬の快楽を得ているだけなのかもしれない。

しおんくんは私に好きとは言わない。それは今まで自分の事、周りのことで疑似恋愛を山ほどみてきたからうんざりしたって言っていた。私はキャバクラでいわゆる色恋営業はしたことないからどんな感じかわからなかったけど、やっぱりホストはみんな、みーんな色恋らしい。どんな相手もしなきゃいけないから、大変っていっていた。

ホストは褒め方も色々あるらしい。ただ「かわいい」というんじゃなくて、「ショートカット似合うね。かわいい。顔が可愛いから似合うんだよ」とか前提をつけるらしい、しおんくんはそれにならった例で「指綺麗だね、ピアノしてた?ピアノしてそうなくらい綺麗な指」みたいなことを言っていて、たしかにもし顔がタイプの人にそういう甘いことを何時間も言われてたら頭もバカになってしまうかもしれないなと思った。

やっぱりしおんくんの根がホストだなと思ったのは距離感だった。ヤケに近い。初対面の時も座る距離が近いし肩に頭をよせてきたり、手を握ってきたりとか、いろんな意味でドキドキすることが多い。最初はどきどきしていたけど、あ、ホストだった。と思うとみんなにやってるんだろうなーと思うので(私もやるので)結局冷めてしまう。そこを上手く隠してやってくれる男と疑似恋愛がしたい。

疑似恋愛、結局一番気楽でいいよね

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