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チョコエッセイ🍫黄金色の幸せ
ジャンドゥーヤを好きでよかったと思う。
でなければこの味に出会うことはなかったのだから。
今年もまた、VESTRIのチョコレートを買いました。
昨年の購入後から今期の購入リストの一番目に君臨してはいたけれど、やはりまたどの味を買おうかと熟考している中開いたSNSで目に飛び込んできた新しい味。それが、新商品の塩キャラメル味でした。
アンティーカ・ジャンドゥイア・カラメッロ・サラート。
正直一瞬何味かわからなかった。だってイタリア語習ったことないもの。
多少わかる英語と、過去に食べた数々のチョコレートのフレーバーの記憶を引っ張り出して、もしかしてキャラメル?塩?……塩キャラメル!とたどり着けたので、お金のかかる趣味も無駄ではなかったと思える。まあ下にスクロールすればすぐに、これが塩キャラメル味であることはわかったのだけど。
実は塩キャラメルのお菓子を食べた経験があまりない。キャラメル味はよく見かけるし、人から貰って食べることもあるけれど、塩という要素が加わるだけで、その機会は格段に少なくなる。そんなわけで、この新作の味に興味津々になってしまったのが、予約販売がスタートした12月のことだった。
そうしてようやく手にしたチョコレートの入った小さな缶は、比喩でもなんでもなく、窓からの日差しを受けて本当に輝いていた。
ワクワクで金のスプーンを突き立てる。柔らかいチョコレートにスっと吸い込まれたスプーンが、少し歪な丸い穴を掘った。
香りはナッツよりもキャラメルが勝っている気がする。
口に入れると同じくらいナッツの香りも広がるから不思議に感じる。
甘くて香ばしい滑らかなチョコレートの中に忍ぶ微かな塩のザラつきと、舌の奥に残る軽い苦味が心地いい。
こんなに小さいのに、ひとつ食べただけでも確かな満足感と大きな多幸感に包まれることができるから、売り場にはきっとあんなにたくさんの人が集まるのだろうなと、そう思う。
去年の私は、今までこれを買ってこなかった人生に後悔した。今年の私は、その後悔を額に入れて部屋に飾り、また別の気持ちを探しに来ていたみたいなものだった。
毎年同じブランドの商品を買って食べても、毎回100%同じ気持ちになるわけじゃないから。色々な気持ちを集めて飾って、心の中で展覧会を開くのだ。そうして積み重なる記憶は、きっとこのアンティーカ・ジャンドゥイアみたいにずしんと甘く、ふんわりと包み込んでくれるだろう。
この小さな金のスプーンが掬いあげるのは、チョコレートだけではない。スプーンに乗り切らないような、チョコレートがもたらす幸せな気持ちも一緒に掬ってくれる。そんな気がする。
今年は塩キャラメル香る幸せを掬ってみせたスプーンは、来年どんな幸せを掬ってくれるのだろう。今から楽しみで楽しみで仕方がない。